「エンタープライズのコンシューマライゼーション」の今こそ、UXを考える
今日、ITトレンドに最も大きな影響力を持つと言われている「コンシューマライゼーション」。企業の業務環境においてもコンシューマライゼーションがようやく脚光を浴び始めました。つまり、消費者向けに登場した先進的な技術や製品、サービスといったものを、企業も積極的に取り入れ始めたということです。
この「エンタープライズのコンシューマライゼーション」でカギを握るのが、UX(ユーザーエクスペリエンス)です。それは同時に、IT部門の占める役割も一層重要なものとなってきたということを意味しています。
では、なぜエンタープライズのコンシューマライゼーションにおいて、UXがカギとなってくるのでしょうか? また、これからのIT部門に求められる役割とはどのようなものになるのでしょうか?
企業に求められる「敏捷性」
SearchCIOのシニア・ニュース・ライターであるニコール・ラスカウスキィ氏は、モバイル、ソーシャル、クラウド、ビッグデータ等が次々登場し複雑化していくITに対応していくためには、「長期のプロジェクト管理サイクルから離脱し、顧客のフィードバックに基づいて迅速に変化できるような体制を整えなければならない」と述べています。
例えば「ビッグデータ」も、その特徴は扱うデータの量だけでなく種類も多いことにありますが、その膨大なデータを処理するスピードが重視されています。
このように「スピード」が重視されるようになってきた中、企業が世の中の変化に対応して生き残るためには、業務における「迅速な決断」や「敏捷性」が不可欠となります。では、どのようにすれば、そのような「速さ」が実現できるのでしょうか?
業務の効率化と迅速性を目指すとき、「エンタープライズのコンシューマライゼーション」はその答えの一つであると考えられます。
家庭用デバイスと同様のUXをエンタープライズ・ソフトウェアにも
近年、プライベートシーンにおけるテクノロジーやデバイスは急速に進化してきています。職場環境においてもそれらの恩恵を享受したいと考えるのはごく自然な流れでしょう。なぜなら、家庭用のデバイス等はユーザー視点に立った使い勝手の良さをそなえているからです。
「使い勝手が良い」ということは、職場における「業務の効率化やスピードアップ」につながるため、このようなテクノロジーが企業においても求められるようになってきたのです。
業務が滑らかに進むためのUXの実現が必要となる
従来、企業のIT部門は社内で使用するソフトウェアを「業務を管理する」という面を重視して選びがちでした。ところが、UXにおいてはいかに業務が滑らかに進むかが重要です。ファイルのシェア、チーム作業、コンテンツの編集等の日常の煩雑な業務をきちんとサポートしてくれるかがポイントになります。
これは、生産性の向上や迅速なレスポンスへと大きく効いてくるところであり、それを実現するUXを業務環境にもたらすためには、現場の様々なニーズをよく把握し、適切なソリューションを提供していく必要があります。
管理側に立つだけでなく職場環境でのUXにいかに配慮するか? 業種、業務形態、職種等が異なれば必要なソリューションも異なるという中で、IT部門の果たす役割はますます重要なものになってきたと言えます。
まとめ
家庭などのプライベートシーンにおけるテクノロジーやデバイスの進化は目覚ましく、エンタープライズのコンシューマライゼーションも必然的な流れと言えるでしょう。エンタープライズもまた急速に変化する世の中の流れに対応するためには、素早い情報収集や迅速な判断が必要であり、コンシューマライゼーションをうまく利用するべき時が来ています。
企業においても家庭用デバイスなどと同様の「使い勝手の良さ」をもたらすテクノロジーを用い、業務が滑らかに進むためのUXを実現することが必要となってくるでしょう。そのためには、現場での実際のニーズを的確に把握し、それらに合わせたソリューションの提供が必要となります。
その一方で新たな形で情報漏洩等の問題が出てきているため、セキュリティなどの「管理面」と「UX」という、相反する性質を持つ両者の橋渡しをするIT部門の重要性はますます高まったと言えるでしょう。
- 参考