ルールを守って安全にドローンを飛ばして撮影する方法
はじめに
最近、個人やビジネス用のドローンが注目されていますが、ルールや法律に違反した一部のドローンパイロットによる墜落事故なども報道され、悪い印象も世間に与えています。
本記事では、国で定められた法律やルールを熟知し順守することで安全に事故の起きない飛行を実現し、さらに盗難乗っ取りなどセキュリティの危機も回避して利用する方法を紹介します。
ドローンを飛ばす前には必ず点検を
ドローンを安全に飛行させるには、定期的な点検と交換、メンテナンスが必要です。
ドローン本体のフレームの傷や凹み、プロペラの損傷や歪み、ケーブルの損傷や抜け、カメラのホコリや傷、ネジの緩み、バッテリー充電状況、エンジン開始時の異音などの点検を怠らないようにしましょう。
また、ドローンの水平状態を保つためのキャリブレーションについて、ソフトウェアやファームウェアの更新の確認を行い、更新内容がある場合は必ずアップデートが必要です。
後述する国土交通省へのドローンの飛行申請には、点検・整備記録が必要となりますので、定期的に実施するようにしてください。
ドローンを飛ばしてよい場所を必ず確認
飛行距離、飛行時間、安全性について改良と進化を続けるドローンですが、それでもすべてのロケーションで飛ばしても良いということではありません。
ドローンの夜間飛行は禁止されていますし、日中であってもドローンを目視できない場合や、住宅密集地上空の飛行、空港や自衛隊、米軍基地の上空、人や建物から30m以内の飛行は禁止とされています。
ドローンの性能向上により遠距離飛行が可能となりスマートフォンでリアルタイムプレビューしながら操縦は可能ですが、ドローンを目視できない時点で違反になります。
東京都内、都市部ではほぼ全域ドローンが飛行禁止となっています。各都道府県で条例によって場所によってはドローンを持ち込むことも禁止となっています。
事前に飛行する自治体の条例を確認したうえで、違反しないよう十分に気をつけましょう。
具体的にドローンの制限区域は、どのように調べたらよいでしょうか?
DJI社が公開している「DJIフライングエリア制限」のマップが非常に参考になります。
ドローン飛行制限エリアの確認は、DJI社のホームページをご参照ください。全世界の飛行制限エリアなどがチェックできます。
認可が必要な飛行には国土交通省へ申請が必要
飛行制限エリアの確認とともに、国土交通省のホームページも合わせてチェックするようにしてください。
ドローンの飛行ルールに対しては航空法が適応されます。これに違反した場合は、50万以下の罰金が科せられるとのことです。
飛行制限エリアである人口密集地、高度150m以上の空域の飛行、また夜間の飛行には、国土交通省からの認可が必要になります。
詳しくは、国土交通省ホームページをご参照ください。
法律や許可範囲内での飛行であれば、申請は必要ありませんが、ビジネス用途では人や建物から30m以内での飛行も想定されます。
例えば、街並みの空撮依頼、足場の組めない、人の行きづらい場所での設備メンテナンス、インフラの点検や保守業務などで飛行する場合が申請対象になるでしょう。
複数のロケーション、長期間の期間での申請も可能です。
ドローンの通信セキュリティについて
ドローンは、自動車やバイクなどと違いエンジンキーなどがなく、また手で持ち運びできるハンディーなサイズがほとんどですので、充分盗難に注意してください。
目を離したり置きっぱなしにすることは控え、鍵をかけた場所に保管しておきましょう。
また、ドローンはコントローラーまたはスマートフォンを使って操縦しますが、ドローン本体とコントローラーの間はWi-Fiで通信します。
ここで、ドローン飛行中に悪意ある者により映像データが盗まれたり、ドローン本体が乗っ取りされるなど、情報漏洩の可能性について考えてみたいと思います。
市販のドローンは2.4GHz、または5GHzの一般的に普及している規格のWi-Fi無線通信にてスマートフォンやコントローラーと通信し飛行するので、競合するような妨害電波を出し飛行中のドローンとコントローラーの通信の邪魔をすれば容易に通信不能にすることが可能といえます。
通信不能となったドローンはホバリングで待機状態になります。
このとき後述するリターンホーム機能を備えている機種であれば自動的に飛行を開始したポイントに戻ってきますが、そうでなければドローンが待機状態の間に第三者がスマートフォンからそのドローンに接続でき、そこでWi-Fiにパスワードがかかっていなかったら、いとも簡単に乗っ取られてしまうでしょう。
ドローンによっては初期値でWi-Fiのパスワードが設定されていない機種も多く、接続するSSIDも隠されていません。
