最高のメンバーで、新しい「なくてはならない」を創りあげる、共有カレンダーアプリ「TimeTree」開発の裏側をインタビュー

2015/10/28
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2015年3月にリリースされてからAppStoreでのベスト新着アプリに選定されるなど、順調にユーザからの支持を集めているスケジュール共有アプリ「TimeTree」。日本だけではなく、海外版もリリースしており、中国、韓国でも「ベスト新着App」に選定されるほど。今回はその「TimeTree」の開発・運営をおこなう株式会社JUBILEE WORKS深川泰斗氏に創業までの経緯とサービス開発の裏側、そして今後の展開などについてお話を伺いました。

※写真は創業メンバー5名。当日は1名が外出のため4名での撮影となっています。

「最高のチームワーク」が起業へ繋がった

–Q01. まず最初に会社創業までの経緯についてお教えください

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創業メンバーは私を含め5名だったのですが、そのメンバーとは業務にて出会いました。私が前職である、ヤフージャパン在籍時に出向したカカオジャパンでサービスの開発・運営をチームでおこなっていたのですが、そのチームがとにかく仕事を進めていきやすい印象でした。それまでにもヤフージャパン、そしてその前の会社など、さまざまな方々といろいろとお仕事をしてきましたが、これまでで一番仕事をしやすい、と感じていました。

ただ、出向という形でしたのでいずれは戻らねばなりません。そうなるとチームは解散です。幸いなことに、メンバー皆がこのメンバーでもっと仕事をしたい、という思いだったので皆で起業を決意しました。

何をするかはまだ決めていない、しかし、このメンバーだからきっとやれる、そういう想いです。

その決意からは慌ただしい日々が続きました。各自が日々の業務を終了後にカフェなどでミーティングを重ねる日々。メンバーがもともとアプリ開発のチームでメンバーは一通り揃っている(iOSエンジニア、Androidエンジニア、サーバエンジニア、デザイナー、ディレクター)こともあり、どういったアプリを開発するか、大枠から徐々に絞り込んでいきました。エンジニアというと一般的にはプランニングにあまり首を突っ込まないようなイメージがありますが、当社のメンバーは企画系周りも得意としていたため、全員で喧々諤々議論を重ねました。そして創業のタイミングまでにはスケジュール管理のアプリを開発していくことで大筋まとまり、2014年9月1日、JUBILEE WORKSとして旗揚げすることができました。

「素晴らしいのもっと先」を追求し、リリーススケジュールを変更

–Q02. TimeTreeリリースまでの経緯についてお教えください

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もともとサービスインは2015年初頭を予定していました。しかし、私たちがリリースタイミングで実装したい機能をフルで開発していくとなると、その期間内には到底難しく、どうすべきかメンバーみんなで話し合いをおこないました。開発している間は一刻も早くリリースをしてユーザの反応を確かめたい、という衝動にも駆られ、一方でクオリティを高めてリリースしたいという想いの間で葛藤することがありました。

そうした中、自分たちの判断基準となった言葉が、「素晴らしいのもっと先を」というフレーズです。これは私たちが会社を運営していくにあたり大事にしたいこととして創業時に決めた4つの社訓的なもののうちのひとつです。開発している自分たちがまず「素晴らしい」と思えるそれ以上のもの、そこを基準に実装する機能を絞り込み、開発を進めていきました。

開発の進め方は仕様書をがっちり作成してそれに則っておこなっていく、というよりは各自がスケルトンを持ち寄り、それをたたき台にしてブラッシュアップしていくというやり方でおこないました。

働き方も非常に柔軟に、基本はオフィスではありながら各自の一番効率的なやり方を重視しました。既にカカオジャパンでの業務を通して仕事の進め方含めお互い信頼が成り立っている関係性だったので、大きな問題もなく開発を進めていくことができました。

リリース後の不安の中放たれた妻からの逆転ホームラン

–Q03. サービスローンチ後の経緯についてお教えください

その後も紆余曲折はあったものの、2015年3月中旬にAndroid版、iOS版のリリースに向けた開発が終了。3月22日にリリースに漕ぎ着けることができました。リリース当日に向けてプレスリリースも配信、ネットニュースなどへの掲載からの拡散を期待していましたが、当日は全く鳴かず飛ばずの状況。リリースの喜びも束の間、今度は大きな不安に駆られました。せっかくここまで良いモノを作ったのに、埋もれてしまうのか、、落胆した思いで家に戻り、妻にリリース初日の反応、そしてそれを受けた自分の思いを打ち明けました。

妻はそんな自分の様子を横目に見ながら、日ごろから使っているTwitterに利用のお願い的な内容をツイートしていました。

すると、ひとつ、ふたつとリツートやお気に入り登録が増えていき、あれよあれよという間に膨大な数へ。そして、そのリツイート数に比例する形でユーザからのアクセスや問い合わせが増加。さらにその拡散を受けてのネットニュースへの掲載もあり、その勢いは加速していきました。そこからはメンバー総出で問い合わせ対応マシーンと化し、朝から晩まで一日中問い合わせ対応に時間を費やしました。

