ブラックベリー終焉にみるタブレット化への加速
1999年に初市販されたブラックベリーはカナダのリサーチ・イン・モーションが開発したスマートフォン。モバイルデバイスからの社内ネットワーク、Emailへの接続を可能にして世界を制圧しました。
一時は世界のビジネスマンの必須アイテムであり、「クラックベリー(ブラックベリーマニア)」なる言葉まで生みだしたものです。この言葉はWebster’s New World College Dictionaryの2006年のWord of the yearに選ばれるほどでした。誰もブラックベリーに敵うまいと思われていたのです。
ところが、iPhoneが2007年に登場。栄枯盛衰は世の常とは言え、意外に早くその牙城は崩れたのでした。
テクノロジーの進化とブラックベリーの衰退
ブラックベリーの衰退の理由についてはいくつも挙げられています。
ブラックベリーの強みであったEmailが、SNSなどのコミュニケーションツールの登場により、重要度が下がったこと。インターネット優勢の流れにうまく対応できなかったこと。エンドユーザーのユーザーエクスペリエンスに重きを置かなかったところに衰退の大きな原因があると言えるでしょう。
エンタープライズもコンシューマーライゼーション化
企業にあっても、社員は一エンドユーザーであり、業務環境においても、プライベートと同様のユーザーエクスペリエンスを求めることは自然の流れと言えます。
「コンシューマー市場で勝てないデバイスはエンタープライズ市場でも勝てない」とStrategy for MobileIronのVice PresidentであるOjas Rege氏はコラム「ブラックベリー時代から学んだこと」の中で述べています。
そして「エンタープライズにおけるスマートフォンは滅びている」と指摘し、「エンタープライズは今、モビリティ環境の変化のまっ只中にある」と言っています。
そのような中で、コンシューマー市場で支持され、エンタープライズでも今、脚光を浴びているのがタブレットです。
ビジネスもタブレットの時代へ
現在タブレットは、例えばユナイテッド・エアラインがコックピットへiPadを導入する等、ビジネスに活用する企業が増えています。
国内に目を向けてみますと、株式会社ICT総研の市場予測では、2012年度の法人向けタブレット端末出荷数は79万台、前年の1.8倍と普及が加速しており、2015年には2.2倍の175万台になると予測されています。
テクノロジーの進化と相まって急速に変化する世の中の流れに柔軟に対応していかねばならないのは大企業のみではありません。2012年度の企業規模別では大企業向け40.5%、中小企業向け20.3%とタブレットは大企業の導入が先行していますが、今後は中小企業向けが伸びていくと見られています。
タブレットのビジネス活用は企業の規模の大小、業種や業態を問わず、今後ますます拡大していくでしょう。
- 参考