社員のココロに効くサプリ!? インナーコミュニケーションにモバイルツールができること

2015/07/31
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近年、企業内で社員の帰属意識や愛社精神を高めるための施策としてインナーコミュニケーションに注目が集まりつつあります。しかしながら、多くの企業では、慣習として以前から続く社内報の発行と各種定期イベントの実施で達成できている、としてしまっているケースが少なくありません。

しかし、せっかく毎年費用をかけているのにいまいち成果が出ているように思えない、といった声や効果が可視化しづらいから経費削減の対象になりつつある、といった担当者の方の声があるのも事実です。

今回はインナーコミュニケーションとはそもそも何であるか、ということを踏まえながらデジタルツールができることについて考えていきます。

社員に「自分たちの会社である」という認識を
インナーコミュニケーションは社員の気持ちを高める

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バブル崩壊後、「失われた20年」と呼ばれる長引く不況の中で実施された成果主義の導入とリストラの嵐。これらは雇用者側だけでなく、経営側も含め、多くの企業に深い傷跡を残すこととなりました。

高度経済成長期は大家族経営というスタンスで終身雇用・年功序列を掲げていた企業においても、不況下での生き残り施策として次から次へと成果主義の導入やリストラが敢行されていった結果、もともと持っていた自社への愛社精神や帰属意識が時間の経過とともに低下していった、というような社員も少なくないようです。

そうした流れは社員同士の関係希薄化にも繋がり、社員同士が相互にコミュニケーションや協力を積極的にしようとしない、ということや自分のことだけで我関せず、という風潮が高まりました。

一時期バズワードとして話題になった「フリーライド社員」というような言葉で揶揄された、人の手柄を自分の手柄としてしまう、というようなある種のコミュニケーション不全な社員が出てきたのも、社員の帰属意識の低下に起因する組織としての結束力の低下が大きな部分を占める、というような意見もあります。

こうした状況は一部の会社だけでなく、規模、業種問わずさまざまな企業にて発生してきており、各社はこうした状況にいかに対応をしていくか、ということに頭を悩ませることになりました。

そうした状況に対して出てきたのがいわゆるインナーコミュニケーションと言われる考え方です。インナーコミュニケーションとは、社内のメンバーに対し会社への愛社精神や忠誠心などのロイヤリティ向上、モチベーションの上昇をはかることで社員の仕事に対するコミットを高める狙いとして実施するものです。

社員に「自分たちの会社である」という認識を植え付けることで、仕事の質の向上を図り、顧客からの満足、支持を得ることを目指します。定期的に発信して社員を鼓舞することはある意味、社員の気持ちの栄養剤とも言えるかもしれません。

活用メディアはアナログからデジタルへ
デジタルでのインナーコミュニケーションの問題点

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昨今実施されているインナーコミュニケーション施策のうち、多くのものはインナーコミュニケーションという考え方がない時代からのものです。たとえば社内報や懇親会、社員旅行などはその代表的なものだと言えます。

すなわち、会社の理念や考えを提示し、合わせて社員間の横連携も強化する取り組み、それを冊子だったり、イベント・旅行というようなメディアを通じておこなっていた、ということです。

そしてパソコンやインターネットの普及以降はデジタル上での試みも増えてきています。その代表例はイントラネット、社内SNS、メールマガジンといったものです。それぞれ得手・不得手はありますが、こうしたツールを活用することで情報発信が紙媒体を都度発行するよりも手軽におこなえるようになりました。

しかしながら、こうした施策の場合、二つの問題が存在します。ひとつは業務が忙しい中、社員の閲覧率が伸び悩むという問題です。業務でパソコンを使う場合は自席で見ることができますが、そうでない場合はそもそも「見ることができない」という事態も発生します。

イントラネットなどは会社の機密情報などの関係でアクセスする端末を制限することも多いため、イントラネットを見るためにわざわざ見られるオフィスへ行く、というような事態すら発生しています。社員満足を高めるための施策が逆に社員の時間を奪ってしまいその結果サービスの品質が低下する、というのでは本末転倒でしかありません。

もうひとつは、社員のフィードバックが見えないという問題です。社員がインナーコミュニケーションの各実施内容に満足しているか、といったところをアンケートで確認する手段は多くの企業で採用されている常套手段です。しかし、アンケートの場合、回答の回収率が高くないことがあり、あるいは回収を強制した場合でも、回答内容は本音ではなく建前で終始するケースも多く、社員の本当の声を見出すことに苦慮されていることも多いのです。

社員の声が見えない場合、担当者は結果をもとにPDCAサイクルを回してブラッシュアップ、ということができません。その結果、思いつきで企画を立案、実行するというようなこととなり、社員が求めているものとかい離した内容がずっと発信されている、という事態もあるようです。

デジタルを利用したインナーコミュニケーションでの問題点を見てきましたが、デジタルをインナーコミュニケーションに活用するのが決して望ましくないわけではなく、むしろ上手に活用することで成果を上げているケースも少なくありません。

デジタル活用のインナーコミュニケーション
成否のカギは一貫した設計ポリシー

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デジタルでのインナーコミュニケーションを考えていくにあたり一番重要なのは、「どのようなメッセージを発信するのか」に尽きます。どのようなメッセージを発信するのか、の内容についてはコンサル会社などがいるほど専門的な分野ともなり、本サイトの領域からは外れるのでここでは割愛します。

また、内容をしっかりと決定したうえでそれを発信するにあたり、「しっかりと閲覧してもらうこと」と「閲覧に対するフィードバックをもらうこと」を踏まえたメディア選定をおこなっていきます。その際に利用するメディアは先に挙げたイントラサイトなどをはじめ、いろいろなものが想定されます。場合によっては外部のウェブメディアのようなものを利用するといったケースも考えられます。

内部メディア 外部メディア
・社内イントラ
・社内SNS
・メール(メーリングリスト)
・共有スペース、ツール
(MCMツール等)
・ウェブメディア
・記事広告

また、これらメディアでの表現手法としてこれまではファイルサイズの関係などでテキストと写真が中心でしたが、インフラの整備とともに動画が活用されるケースも多くなってきています。

昨今、タブレットを資料共有や営業支援、接客目的で利用するケースが増えていますが、そうした目的で導入したタブレットと動画などのメッセージを組み合わせることで効果を上げている企業もあります。たとえばメガネ製造メーカーでは、営業資料の共有用に導入したタブレットに対して社長メッセージの動画を配信することでインナーコミュニケーションにも活用して成果を上げています。

また、多店舗展開が多いサービス系業種の企業においても同様にマナー研修や商品知識研修などの社員教育用に利用しているタブレットへ会社からのメッセージも合わせて配信することで社員にしっかりとインナーコミュニケーション用コンテンツを閲覧してもらうスキームを作り上げています。

さらにこれらふたつのケースではともに、タブレットでの文書管理ツール(MCM)を利用して社員の閲覧履歴を取得し、ツールのアンケート機能なども併用することでそれらを以てインナーコミュニケーションのメッセージ改善に役立てる、というスキームを確立しています。

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まとめ

業種、業態、そして組織風土などによりインナーコミュニケーションでのメッセージの伝え方は異なってきます。そうした点を踏まえて、先に重要であるとした「発信するメッセージ内容」、「閲覧方法の確立」、「閲覧後のフィードバック」をしっかりと社内で議論、設計したうえで取り組むことがポイントです。

設計時に社内の関係者にレビューなどを実施した結果、インナーコミュニケーションに対する社員の思いをヒアリングできるなど、思わぬ副産物が得られることもあります。メディアやツールを効果的に活用したインナーコミュニケーション施策の参考にしてみてください。

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