Google Chromeリモートデスクトップを使用して無料でテレワークを始めてみよう

2016/11/09

テレワークの必要性とアステリアの取り組み

テレワークとは「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことを言い、自宅で働く「在宅勤務」や、移動中の交通機関や外出先などで働く「モバイルワーク」等の形態があります。

少子高齢化、人口減少時代の労働力確保という困難な課題に直面している日本ではワークスタイル変革の必要性が声高に叫ばれており、今後はテレワークが必須といえる時代になると予測されています。

アステリア株式会社(旧インフォテリア株式会社)では様々なテレワークを取り入れており、最高気温35℃以上が予想された日にテレワークを推奨する「猛暑テレワーク」の取り組みが、一般社団法人日本テレワーク協会が主催する「第16回テレワーク推進賞」の「テレワーク実践部門 奨励賞」を受賞しました。※1

※1 プレスリリース:アステリア(旧インフォテリア)の「猛暑テレワーク」の取り組みが「第16回テレワーク推進賞」で「テレワーク実践部門 奨励賞」を受賞!

BCP対策として有効なモバイル情報共有

テレワーク環境の整備は従業員の就業環境の向上に役立つだけではありません。自宅や遠隔地から仕事が出来る仕組みを準備しておくことで、大地震などの災害が発生し従業員がオフィスに来られない時でも業務を継続できる、いわゆるBCP(事業継続計画)対策にも繋がるのです。

アステリアでは自社製品であるHandbookというモバイルコンテンツ管理システムをテレワークに利用していますが、2016年4月に発生した熊本地震の時、熊本県小国町役場ではHandbookが災害時の情報共有のプラットフォームとして有効活用されました。※2 本部と各現場との間で迅速な情報共有が求められる有事下では、各人が自分のスマートフォンを利用して必要な情報を入手できるモバイル情報共有が大いに有効です。※3

※2 プレスリリース:2016年4月の熊本地震発生時に「Handbook(ハンドブック)」が活躍。熊本県小国町役場がHandbookを活用して災害時の行動マニュアルや被災現場の写真などの被災情報を共有。]

※3 資料:災害時の緊急時対策に "モバイル情報共有" はなぜ有効なのか

中小企業で導入が進まないテレワーク

しかし、日本では現状まだまだテレワークの導入が進んでいるとはいえません。

総務省の調査によると、平成25年末の企業におけるテレワーク制度の導入率は全体で9.3%ですが、従業員規模別でみると、従業員数1000人以上の大企業では導入率が30%〜40%台なのに対し、1000人未満の企業では途端に15%未満に落ち、300人未満に至っては10%を切っていることから、中小企業での導入率の低さが全体の数値を下げている要因になっています。※4

その理由として、中小企業ではテレワークのための仕組みが整備されていないところが多く、コストとセキュリティがネックになって、結果的にテレワークの導入を敬遠してしまう企業が多くなっていると思われます。

大企業では専用の端末を用意したり、VPNやVDIといった技術も導入し、コストをかけて強固なセキュリティでテレワークを利用できるようにしている企業も多いですが、はたしてインフラを整備したり高価なツールを導入しないとテレワークは実現できないのでしょうか?決してそのようなことはなく、身近にある端末を利用して簡単にテレワークは可能です。

この記事では無償ソフトを活用して気軽に且つセキュアにテレワークを実装する方法を紹介していきます。

※4 総務省 平成26年版 情報通信白書より

「社内パソコンを外部に持ち出す」行為は大変危険!

テレワークの実現手段として「会社のパソコンやデータを外部に持ち出して仕事をする」という考えをお持ちの方も多いと思いますが、それは大いに危険が伴う行為です。

会社のデータがローカルに保存されたパソコンを持ち出すことで、紛失や盗難による情報漏洩のリスクが一気に高まりますし、データだけをUSBデバイス等で社外に持って行くことも紛失やウィルス混入の危険が極めて高くなっています。

もしどうしてもパソコンを持ち出す場合は、ハードディスクの暗号化やBIOSパスワードの設定等のセキュリティ管理を施し、同時に会社の情報セキュリティポリシーを設定する等して組織としてのルールを徹底することが必要です。できることなら外部持ち出し専用のパソコンを別に用意し管理した方がよいでしょう。

そこまで管理体制を作れなかったりコストをかけられなかったら、社内パソコンの外部持ち出しによるテレワークは実施しない方が無難です。

社内のパソコンを遠隔操作する方法が便利でセキュリティも高い

「オフィスのパソコン・データを外部に持ち出す」のではなく「外部からオフィスのパソコン・データにアクセスする」方法のテレワークの方が便利かつ安全です。

ICT用語ではインターネットを介して社内のネットワークに接続することを「リモートアクセス」と呼び、手元にあるコンピューターからネットワークで接続された別のパソコンを遠隔操作することを「リモートデスクトップ」と呼びます。