そのままパスワードをかけずに使っているケースも多くみられるといいます。
最低限、ユーザー側でWi-Fiのセキュリティを設定しておくことは必須といえます。
通信不能トラブルに備えリターンホーム機能は必須
今度は、ドローンが飛行中に通信不能、すなわちドローンを操作できなくなった場合どのように対処方法するかについてご紹介します。
結論からいうと、遠くの上空に浮かんでいる機体に対して通信がロストすると操縦者側は対処のしようがなく、機械の機能に任せるといったことになります。
筆者もドローン飛行中に通信不能になった経験があります。
墜落や事故の心配で生きた心地がしませんでした。しかし、数分間途方に暮れていると、ドローンのプロペラ音が近づいてきました。ドローンが自力で離陸地点、またはホームポイントへ戻ってきたのです。
この機能は、リターンホーム機能、またはリターントゥホーム機能と呼ばれています。ドローンと通信不能になってもドローン本体が自力でホームポイントへ戻ってくるこの機能は、前章で記述した乗っ取りの可能性も考えると、セキュリティ上必要不可欠な機能だといえます。
実際にロストを経験すると、命綱のように大事だと実感しました。ぜひこの機能が搭載されているドローンの購入をおすすめいたします。
ドローンで撮影したファイルの読み込みと編集方法
ドローンで撮影した映像ファイルをスマートフォンやパソコンへ読み込む方法ですが、機種ごとにファイルの取り込み方法の手順が異なります。
ここでは基本的な3つの方法の紹介をしておきます。
1. Micro SD経由でのファイルの取り込み
Micro SDカードへ撮影したファイルを保管するタイプのドローンであれば、そのMicro SDをパソコンへ挿入してファイルの読み込みができます。
2. USBケーブル経由でのファイルの取り込み
ドローン本体からUSBケーブル経由でパソコンへファイルを転送する方法です。
3. Wi-Fi経由でのファイルの取り込み
Wi-Fi経由でファイルをスマートフォンへ読み込む方法です。コントローラーも兼ねているスマートフォンにその場で映像の取り込みができるので一番簡単でおすすめな方法です。
たとえばiPhoneの場合、iMovieなどのアプリを使えば、ドローンで撮影した動画をそのままスマートフォン上で編集できてしまいます。
前回の記事「1台のiPhoneで業務に使える動画を作る方法 」で、iPhoneを利用した動画の編集方法もご紹介しておりますので、iPhoneをお持ちの方はぜひお試しください。
まとめ
ドローンで撮影された空撮動画は、ユニークかつ美しい映像で視聴者を惹きつけますし、人の行くことができない場所などの点検にも非常に役に立ちます。
ドローンの利用目的はさまざまですが、ドローンパイロットは航空法の遵守と自治体の飛行ルールを熟知したうえでドローンを安全に飛行させることが求められています。
また、残念ながら現状ドローンの通信方式はセキュアとはいえません。
万一のことを考えWi-Fiにパスワードをかけ、リターンホーム機能を備えた機種を選ぶなど、パイロット側の自己責任でセキュリティに留意すべきといえるでしょう。
参考-代表的なドローン
現在販売されている代表的なドローンとしては、以下のような機種があります。
メーカー | 機種 | 撮影サイズ | 飛行時間 | 最大距離 | 保存先 | 価格帯 |
---|---|---|---|---|---|---|
DJI | Phantom 4 | 4K /30fps |
28分 | 6km | SD カード |
¥123,000 |
DJI | Mavic | 4K /30fps |
27分 | 4km | SD カード |
¥119,800 |
GoPro | KARMA | ※ | 20分 | 3km | SD カード |
¥90,000 (カメラ含まず) |
Parrot | Bebop 2 | 1920×1800 /30fps |
25分 | 2km | 内部 メモリ |
¥72,900 |
ZEROTECH | DOBBY | 4K /30fps |
10分 | 100m | 内部 メモリ |
¥63,990 |
fps(frame per second)とは、カメラ撮影での一秒間あたりのフレーム数のことで、fpsの数値が高ければ高いほど滑らかな動画撮影ができます。
(※GoPro KARMAは同社製のHERO Session, HERO5 Session, HERO5 Blackが搭載可能となっており、撮影サイズは搭載カメラに依存します。HERO5より4K/30fpsで撮影可能です。)
価格に比例して飛行時間や最大飛行距離の性能が上がっています。