スマートグラスにスマートウォッチ、ウェアラブル時代の本格到来か?
スマートグラスやスマートウォッチといったウェアラブルコンピュータが、普及の兆しを見せています。3月9日にGoogleがAndroid OSをウェアラブルコンピュータ向けに提供する方針を明らかにしたことからも、さらに広がっていくと思われます。
過去にもウェアラブルコンピュータが注目を集めたことはありましたが、今後、本格的に普及するのでしょうか。
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コンピュータの小型化、タブレット化の先にあるもの
ご存知の通り、かつての「コンピュータ」は高性能ではあるものの、オフィスや家に置いておくものでした。人間はコンピュータの置いてある場所でしか、その能力を享受できずにいました。しかし、それがラップトップ、ノートパソコン、タブレットやスマートフォンに進化して、モバイル端末となり、人とともに持ち運びできるものになりました。
そして、言うまでもなく、デバイスの進化は通信環境と表裏一体で、スマートフォンやタブレット端末は、すでに普及していた携帯電話網をインターネット接続に利用する形で進化しました。そして、AppleやGoogleなどがモバイル端末の開発を主導したことによって、全世界で普及が進み、小型・高性能化技術が一気に進歩しました。
性能向上により、再び注目を集めるウェアラブルコンピュータ
携帯性の高い情報端末を、屋外で移動しながら利用できる環境が整いましたが、移動中の使用には両手を必要とします。このことにより、移動中にも手を使わずに利用出来るモノとして、ウェアラブルコンピュータへの需要が生じることになりました。
過去にも、ウェアラブルコンピュータが脚光を浴びることはありましたが、コンパクトさを追求すれば性能を犠牲にせざるを得ず、ネットワーク環境が整っていなかったことなどから本格普及へと至りませんでした。現在ほどニーズに寄り添ったものでもなく、ヘッドマウントディスプレイ状のものや、被服素材を利用したような、実験的要素も強いものでした。普及するには技術的に時期尚早だったのです。
それが、スマートフォンの普及により、小型ながら実用性能を備えた機器の製造が可能になったことで、Google glassなどのスマートグラスやスマートウォッチのアイデアを具体化出来るようになりました。
ポスト・スマートフォンとしてのウェアラブルコンピュータ
折しも、ポスト・スマートフォンを多くの企業が模索していた時期だったことや、Google glass のコンセプトがスタイリッシュで実用性を兼ね備えていたことも後押しして、新しいウェアラブルコンピュータの一つの形として市場に受け入れられることとなりました。
矢野経済研究所の調査によると、スマートグラスの世界市場規模はメーカー出荷台数ベースで2013年には45万台、2016年には1000万台規模を予測しています。スマートウォッチに至っては、2016年には1億台規模との予測です。(参考リンク:スマートグラスとスマートウォッチに関する調査結果 2013)
民生機器として初の本格普及を狙う
情報端末化することで、ウェアラブルコンピュータの実用性や可能性はかつてないほど高まっています。
カメラ搭載機器によるプライバシー問題など、現状でもクリアすべき課題もあるものの、普及によるコスト低下がさらなる普及を後押しするでしょう。
スマートグラスやスマートウォッチに留まらず、医療用介助機器をはじめ様々な可能性も模索されており、現在は初めて本格的なウェアラブル時代の入り口に立っていると言えるのではないでしょうか。