「スマートではない場所もスマートに変えたHandbook」
KJRSがミーティングでHandbookを使ってみた
導入部
ITインフラサポート業務を中心に展開する株式会社KJRS(本社:渋谷区)は2016年に創業したばかりで、従業員数は20名ほどのIT企業です。デバイス運用管理、ヘルプデスクから、ネットワーク、サーバー保守、アプリ開発まで企業の情報システム運用、インフラ全般をサポートし、最近ではドローンやVRを利用した映像撮影サービスも開始しました。
特にクライアント端末のキッティングは得意分野で、パソコンに限らず企業向けiPhone、iPadの導入でも活躍しています。このような知見と実績を活かし、当サイト「Handbookブログ」や「お役立ち資料」の執筆も手がけているKJRSですが、「紺屋の白袴」といいますか、自社でのモバイルコンテンツ管理システムの導入はこれまで行われておりませんでした。
今回はそんなKJRSが自社での会議にHandbookをどれだけ活用できるか、試してみた実際のレポートをお届けいたします。創業したての中小IT企業にHandbookがどのような効果をもたらしたのでしょうか?
KJRSオフィスにてメンバーと。普段クライアントに常駐するメンバーも多く顔を合わせるミーティングは貴重な機会です。
KJRSの特徴と会議の重要性
KJRSは本社こそ東京にあるものの、クライアント企業の情報システム部門や、郊外のキッティングセンター等、全国の様々な現場に常駐するエンジニアがほとんどで、なかなか社員同士が顔を合わせる機会がありません。そのため、月1回で全社員が集まるミーティングの場は貴重な意見交換、報告の場で、濃密な会議が展開されています。
また、少人数の割にアルバイト、契約社員や、時短勤務、専門作業に従事する転勤なしの社員など、本人の希望を考慮した様々な雇用形態があるのも特徴です。全従業員にパソコンやiPhone、iPadを支給することが困難なので、BYODが導入されています。
毎回、社員が各自のデバイスを持って集まるミーティングの場で、必要な資料をHandbookで配布する運用を試してみました。
※BYOD(Bring Your Own Device)従業員の所有するスマートフォン、タブレット、ノートPCなどの業務利用を指す。
なかなかスムーズな会議ができない現状の課題
KJRSでは首都圏以外の遠方在住の社員も多いことから、交通費削減などの狙いでビデオ会議での運用も実施したことがありましたが、盛り上がりに欠け有意義な会議になりませんでした。やはり顔を突き合わせることに意味があるということで廃止され、現在は、時間と交通費はかさんでも一箇所に集まってもらうことにしています。
ミーティングで心がけていることは「形式じみた味気のない報告会で終わらない」ということです。あるトピックに対して即席のグループを作ってディスカッション、オンラインの講習プログラムによる研修、新人による研究テーマに沿った技術プレゼン発表など、参加者が受け身にならず、社員同士がコミュニケーションを深められるようにしています。
しかし、現状としてスムーズな会議運営ができているとはいえませんでした。課題になっているのは、主に環境面で以下のような点です。
レンタル会議室ではWi-Fi接続の品質が悪いところがある
最近は社員数が増えてきているため、自社の会議室だと手狭で全員入りきれないことが多く、都内のレンタル会議室をメインで使用していますが、Wi-Fiが完備されていない場所もあり、ネットワーク接続が課題です。また、郊外のキッティングセンターで作業を兼ねて集まる場合もあり、その場合も当然Wi-Fiがありません。
クラウドストレージ、グループウェアなど様々なサービスを試したが、いまいちファイル共有が不便
ペーパーレス化は創業時から取り入れ、ミーティングで紙が配布されることはまずありません。現在はチャット型のツールをメインで使っており、会議のアジェンダや議事録がリアルタイムで打ち込まれますが、ファイルをアップロードしてもチャットに埋もれやすく、必要な時にファイルがなかなか見つからないという不便さもあります。
BYODなので持ち込み端末の機種が様々で、プロジェクターの使用も一苦労
発表者が会議資料をプロジェクターに表示させようにも、Windows、Mac、タブレットと持ち込まれる端末が様々なので、アダプターが合わなかったり、プロジェクターにうまく映し出されなかったりと、会議の進行を妨げるトラブルが常々発生します。また、ネット環境の悪い場所に、重たいノートパソコンを持ってくる必要性はあるのか、という疑問の声もあがっていました。
倉庫で会議…!?Handbookは運用に耐えうるか?