リモートアクセスは社内のサーバーやシステムにアクセスする仕組みで、実際に作業を行うのは手元にある(自分の)パソコンになるので、ソフトウェアやパソコンの性能は使用者側の個人端末に依存します。OSやスペックが会社のパソコンと大きく違うと業務にならないこともあり、また、データもその端末に残る可能性がある為、情報漏洩の危険性も考慮して厳重なセキュリティ対策が必須となります。

それに対してリモートデスクトップは社内パソコンを遠隔操作することになるので、普段社内のパソコンでできる業務はまるまる全て可能になります。データが社内パソコンのローカル環境に多く保存されていたり、社内パソコンにインストールされたソフトウェアを実行する必要があったりするような場合でもそのまま利用できるので、一番便利で簡単な方法です。セキュリティ面でも、リモートデスクトップは画面情報だけを操作側のパソコンに転送する仕組みなので、社内パソコンにアクセスする個人の端末にはデータを残さないために情報漏洩の心配もありません。

VPN導入がリモートデスクトップのネック

リモートデスクトップソフトは昔から様々なものがリリースされており、またMicrosoftのOSであるWindowsにも標準で搭載されてきましたが、テレワークで使用するには大きな障壁がありました。

それは、異なるネットワーク間での接続に手間と工夫を必要としたことです。操作される側のコンピューターをホスト側と呼び、操作する側のコンピューターをクライアント側と呼びますが、従来、リモートデスクトップ接続はホスト側とクライアント側が同じネットワーク上に存在しなければ繋がりませんでした。

会社も自宅もルーターと呼ばれる機器によって外部のインターネットとは隔てられていて、同一のネットワークではありません。

違うネットワークにあるパソコンに遠隔で接続するためには、VPNといわれる仕組みを導入して同一のプライベートネットワークを論理的に仮想構築するか、ルーターに特殊な設定を入れて、外部の特定端末からの通信を特別に受け入れる(NAT変換)仕組みを利用するか、いずれにしてもネットワークの設定変更をしないと繋がらなかったのです。

それらを実現するためにはコストも手間もかかりますので導入にハードルが高かったのですが、最近ではVPNやNAT変換の設定が不要で、プライベートネットワーク間のコンピューターを簡単に遠隔接続できるソフトが登場してきました。

Chromeリモートデスクトップの紹介

たとえばGoogleが提供しているリモートデスクトップアプリである「Chromeリモートデスクトップ」はネットワークの設定変更が不要で、異なるネットワーク間のパソコンを遠隔操作できる非常に簡単で便利なソフトです。

使用準備は、ホスト側とクライアント側双方にChromeリモートデスクトップをインストールして、そして同じGoogleアカウントのIDでログインしておくだけです。Chromeリモートデスクトップは無償のアプリケーションで、GoogleアカウントのIDも無料で作成できるので、コストは一切かかりません。

ホスト側のパソコンでChromeリモートデスクトップを起動し、「リモート接続を有効にする」をONにすると、6桁以上の数字でPINコードの設定を要求され、これがアクセスキーとなります。クライアント側で同じソフトを起動すると、遠隔接続する端末の一覧にホスト側のパソコンが表示されるので、選択してPINコードを入力すれば接続されるという仕組みになっています。

どんなOSからもサクサク動く

ほかにもChromeリモートデスクトップの利点としては、クロスプラットフォーム対応でWindowsはもちろんMac OSやLinux、Chrome OSでも動作することがあげられます。AndroidやiOS版のアプリも出ているので、スマートフォンやタブレットからも遠隔操作でき、出張時や外出先からのアクセスにも非常に便利です。

ホスト側のパソコンは電源さえ入っていれば、OSのアカウントでログオンしていなくても接続が可能なので、オフィスでは当日の朝に在宅勤務者のパソコンの電源ボタンを隣の席の人が入れてあげるだけで、在宅勤務者はオフィスのパソコンを操作できるというわけです。動作速度は良好で、クライアント側のネット回線が細くても非常にサクサク動きストレスを感じさせません。

使いにくい点をあげるとすれば画面サイズとOSをまたいだときのキー操作、それに通信料金でしょうか。ホスト側とクライアント側の画面サイズが異なる場合はアプリ側で自動縮小して表示されるのですが、その場合は文字が多い文書などが読み辛いことがあります。

