ビジネスを成長させる、成功事例で見る「iPadの営業活用」
現在、タブレットは、ビジネスの成功に欠かせないアイテムとなりつつあります。特に、営業の現場では、タブレットを使った商談で驚異的な成約率を誇る企業も出てきました。
これまで、私たちインフォテリアでは「タブレット営業:その魅力と実践のポイント〜3つの”攻めどころ”と5つの実践ポイント」というノウハウ集を作成した他、「営業現場の活用事例」をまとめたり、タブレットを活用した営業の魅力についてのページを制作してきました。
ただし今回は、もっと汎用的な企業の取り組みの事例から、
「タブレットがなぜ営業活動に効果的なのか?」
「成果の出るタブレットの使い方とは?」
についてご紹介します。
『iPadを利益の出る営業ツールに変える方法』
最近、iPadをはじめとするタブレットを使った営業活動を行ってみたい、という企業が増えています。しかし、具体的にどういう使い方をすればいいのかわからず、実際の導入に二の足を踏んでいる企業や部署も多いことでしょう。
ここでは、実際にiPadを営業活動のアイテムとして使用している企業事例をご紹介します。どの企業も、戦略的にiPadを営業ツールとして使用しているところに、共通点がありました。その戦略性こそが、タブレットを「利益の出る営業ツール」に変えた要因なのです!
成功事例1:「社内業務の軽減が商談件数の増加につながる」
建築デザイン会社であるA社では、iPadを営業支援ツールとして導入するにあたり、次の課題の解決を目的としていました。
課題
- ・商談の際、事例としてさまざまなパースや設計図を顧客に提示する。そのため、営業担当は常に分厚い書類を、その日の商談件数分持ち歩かなくてはならず、事前の資料作成準備に時間がかかっていた
- ・営業担当は、1日の商談件数分のリポート(報告書)をその日のうちに作成しなくてはならないルールがあった。すべての商談が終了後、帰社し、件数分のリポートを作成するため、常に残業せざるを得ない状況にあった
この課題を解決するために、以下の施策を行いました。
施策
- ・社内にあるパース、設計図をデジタル化しデータベースに登録する
- ・社内にサーバーを置き、データベースはそこに置く
- ・IT担当社員をアサインし、営業へのフォロー体制を構築する
- ・iPadに文書管理アプリを導入する
- ・本格始動の前に、試験運転として数名の営業担当にiPadを持たせて、問題点、改善点をあぶり出す
その後、すべての営業担当にiPadを支給し、本格的な営業ツールとして稼働させました。その結果、次のような成果があがりました。
導入後の成果
- ・営業前の資料作成業務に追われることがなくなった
- ・文書管理アプリを使い、商談しながら直接メモを入れることで、リアルタイムで商談リポートが作成できるようになった。また、そのリポートは、自社内で即時に共有されるので、どの営業担当がどこの顧客とどの段階の商談を行っているのかを、把握できるようになった
- ・社内業務が軽減されたことで、営業担当は直行直帰が可能になり、必然的に残業時間が激減した
- ・社内業務の軽減と自社からのサポートにより、営業担当1人あたりの商談件数が増え、売り上げが増える結果となった
成功事例2:「試験運転でわかった顧客の望むこと」
大手飲料会社B社では、営業担当部署からあがった次のような課題を解決するため、iPadの導入を考えることにしました。
課題
営業担当者1人あたりが受け持つ顧客数が多く、各顧客間の移動時間が長い。そのため、内勤作業時間の削減が急務。
同社では、iPadを営業ツールとして活用するにあたり、当初、次のような業務支援を想定していました。
支援を想定していた業務
- ・営業担当者のメールチェック
- ・報告書の作成
- ・顧客情報を知るための、社内データベースへのアクセス
ところが、本格導入前に行った試験運転で、iPadがより積極的な営業活動の武器になることがわかったのです。それは、顧客の要望にその場で応えるためのツールとしての利用法でした。
顧客の要望に応えるツールとしての活用法
- ・自社カタログをデジタル化することで、iPadの画面を顧客と一緒に見ながらの営業活動が可能になることに気づいた。それは、同じ画面を一緒に覗きこむことで、製品の売り込みだけでなく顧客の未来ビジョンを共有する、という意味を持つことになり、顧客との関係性がより親密なものになった
- ・動画を使ったダイナミックなプレゼンが可能になり、より効果的な商品プロモーションを実践できるようになった
