日本経済新聞 電子版、朝日新聞デジタル〜新聞社におけるデジタル配信のビジネスモデル
毎朝、スマートフォンやタブレットで、通勤途中にデジタル新聞を読むという方も多いのではないでしょうか。
日本経済新聞社、朝日新聞社、産業経済新聞社(産経新聞)など大手新聞社が電子媒体の新聞を発行するようになってから数年。電子版の新聞はどの程度普及し、今後どうなっていくのでしょうか?現状とその未来を考えてみます。
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どうなっている? 電子版新聞の料金システム
現在、日本国内で電子版を発行している主な新聞社には、日本経済新聞社・朝日新聞社・産業経済新聞社などがあります。いずれも、紙の新聞と同等の内容をパソコンやスマートフォンで読むことのできるサービスを実施しており、一部の記事は無料で読むこともできます。
各社の料金体系を見てみましょう。日本経済新聞社と朝日新聞社は、宅配での新聞購読を契約していれば、その購読料金に1,000円を上乗せすることで電子版の利用が可能になります。
例えば、日本経済新聞社であれば、電子版と紙の新聞の両方を購読すると、月額料金は5,383円です。それに対して、電子版のみを購読した場合の月額料金は4,000円となり、従来からの購読者に配慮した金額設定になっていることが伺えます。
また、産業経済新聞社ではiPhone版やアンドロイド・スマートフォン向けは無料で利用でき、タブレットやパソコンでの利用には、料金が必要となるシステムを採用しています。
読者は無料で読みたがるけれど…
しかし、実際の利用者をみると、日本経済新聞社 電子版に会員登録している200万人のうち、有料版の利用者は31万人と、多くの会員が無料で利用できる範囲で電子版を活用していることが伺えます。
いくら紙の新聞との併読で割安になるとはいえ、インターネット上で多くの情報を無料で読むことのできる時代に、料金を払って情報を手に入れるというのは抵抗の大きいことなのかもしれません。
だからといって、紙の新聞と全く同じ内容のものを無料または格安の値段で電子配信してしまえば、宅配で新聞を読もうと考える人が激減することは容易に予測できます。そのようなバランスを考えた結果の料金設定が上記のものということなのでしょうが、まだ課題は多そうです。
無料配信との差別化が今後の課題となる
この先、新聞が生き残っていくために必要となることのひとつに、ネット上で無料配信されているニュースとの差別化が挙げられるのではないでしょうか?
無料で読むことのできるネットニュースは、新聞に比べてまだ情報量が少ないのが現実で、必要な情報を十分に手に入れることができないと感じている人も少なくないはずです。
新聞ならではの豊富な情報を活用するにあたって、記事の検索や保存が簡単にできる電子版には大きなメリットがあります。電子版の利便性をより高め、情報収集ツールとして広めていくことが、これからの新聞には求められるのかもしれません。