そして同時並行で問い合わせとしていただいた疑問点への返答内容をそのままサポートページへも展開。正直な話、リリース時には充実させることができなかったサポートページでしたが、多くのお問い合わせのおかげで気づけば大充実したサポートページへと化していました(笑)。結局、最終的なリツイート数は1万超、お気に入り登録も同じくらいの数で、多くのユーザの方々からのリアクションを頂くことができました。それらの中の温かいメッセージ、励まし、ご意見は運営側にとって大きな励みとなりました。本当にありがたいことだと思っています。

参考:妻のツイートに1万人反応、夫のアプリが一躍有名に(日経MJ 奔流eビジネス)

「素晴らしいのもっと先を」の姿勢がユーザに支持された

–Q04. TimeTreeがユーザからの支持を得られた理由についてのお考えをお教えください

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これは先ほどもお話したところと近いですが、多くのユーザの方々から継続的に利用しながらも改善のご助言などをいただけたことがまず挙げられます。そして、開発タイミング及びリリース後の運営にあたってストイックに対応をし続けてくれたメンバーみんなの頑張りです。

確かにスケジュール管理を共有する、というコンセプト自体は面白いという評価を頂いていますが、コンセプトが良くても品質やサポートが伴わない結果、ユーザが離反していったサービスは多くあるのではないでしょうか。私たちは「素晴らしいのもっと先を」の視点を常に持ち、アプリの開発やデザインも細部までこだわり、僅かな部分にも妥協しない姿勢を貫いています。そしてカスタマーサポートもユーザの期待以上の回答を提供することを常に意識、徹底しています。そうしたこだわりから生まれる体験を経てユーザの記憶に残り、果ては毎日使われるサービスとなっていく、という考えで私たちは取り組んでいます。

海外ユーザからも多くの支持、中国ではマンスリーベストAppに選定

–Q05. 個人ユーザ以外での利用状況と今後の展望などについてお教えください

ご質問の趣旨とは少し異なる部分もあるのですが、実はTimeTreeは海外でも利用されていて、現在は日本版以外に英語版、中国語版、韓国語版をリリースしています。とは言ってもそれぞれ機能面やUIのローカライズをおこなっているわけではなく、あくまでメニューやラベル、そして説明テキストなど言葉の部分のみとなります。事の発端はAppStoreの「ベスト新着App」に日本語版だけでなく、中国版や韓国版でも取り上げられたことです。そのタイミングで日本のユーザも増加したのですが、韓国、中国のユーザも急増。特に中国のユーザの伸びは目覚ましく、中国版AppStore上で2015年「8月のベストApp」として選定されることとなりました。また、熱心なユーザの方々にご支持頂いているようで翻訳ボランティアの申し出があったほどです。拙い言葉でのコミュニケーションではありますが、それでも根底にある心は伝わるものだ、と感じました。

TimeTreeの使われ方として、企業内での利用が増えてきており、中には追加機能のリクエストを頂くケースも少なくありません。昨今、コンシュマライゼーションという概念が少しずつ企業内に浸透しつつあるように思いますが、そうした時代の流れを受けたものだと分析しています。たとえば、企業内のチームやプロジェクトでメールの代わりにチャットやLINEのようなツールでコミュニケーションを図るようなケースです。今後もこうした流れは拡大していくと私たちも考えており、今後の展開についても社内で検討を重ねています。

新しい「なくてはならない」になるために、やるべきことをやる

–Q06. 今後のアプリの展開、機能追加などについてお教えください

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今後の展開については日々いろいろと検討をしていますが、ひとつ言えることとして、いかにユーザの毎日に「なくてはならない」ものとなれるかを最大の目標として考えています。そのため、現在はアプリ内の視認性を低下させるようなバナー広告などユーザにノイズとなることは一切考えておらず、これまで同様に引き続きユーザの助言なども仰ぎながらサービスのブラッシュアップに注力していきます。今後もユーザ間のコミュニケーション促進に繋がる施策をいろいろと考えているのでぜひ期待していてください。

取材を終えて

今回、深川氏に90分に渡りインタビューをさせて頂きましたが、そのお話をさせて頂く中で強く感じることができたのはサービスに対する強いこだわり、想い、そしてユーザをはじめ、メンバーや関係する方への気遣いや配慮、感謝の念でした。

記事中でも取り上げましたが、「違いを尊重する」、「議論で道を見つける」、「素晴らしいのもっと先を」、「わからないことを楽しもう」というJUBILEE WORKSメンバーの大事にする考えが反映されているのがまさにこのTimeTreeというアプリであり、今後もこれらの考えの元、木(Tree)のごとく、成長を果たしていくのだろうと感じました。

スケジュール管理の概念を変えるアプリTimeTree、まだ利用したことがない方はまず一度、インストールしてみてはいかがでしょうか。

TimeTreeの公式サイトはこちら

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