成功事例3:「エレベーター・ブリーフィングによる商談成約率アップ」(海外事例)
「エレベーター・ブリーフィング」というプレゼンテーションの方法があります。これは、アメリカのシリコンバレーで、ある起業家が投資家と同じエレベーターに乗り込み、エレベーターがフロアに到着する数10秒間で投資依頼のプレゼンを行って成功したという実話に倣った、「ショートプレゼンテーション」の手法のことです。
投資家へのプレゼンばかりでなく、ビジネスの現場では、限られた時間で必要なことをわかりやすく伝えることが、日々求められています。
そのような意味において、エレベーター・ブリーフィングの手法は、あらゆるビジネスの現場で有効なものです。そして、その大きな武器となるのが、iPadなどのタブレットを活用した営業活動です。
1896年にスイスで創業された世界的な製薬メーカーRocheでは、13,000人の営業担当者にiPadを支給しています。その成果として、先ほどの2例と同様、「営業資料作成の時間が軽減された」「報告書作成などの事務作業時間の短縮により、商談件数を増やすことができた」というものがあります。
それに加えてさらに、「エレベーター・ブリーフィング」による商談成功事例が劇的に増えたことが、顕著な成果としてあげられます。
Rocheの営業対象者は、医師や病院の管理者です。医療現場で忙しく動きまわる人々です。そのため、事前のアポ取りが難しく、商談の席を設けることに苦労していました。そこで、アポなしで直接病院に赴き、空き時間に医師を捕まえて、iPadでプレゼン資料を見せながら短時間で薬剤の売り込みを行うことにしたのです。
iPadの強みのひとつに、ビジュアル効果に優れたプレゼンが可能な点があります。医療現場で働く医師にとって、新薬の特徴や効果がビジュアルで説明されると、自分が行っている医療行為と結びつけることができて、そのメリットを理解しやすくなります。
Rocheでは、iPadの強みを最大限活かした「エレベーター・ブリーフィング」で、商談成約率を大幅に高めています。
iPadを営業ツールにするための事前トレーニング
iPadをはじめとするタブレットは、営業活動に役立つ強力なツールになります。使い方次第では、成約率を劇的に向上させることができます。
しかし、そのためには、各営業担当者がタブレットの操作や、アプリの使い方に慣れておく必要があります。これまで使ったこともないのに、いきなり商談の席でiPadを取り出しても、使い方がわからず右往左往してしまい、結果、契約を取れなかった、、、そんな事態に陥らないためにも、しっかりとした事前のトレーニングは欠かせません。
iPadを使ったロールプレイングを繰り返したり、セキュリティ教育も含めた研修時間を設けることが大切です。
また、iPadに営業の「ハウツープログラムを組み込む」というやり方もあります。事例で紹介したRocheでは、「営業研修動画」を制作し、それをiPadに導入しています。それを、新人教育にも役立て、短期間で実践に使える営業担当者を育てているそうです。
戦略性を持ってiPadを活用すれば強力な営業ツールにできるのです。
まとめ
ここでご紹介した3つの事例企業は、業種・業態は異なってはいても、営業活動における強力なツールとして、iPadを上手に活用していることがおわかりいただけたかと思います。そして、携帯情報端末装置としてのタブレットを、ビジネスの発展に積極的に利用するためのヒントが、ここから見えてくるのではないでしょうか。
それは、「課題抽出」「解決のための仮説つくり」「改善点の発見」「実行」という、PDCAのサイクルにのっとった戦略性こそが、iPadをはじめとするタブレットを営業ツールとして活用する際には重要なことである、というビジネスの基本です。
ただなんとなくiPadで営業すればかっこいい……そういう考え方で導入する企業もありますが、本当にタブレットを営業活動の支援ツールとして活用するには、企業はその営業戦略に基づいた考え方が必要とされます。
それさえしっかりとできていれば、タブレットは、ビジネスを驚異的に加速させる武器となるでしょう。
より詳細なポイントは「タブレット営業:その魅力と実践のポイント〜3つの”攻めどころ”と5つの実践ポイント」というノウハウ集に整理しておりますので、是非ご参照ください。
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