Apple、Microsoft、そしてAdobeが取り組みを強化するクリエイティブツールとしてのモバイルの未来(2)
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Adobeが目指す、モバイルの併用が新たな体験を生み出す世界
先に触れたSurfaceでの利用に最適化されたツールをリリースするなど、モバイルでの利用についても積極的に取り組んでいるのがAdobeです。
Adobeはアプリケーションベンダーの立場から、スマートフォンやタブレット上で動作する簡易版のクリエイティブ系アプリをコンシューマ向けにリリースするなど、モバイルへの取り組みは早期からおこなってきています。そして、最近はプロ向けにデスクトップとモバイル、そしてクラウドのシームレスな連携によるクリエイティブツールの可能性を模索しています。
2015年3月に発表された「Comp CC」ではiPad上で直観的な操作でウェブや印刷物などのラフイメージを作成することができ、それをパソコン上で編集していく、というフローが想定されています。打ち合わせや移動の電車内などで閃いたアイデアをその場でさっとスケッチし、それをそのまま利用することができる、というのはデザイナーの工程削減につながるなど、大きなメリットがあることでしょう。
また、6月に開催された「Adobe Live 2015」で紹介された、モバイルで撮影した画像を自動でパスデータとして加工するアプリ「Shape CC」や風景写真から色の組み合わせを抽出する「Hue CC」などもモバイルとデスクトップとの連携を前に設計されており、デバイスの特性に最適化していく、という取り組みは今後も加速していくものと思われます。
プロ向けのツールを相次いでリリースする一方、コンシューマ向け製品である「Photoshop Touch」のサポート終了を5月にアナウンスしました。こうした傾向は、Adobeはコンシューマ向けではなく、プロ向けに傾注していく、という戦略を示唆しているものと思われ、今後の動向が注目されます。
モバイルならではの伝え方に対応したコンテンツ制作とは
ここまでの内容をまとめてみると、以下のようになります。
- ・リーダー、プレイヤーとしてだけでなくクリエイティブを生み出す、という視点も視野に入れるApple
- ・ビジネスで使えるモバイルという視点で周辺環境を急速に整備しているMicrosoft
- ・モバイルでプロ向けデスクトップアプリを補完し新たな体験を模索するAdobe
このように、モバイルが新しいクリエイティブツールへと向かっているというと文書、表計算、プレゼンテーション作成ソフトなどのオフィスツールやプロレベルでの画像や動画の編集などをモバイル上でおこなう姿を想像されるかもしれません。
しかしながら、これらの作業はデスクトップで実施するほうがメリットがあり、今後もデスクトップでの作業が主流であるのは当分の間、揺るがないだろうと思います。
むしろ、そもそもタブレットやディスプレイなどのデジタルデバイスでの表示、閲覧を前提として、ビジネスのシーンでも写真や動画、そしてテキストなどが組み合わさって活用されるケースが多くなっていることが大きなポイントです。
現在のオフィスソフトの場合、そうした連携がシームレスではない上に、組み合わせて作り込もうとしても精緻に作り込んでいくと時間や手間がかかる、ということがひとつのボトルネックとなっています。
それはそもそもこれらのソフトが紙、もしくは定型サイズでのスライドなどでの利用をベースにした資料作成を目的としたものである、ということが大きく関係しています。 タブレットの誕生からもはや5年近くが経過していますが、ビジネスのシーンにおいてタブレット上で活用するコンテンツは結局のところ、こういった紙での活用を前提にしたツールで作成されたものがほとんどで、モバイルならではのビジュアルやインタラクティブ性を踏まえたコンテンツを手軽に作成できるツールはほとんど普及していない、といっても過言ではありません。
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