さて、KJRSがHandbookのアカウントを取得しコンテンツをアップロードする準備が整い、いざ会議に活用しようとした矢先、思いがけない事態が訪れました。最初の全体会議の場がキッティングセンターになったのです。
説明しますと、キッティングとはパソコンやサーバー、スマホ等のデバイスを、メーカー出荷時の状態からユーザーが現場ですぐに使用できる状態にセットアップする作業のことをいいます。キッティングセンターとは流れ作業で大量のデバイスを設定して出荷するための大きな倉庫・工場のような場所を想像してください。
現場は撮影NGのため写真は掲載できませんが、キッティングセンターによっては倉庫のような通信環境の無いスペースでひたすらスマートデバイスやパソコンを設定するようなケースもあります。
正直、会議をするのにふさわしい場所ではありません。実際にこの日のミーティングはミーティングというよりも、近々移転を予定しているキッティングセンター内のパソコンの清掃作業をみんなで手伝おうということがメインで、無線LAN環境はおろか全員分の椅子すらない場所です。
ミーティングというよりは朝礼に近く、各自が立った状態で簡単な作業内容の摺り合わせや、社長からの報告を聞くといった段取りになります。作業の手順書や依頼元の顧客から配布されたガイドラインなど当日の役立ち資料はHandbookにアップされていたものの、こんな場でHandbookが使い物になるのか?と不安を覚えました。しかし、みごとHandbookは期待に応える働きをみせてくれました。
真価を発揮したHandbook
東京都心から電車で2時間もかかる山の麓に位置するキッティングセンター、パソコンを落ち着いて開くスペースもない、オフィスとは程遠い環境です。しかし、蓋を開けてみればHandbookは過酷な環境下でも、その真価を発揮してくれました。
Handbookの真価その1
Handbookは立ったままでも使いやすいキッティングセンターは携帯電波すら不安定な場所であり、大量の機器や段ボール箱に囲まれ、ゆっくりとパソコンを開いてられない環境です。モタモタしているとOAフロアの穴に落ちたり台車にぶつかったりするので、気を付けてアクセク動き回る必要があります。
分厚いマニュアルを手に持つこともできず、ましてやパソコンを抱えてクラウドストレージにアクセスして……という操作などはとてもやっている暇がない状態です。しかしHandbookならポケットに入れたスマホを開いて、必要なコンテンツに素早くアクセスができ、作業効率を落とさずスピーディーにマニュアルを開くことができました。コンテンツをダウンロードしておけば電波が悪くてもオフラインで参照できることもポイントです。
Handbookの真価(進化?)その2
カンファレンス機能でアドリブにも対応当日一番役立ったのが、Handbook 5から追加された新機能である「カンファレンス機能」でした。KJRSではHandbookのアカウントは社員にしか公開していません。
しかし当日は作業の応援のためアルバイトなどアカウントを持っていない従業員も駆け付けたのです。そんなとき、Handbookのカンファレンス機能を使えば、アルバイト従業員のiPhoneにHandbookアプリをインストールしQRコードでアクセスすることで、即時に作業資料を参照できました。カンファレンス機能の画期的なところは、スタジオからの操作不要でコンテンツを共有できることです。操作も非常に簡単で、とりわけカンファレンスの作成時に公開時間指定ができるところが、本当に便利でした。
作業時間が終わっても資料に共有をかけたままにしておくのはセキュリティ上よくないので、時間の設定は非常に大きな意味を持ちます。カンファレンス機能はタイムリーに必要な資料だけを素早く共有できる素晴らしい仕組みでした。
Handbookの真価(進化?)その3
Split Viewでチャットツールとの併用KJRS会議で初めてHandbookがデビューしたその一週間後、臨時でまたミーティングが開かれました。今度の場所は渋谷本社の会議室で、腰を落ち着けて会議らしい会議ができました。普段はノートパソコンを持ちこみますが、Handbookを活用しようと、あえてタブレットやスマホで会議を実行してみました。
そこで役立ったのがiPadでのSplit Viewでした。画面の半分をHandbookで画像や資料を参照しつつ、もう半分でチャットツールを使って議事録をとったり、決定事項をメモしたりと、画面を切替えないため効率的で議論を妨げません。ノートパソコンと違いマルチタスクが難しいことがタブレットの欠点でしたが、Split View機能はこの欠点をカバーし、ノートパソコンに迫るパフォーマンスが実現できるといえます。本社の会議室は非常に狭く窮屈なのですが、スマホやタブレットを駆使すれば、ノートパソコンより場所も取らないため、会議もスマート化がはかれました。
Handbookを使ったミーティング風景。iPadのSplit View機能でHandbookで会議資料を見ながらメモを取ることができスマートに会議を進めることができました。
まとめ
心地よく会議できる場所が整っていないどころか、倉庫の中という、会議が成立するかどうかも怪しい環境でデビューを飾ったKJRSのHandbook。厳しい洗礼だったかもしれませんが、しかしHandbookは必要なコンテンツにモバイル端末から素早くアクセスできる機動性を発揮し、スマートではない会議もスマートに変えてくれました。
BYODでもセキュアに安心してコンテンツ配布ができることに加え、Windows、Mac、スマホ問わずマルチプラットフォームでのアクセスに対応しているため、まさにKJRSのような形態の企業に向いているといえます。また、カンファレンス機能は「当日いきなり」の事態にもスピーディーに対応できる点で、アドリブ対応が求められるシーンにおいても非常に便利です。
KJRS社の総務担当マネージャー鈴木氏は、「ボリュームが多い資料や色、形の確認が必要な資料、動画資料など、紙だと限界があるコンテンツもスマートに閲覧できるところが素晴らしいと感じました。今回は会議という場で使ってみたが、社員が離れ離れに散っている普段の状態で、全員に同様のマニュアルやコンテンツを共有することでもHandbookは有効活用できると思う。今後はクイズ機能を使って、社員に情報セキュリティ教育を配信することも検討していきたい。」と話しています。
日ごろクライアントにシステムやツールを提案してばかりのため、かえって自らが使うツールの検討が疎かになっているIT企業ですが、実は自社にこそ便利なツールの導入が必要なのかもしれません。
著者 株式会社KJRS 茂登山洋之
1979年神奈川県生まれ。株式会社KJRS ナレッジ男塾(ラボラトリ)代表。大学卒業後Javaプログラマとしてキャリアをスタートさせたが、インフラ領域に転身。以降現在まで、企業での端末、ネットワーク、システムの導入・運用からサポートまで多岐に渡り活躍し、その経験と知見に基づいた記事の執筆と、外資系の経験を活かした英文翻訳等を手がける。現場主義をモットーとしている。