企業はビッグデータをどう活用すれば良いのか?

2014/01/31

このところ、ITで話題のキーワードと言えば「ビッグデータ」ではないでしょうか。「クラウド」同様に単なるバズワードの枠を超え、IT活用の新たな潮流となりつつあります。

ビッグデータが「ビッグ」と呼ばれる所以は、1件1件のデータの大きさではなく、大量に蓄積されたデータベースの大きさです。あらかじめ収集・整理されることを想定した構造化データだけではなく、動画や音声データを含む非構造化データも含まれ、データベースサイズは巨大化の一途を辿っています。

例えば、WEBサーバのアクセスログ、POSデータ、SNSのつぶやき、コールセンターへの問い合わせ情報、自動車のECM内に蓄積される運転情報、PCの管理ツールから報告される自己診断データなど。業種もデータ量も更新頻度も様々です。

企業が日々蓄積されるビッグデータの活用を始めるには、まず何をすればよく、どのように活用すればよいのでしょうか。最新の活用事例から可能性を探ります。

How should the company utilize big data

photo credit: geralt via pixabay cc

データは既に存在しているか、これから生み出すのか

企業がビッグデータ活用を考え始めるタイミングとしては、大きく分けて2つ考えられます。1つは既存のデータ収集の仕組みを利用して採集しているデータを再評価する場合、もう1つはデータ収集・蓄積手段を1から構築して運用を開始する場合です。

既存のビッグデータを利用する場合、利用可能な形態へと再加工する必要があるかも知れません。一方、これからビッグデータの蓄積を開始しようとした場合、そればかりに目が行くとコア業務の足かせとなる可能性があるため、注意が必要かも知れません。

正規化されていない大量データに対する検索や抽出自体も困難です。専用の高速ハードウェア、高速の抽出アルゴリズム、最適化されたフロントエンドを新たに用意する必要があり、それらに通じた人材も必要となるでしょう。

ここからはいくつかの具体的事例を元に、どのような応用が考えられるのか見ていくことにしましょう。

クレジットカード会社と小売店の提携によるマーケティング事例

ある顧客がクレジットカードを利用すると、購入品目と位置情報がビッグデータとして蓄積されます。あらかじめ設定済みのキャンペーン情報とのマッチングが取れた場合、その顧客に対して適切なクーポンを発送する事により、ピンポイントかつ適切なタイミングでキャンペーンを低コストで打つことが可能になります。

このケースではクレジットカード利用を契機としていますが、ポイントカードなど、顧客を特定する手段があれば応用が可能な事例です。

大規模な広告を打つ必要がなくなるばかりでなく、クーポンの利用状況などもフィードバックする事で、キャンペーン効果の精度をさらに上げる可能性も持っています。

建設機械の動作状況収集によるメンテナンス事例

建設機械に取り付けられた稼働状況を通知する機能により、稼働データがビッグデータとして収集されます。運転状況や動作モード毎の故障状況を蓄積し、過去の故障データとの参照により、メンテナンス部品の交換時期の通知や故障予測などを衛星経由で行っています。

このような仕組みは、輸送用トラックやタクシーといった業務用車両など、センターへの通信機能を搭載している車両にも応用が効く技術です。

車載コンピュータであるECMやTCMなどだけでなく、センサー類を車両に後付けすることにより、タイヤのパンク予測、効率的な配車システム構築、粒度が高く、正確なサービス提供も可能となるでしょう。

ビッグデータの可能性

ビッグデータが何らかの価値を持つことに疑う余地はありません。

現在は、ビッグデータの活用法を探るという段階であり、やっと入口に差し掛かったところです。さらに分析手法やハードウェアの革新によって提供できるサービスの粒度が下がり、顧客一人、車両一台に合わせたサービスの提供が可能になるでしょう。

参考

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