ウィズコロナ/アフターコロナにおけるテレワーク環境での新人研修のコツ【後編】
Handbookとマイクロラーニングで新人研修を行うメリットを分析

2020/06/08

先日公開した前編の記事では、完全テレワークで新入社員研修を実施した結果発生したトラブルや課題について、パソコンに加えてスマホやタブレットといったモバイル端末を活用し、マイクロラーニング形式で教育を進める方針に転換したところまでを記載いたしました。今回の後編では、Handbookを使うメリットと、マイクロラーニングを実施することでもたらされる効果について分析し、効率的なテレワーク研修実現のポイントをまとめたいと思います。

オンライン研修

1.モバイル+Handbookを使う4つのメリット

モバイル端末を用いたマイクロラーニングの要素をオンライン研修に取り入れるにあたって、柱になるアプリがHandbookです。Handbookならではのメリットを4点ほどピックアップしてみました。

Handbook Studio

(1)安定感…オフラインでも使え、回線好不調の波に影響されない

クラウドストレージやオンライン動画サービスなどはインターネット回線が繋がらないと使えなくなりますが、Handbookはオフラインでも使えるのが特長です。ビデオ会議を一日中アクティブにしているとノートPCに負荷がかかり、処理が重くなります。ネットワーク帯域も消費するのでインターネットへの接続遅延も発生しがちですが、スマホ+HandbookならPCの回線トラブルには影響されず、たとえネット接続が失われても安定して使うことができます。

(2)スマートなデータ共有とセキュリティ…コンテンツ単位での保護、アクセス権の設定が可能

社用のスマホやタブレットを配布できない場合は、BYOD(Bring Your Own Devbiceの略…従業員が私物の端末を仕事に使うこと)で対応することになるので、会社のデータにアクセスする際は情報漏洩などセキュリティ面の対策が必須となります。チャットやクラウドストレージだと情報が埋もれがちで、誤操作によるセキュリティ事故が心配です。しかし、Handbookならコンテンツ単位でパスワード認証やデバイス認証などの保護、ダウンロード禁止や有効期限を設定できるので、機密資料もセキュアに配信できます。

Handbook Studio

(3)双方向なコミュニケーション…クイズやアンケートによるフィードバック、操作ログ

Handbookでは管理者からユーザーへの資料配信のほかに、ユーザー側からの反応をフィードバックする機能も備えられています。穴埋め問題、画像選択問題など様々な出題方法に対応したクイズを簡単に作成し配信することができ、さらにユーザーの回答結果や採点結果は自動集計されて一覧で確認できます。コンテンツの評価やコメントを登録することもでき、閲覧者とのコミュニケーションも図れるほか、配信したコンテンツに対する閲覧者の操作記録もダウンロードできるので、より効率的に教育を行き届かせることができます。

Handbook Studio

ダウンロードして書き込み機能でペーパーレス促進

コンテンツをスマホやタブレットにダウンロードすることによって、文書をフリーハンドでマークアップすることができます。自宅にプリンタがない環境でも、資料を印刷することなく書き込み可能なので非常に便利です。

このように、Handbookは手軽さとセキュリティを兼ね備え、企業のテレワーク研修にピッタリのツールです。他にも、Schooというオンライン動画配信サービスは、各講義を細かい単位で分割してモバイル端末で視聴できるため、マイクロラーニングに役に立ちました。このように、マイクロラーニングにフィットしたサービス、ツールを積極活用していくことがポイントだといえます。

2.あえて自宅でモバイルを使ってマイクロラーニングをする効果とは?

マイクロラーニングは「小さく区切られた教材を用いて短時間で学習する」「電子化されたコンテンツをスマホやタブレットを用いて閲覧する」という特徴があります。その特徴により、営業担当者や店舗スタッフなど、じっくり腰を落ち着けて学習する時間が取れない人たちが、「スキマ時間」を利用して効果的に学べる手法として注目されてきました。じっくり腰を落ち着けられるテレワークでは、本来マイクロラーニングが必要とされないかもしれません。しかし、マイクロラーニングにはテレワークの課題を解決する思わぬ効果がありました。

