タブレットのビジネス活用を成功に導く6つのポイント
企業のタブレット導入への動きは加速し始めています。
ノートパソコンよりも圧倒的に軽量で、スマートフォンよりも画面が大きいタブレットは、ノート代わりに使うことはもちろん、電子カタログとして顧客への提案・プレゼンテーションのために用いることも可能。さらに外出先からオフィスのPCをリモートコントロールすることもでき、営業支援ツールとして理想的なデバイスです。
VDCリサーチが、企業においてモバイルのソリューションデザインやアプリ開発を担当する186人の回答者に対して行った調査では、タブレットを仕事場に導入することで生産性が40% 向上し、顧客満足度の平均値は30% 上がる、という結果が出ています(2014年3月 依頼元パナソニック)。
とはいえ、見えてくるのはもちろん良い面ばかりではありません。タブレットを導入しても、「なかなかうまく活用できない」という場合があります。間違ったデバイスを選んでしまうと、マネジメントの手間とコストの著しい増加を誘引するかもしれません。でもそれは、押さえるべきポイントを押さえていないために生じている可能性も、、、
では、タブレットをビジネス活用で成功させるためのポイントはなんでしょうか。今回は、ITリーダー向けのサイト「Information Age」 の「6 ways to make tablets a success in the enterprise」という記事をもとに、タブレット導入時に必ずチェックすべき6つの項目を紹介しましょう。
1.タブレットの使用環境を見極める
想定されるタブレットの使用環境を分析することは、そのビジネス環境にもっとも適したタブレットを選ぶための必須事項です。モバイルデバイスは、快適なオフィスから離れた場所で使われることが多いため、業務システムとの互換性のみが要検討事項、というわけにはいきません。事前にチェックすべき使用環境は、システム環境だけではないのです。
そのタブレットが実際に使われる現場は、どういうところですか?
フロントラインの状況を良く洗い出してみましょう。直射日光、水、振動、埃。これらがタブレットに与える悪影響は、そのビジネスに与える打撃と直結しているのです。必要に応じて防水・防塵仕様のデバイスを選択するなど、使用環境に応じた対応策を用意しましょう。
2.アクセサリを十分に検討しつつデバイスを選ぶ
タブレットのソリューションはサードパーティーのアクセサリを伴うことが多い、という点にも注意する必要があります。
バーコードスキャナーやクレジットカード決済をサポートするモバイルPOSなど、そのビジネスに必要不可欠なアクセサリは、タブレット本体と同じだけ重要な役割を持ちます。
逆に、そのアクセサリの耐久性、代用品、アップデートなどを正確に把握できないことは、ROI(Return On Investment:投資対効果)に大きなインパクトを与える可能性もあります。
また、実際にタブレットを使う個々のビジネスパーソンにとってもアクセサリは重要なツールになります。
例えば、次のようなシーンを想像してみてください。
- ・タブレット+キーボードで、外出先でもメインマシンをリモートコントロールしながらタスクをこなす
- ・タブレット+スタイラスペンで、頭に浮かび上がる漠然としたアイデアを書きとめ、仲間とシェアし、共同編集でそのビジョンを確かなものにする
アクセサリを加えることでタブレットはただのデバイスではなく、手放せないクリエイティブソースとして活躍し、仕事の効率をぐんと上げてくれます。アクセサリは重要な投資対象であり、タブレットの導入を成功に導くうえで鍵を握る大切な要素なのです。タブレット導入後に、「必要なアクセサリが思ったように使えない」ということがないよう、どんなアクセサリを使用するかを事前に十分に検討し、それに合ったデバイスを選択しましょう。
3.使用するアプリを吟味し、新規導入時には十分に教育に時間をかける
前出のVDCリサーチにおいて、タブレット導入における「失敗」は、平均して128分間の生産性の低下を招くという調査結果が出ています。これは、全てデバイスの使い勝手に起因しているというわけではありませんが、新しいデバイスが現場の効率を下げる要因と成り得ることも忘れてはいけません。
例えば、使用アプリを検討する場合、見慣れないアプリを大量に導入するよりも、ユーザーがすでに馴染んでいるアプリを適度に混ぜるほうが即座にフロントラインのビジネスをサポートできるはずです。
まずは、使い慣れたメインマシンのソフトをシームレスに活用でき、オフィスの延長線上でどこでも仕事ができるよう、タブレットをカスタマイズにすることが求められるでしょう。 その後は、新しいアプリについても徐々に慣れていってもらう必要があります。「使い方がよくわからないから…」と敬遠されてしまわないよう、しっかりとトレーニングを行うようにしましょう。
新しいデバイスがフロントラインに与える衝撃は決して小さくはありません。トレーニングには予定以上の時間をかけるべし、と心がけておいたほうがいいでしょう。
4.見えないコストに備える
タブレットをビジネスに導入するにあたり必要なサポートとはなんでしょうか。
まずは、ヘルプデスク、代替品、モバイルデバイスのアップグレードなどが挙げられるでしょう。その他にも企業の、ビジネスに特化したサポートのニーズはありませんか?
前出のVDCリサーチにおいては、タブレットが引き起こす問題が1% 増加するたびにTCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)が5% 上がるという調査結果が出ています。
これを踏まえ、起こりうる事項を隅々まで把握し準備を整えておくことは、ビジネスの効率を上げるためにもコストを抑えるためにも、決定的に大事なポイントだと言えます。
5.継続的に信頼できるかどうかを見極める
タブレットの導入においては、デバイス本体の耐久性だけではなく、アプリや周辺機器の全てのライフサイクルを包括して、ストラテジーに組み込んでいきましょう。進化の著しいワイヤレスモバイルは、プラットフォームに縛られることなく、最新の技術をビジネスに導入したいものです。とはいえ、コンシューマー用に開発された最新技術を、ビジネスに特化したモバイルソリューションとして採用する場合などは、技術提供元のサポートに限界が見えてくることもあるでしょう。
そのようなサポートの限界が業務に響かないようにしたいものです。そのためには、検討しているアプリや周辺機器に対して適切なアップグレードや長期にわたる保証が得られるかを事前にしっかりと確認する必要があるでしょう。これは、ライフサイクルのマネジメントにおいて重要なポイントです。
6.バッテリー管理に注力する
前出のVDCリサーチによると、企業のIT管理責任者がタブレットに求める要素のトップ3 は以下の通り。
- 1位 バッテリーの寿命 30%
- 2位 耐久性 28%
- 3位 セキュリティ 23%
これを見ると、バッテリーの管理に重きを置いていることが分かります。また、このリサーチでは、タブレットを導入している企業の約65% が、デバイスのバッテリー寿命は期待していた駆動時間に満たないことが「頻繁に」、もしくは「ときどき」あると答えています。
デバイスを外出先で安心して使えることは、仕事の効率を上げるための必須事項です。他社にサービスを委託することも含めてより良いバッテリーのマネジメントを検討することは、タブレットの導入を成功へと導く、とても重要なファクターなのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
タブレットの導入は、成功すればインパクトの大きいビジネスソリューションです。ポイントをしっかりと押さえ、適切な導入を行うことにより、タブレットはビジネスの発展に大きく貢献する、頼もしいツールとしてその役割を発揮し続けることができるでしょう。