iPadやタブレットが高齢化社会を救う?
従来のノートパソコンをしのぐ勢いで普及しているタブレット端末。若者や働き盛りの世代が趣味や仕事に活用するというイメージを抱いている人が多いのではないでしょうか?
しかし、タブレットは若者や現役世代だけのツールではありません。高齢者がタブレットを使うことで、日常生活を便利にしたり、さまざまな問題を解決したりする可能性があるのです。
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高齢者の4分の1が「タブレットを使ってみたい」
高齢者はIT機器にもっとも縁遠い存在、というイメージがあるかもしれません。しかし、画面の拡大や縮小が容易にでき、操作も直感的なタブレット端末は、高齢者にも使いやすいものなのです。
MMD研究所による2013年9月の調査では、60歳以上でタブレット端末を所有していると回答したのは21.5%。そして、その半数近くがiPadを使用しているという結果となりました。さらに今後の購入について、「とても購入したい」「まあまあ購入したい」の合計が約25%にのぼるなど、タブレットの利用に積極的な姿勢をもつ高齢者は意外と多いのです。
専用端末の開発も
また、高齢者にとって使いやすい端末を開発する取り組みも始まっています。NTTドコモ長野支店では2013年末に、高齢者がよく使用するアプリだけを分かりやすく表示したタブレット端末を開発し、実際に地元のお年寄りに使ってもらうという試みを実施しました。
その結果、多くの人が日常的にタブレットを活用していたことが分かり、今後は改良を重ねて、普及に向けて動き出すことを検討しているそうです。
問題解決への期待も高まる
総務省の平成24年度版情報通信白書の中には「高齢者のタブレット端末利用の可能性」という項目が設けられました。そこには、高齢者がタブレットで注文をして、買い物をすることや、災害時の情報提供、テレビ電話を使ったコミュニケーションといった活用の可能性が挙げられています。
自力での移動手段を持たない高齢者が、買い物をすることができなくなる「買い物難民」の問題や、災害時に携帯電話を持たない人が十分な情報を得られないといった問題は、たびたびニュースなどでも取り上げられます。こういった問題が、タブレットの活用によって解決する可能性もあるのです。
高齢者のタブレット普及率は、決して高いとは言えません。しかし、これから使ってみたいと考える高齢者、あるいは親に使ってもらいたいと考える子供は増えており、今後の普及が期待できます。生活を便利にするだけでなく、高齢化社会を取り巻くさまざまな問題を解決する糸口が、そこにはあるかもしれません。