効能1:ストレスとプレッシャーから解放される

あえてスキマ時間を作る、という逆転の発想でマイクロラーニングの手法を利用しました。一日中PCの前に釘付け、かつオンラインで監視されているというストレスや心理的不安を和らげる目的です。長時間連続の学習を短縮し、オフラインの時間を設け、スマホやタブレットを使い自由な場所(ソファーの上、散歩しながら等)で学習する裁量を持たせます。研修生もリラックスできたようで、効率アップにつながりました。

効能2:環境の差によるハンデが解消される

テレワークでは、PCのスペックの良し悪しや、インターネット回線の状況、また自宅の室内環境など、多くの環境要因に左右されます。ネット回線も不安定なうえに子どもやペットが邪魔をしてくる、といった環境下ではなかなか集中できません。マイクロラーニングでは各コンテンツが少量なので、環境が悪くても比較的影響は少なくてすみ、研修を着実に進めることが可能になります。

効能3:コミュニケーションの活性化

スマホやタブレットを取り入れることで、研修生からのコメント、質問、ちょっとした雑談などの発信回数が多くなりました。これには理由が2つ考えられ、まず今の若い世代にとってはPCよりもスマホやタブレットが使い慣れていること、あとは手元に「PC以外のもう一つのデバイス」を置くことで、作業が捗るからでしょう。

このように、マイクロラーニングはテレワーク研修においても充分メリットが多いことが分かりました。

具体的な例をあげておきましょう。新人3名のうち、当初横並びで研修を始めた時に理解度やスキルで劣っていたAさんでしたが、マイクロラーニングに切替たところ伸びていき、4月の下旬には遜色ないスキルを身につけることができました。Aさんの場合、ネット環境が悪いのかWEBミーティングの音声が聞き取りづらいことが多く、障害になっていました。比較的控え目な性格も災いして、少し研修から取り残されていた感がありました。しかしスマホとマイクロラーニングを取り入れたところ、力が発揮されるようになったのです。Handbookのログでも一番多くコンテンツにアクセスしており、Aさんの積極性を既存社員も理解できるようになりました。

3.まとめ:効果的なテレワーク新人研修実施のポイントと次回への課題

最後に、1カ月間テレワークで新人研修を行った経験から分かった「効率的に研修の成果を上げるポイント」と反省点、次回への課題をまとめて終わりたいと思います。

ポイント 効果
モバイル端末も使用する ・PC不調時のバックアップ、PC負荷分散
・コミュニケーション促進
マイクロラーニングを取り入れる ・オンライン特有のストレスと心理的不安を除去
・環境の差を埋める
Handbookなどのツールを活用する ・モバイル端末でテレワークを支援するツールを使うことで、より効果がアップする
双方向のコミュニケーションを行う ・日報、クイズ、アンケートなど。一方的ではなく参加者からのフィードバックが重要

やはりモバイル+マイクロラーニングの効果は大きく、チームワークも向上したように思います。家の中だろうとスマホやタブレットは必要なデバイスであることがよく分かりました。

反省点 次回への対策
パソコンのスペック不足 ・性能の良いPCを用意する
・スマホ、タブレットに比重を置いた運用にシフトする
ペーパーレスが不充分 ・事前に紙の資料をHandbookにアップロードしておく
マイクロラーニングにおける管理・評価体系 ・小さなマイルストーン毎の目標設定と成果に対する評価を、より具体的に明確に示す必要あり

課題としては、準備不足に起因するものが多かったです。そして、今後は必ずしもPCに拘る必要がないように思われました。モバイル端末の活用はペーパーレス化も併せて推進することが出来るでしょう。

おわりに

ちょうど、この原稿を書いている5月25日、先月から続いていた新型コロナウイルスに係る緊急事態宣言が全面解除される見通しとなりました。しかし、たとえこのままウイルスの拡大が封じられたとしても、企業活動が全て元通りになるとは限りません。日本中に浸透したテレワークは今後も様々なシーンで継続されるでしょうし、テレワークを原則とした業務体系に切り替える企業も現れることでしょう。今回お届けした新人研修を在宅で実施するノウハウは、どこの企業でも備えておくべきナレッジだと思います。モバイル端末と各種ツールを活用しつつ、次に対応できるようにしておきましょう。

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