またMacとWindowsなどOSが異なるとキーボード配列やキー操作が異なりますので、コピー/ペーストなどよく使うショートカットも効かず、メニューから選択して操作しなければいけません。さらに当然のことですが、クライアント側からホスト側へはインターネットで接続しているので、その分の通信料金も発生します。スマートフォンで電話回線を使用しての通信だと、すぐにパケット代が制限量に達してしまうかもしれませんね。

PINやIDの運用管理はしっかりと

通信するうえでのセキュリティ面の懸念はリモートデスクトップセッションの傍受と、Googleアカウントの乗っ取りですが、GoogleによるとChromeリモートデスクトップの通信はSSL/AESで完全に暗号化されているとしています。

また、Googleアカウントとパスワードに加え、各セッション接続時にはPINコードによる認証が要求されるので、万が一Googleアカウントが他人に乗っ取られてもPINが解読されなければ接続が不可能な二重管理のセキュリティがかけられていることになり、かなりセキュアなアプリといえますが、それでも当然使用者側でのセキュリティ対策は必要です。

乗っ取りの予防策として、あらかじめ定められた端末以外からの接続を防止するために、Googleアカウントの作成時には2段階認証プロセスを設定しておくと安全です。

PINコードにも単純な数字の並びや推測されやすい番号を設定せず、長い桁数でランダムな数値を登録するようにしましょう。

Chromeリモートデスクトップの欠点

このように使い勝手が良いChromeリモートデスクトップですが、こればかりに依存していては非効率な面もありますし、またリモートデスクトップ固有の欠点もみられます。

接続先のパソコンの機能を丸ごと使いたい時や、パソコンならではの処理を活かして作業したい時には向いていますが、例えば特定の文書だけをスマートフォンで参照・編集したいといった場合には、遠隔接続先の使わないソフトやデスクトップ画面が邪魔になり、前述した画面の見辛さや通信量が一層デメリットになってしまうでしょう。

さらに、オフィスに置いてあるパソコンを利用している以上、データや文書の情報漏洩対策については社内セキュリティに委ねられる面があります。いくら通信が暗号化されていようが、置いてある場所のセキュリティ対策が万全でないと結局情報漏洩に繋がってしまうでしょう。また、リモートデスクトップはインターネット接続が生命線となるため、オフラインの時には何も出来ないこともかなりのウィークポイントといえます。

Handbookを利用して更に便利なテレワーク

その点、モバイルコンテンツ管理システムを導入すれば重要なコンテンツだけにセキュアにアクセスすることができるのでより効率的です。本記事の冒頭で触れたHandbookならば、ただのクラウドストレージとは違いインターネット環境がない場合でもオフラインで資料を見たりコンテンツを利用することが可能です。さらに強力なセキュリティ機能も備えており、コンテンツを取り出せなくする制御やコンテンツの閲覧有効期間指定、コンテンツのダウンロード禁止設定などをユーザやグループ単位で設定することができます。

また、HandbookはテレワークやBCPの時だけに役立つものではなく、通常の業務でセールスツールペーパーレス会議ツール電子マニュアルとして多様に活用できるツールです。使う頻度が少ないツールを準備しても勿体ないですし、いざというときに使い方が分からなくなって混乱してしまいます。

このような普段から使えるツールを導入すればテレワークも慣れた環境で行え、更に便利で充実したものになるでしょう。

まとめ:手近なアプリやツールの活用で中小企業もテレワーク導入率アップを

冒頭でも紹介した総務省の調査から、「なぜテレワークを導入しないのか?」という質問の回答をみると、「テレワークに適した仕事がないから」という回答が圧倒的に多いですが、これにはテレワークをどうやって導入してみたらよいか分からないから、テレワークを最初から考えないようにしよう、という思考停止も含まれるのではないかと推測されます。※5

テレワークという概念から「コストをかけたインフラ整備とセキュリティ対策」を大げさに考えてしまい導入をためらうよりも、セキュリティを念頭に置きながら、まずは「こんなツールがあるから使ってみよう」という小さなところから試行して取り組んでいくことをお勧めします。

無償で使えるChromeリモートデスクトップはテレワークを試してみる最初のツールとして適していますし、Handbookでさらにセキュアなモバイル情報共有を導入すれば通常業務にも便利に使用しつつ、且つBCP対策としても大いに役立つテレワーク環境が整備されるでしょう。

テレワークは働き方改革が叫ばれる現代においては導入が必須の制度だといえます。中小企業こそ、ためらわずに導入することが必要なのではないでしょうか。

※5 総務省 平成26年版 情報通信白書より

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