タブレットとの併用で営業効率アップ!【1】 進化した営業支援システム(SFA)
営業ITツールとして話題の「営業支援システム(SFA/Sales Force Automation)」。当初は高額でユーザビリティの低さなどから敬遠されていましたが、タブレット端末の普及により見直されています。営業現場でお客様の要望や質問に即応し、営業効率を高めるデバイスとして「タブレット」が人気。営業支援システムとタブレットの合わせ技で営業効率のさらなる向上が見込まれます。
第三次SFAブームの今。では、第一次はいつごろ?
提案書や見積書の作成、商品の情報収集や在庫チェック、営業日報などの業務をシステム化し、セールスパーソンの作業効率を上げ、さらには営業支援も行う、というのが営業支援システムの役割になります。仕事を効率化させるのは事務では「OA(Office Automation)」、工場では「FA(Factory Automation)」。その営業版が「SFA」にあたると考えればイメージしやすいでしょう。営業支援システムはモバイル、ソーシャル、リアルタイムBIなどのテクノロジーを取り入れて進化し、今は第三次SFAブームを迎えているといわれています。
では、第一次ブームはいつごろだったのでしょうか? 答えは1990年代にさかのぼります。この時期から、アメリカでSFAの考え方や仕組みが提唱され始めました。初期SFAのリーディングカンパニー「シーベル・システムズ」が誕生したのが1993年ですから、実に20年以上も経つ、歴史あるコンセプトといえます。IT技術が目覚ましく飛躍した1990年代後半、SFAはアメリカ国内で急速に広がりました。日本でも、情報端末やISDNなどの情報インフラの充実を背景に、「営業支援システム」として採用されるように。しかし、日本ではあまり受け入れられず、不成功に終わったとされています。2000年代半ばには、第二次SFAブームが到来。日本独特の「報告・連絡・相談」の文化を取り入れた“和製SFA”として話題になりましたが、使いこなせずお蔵入りさせてしまった企業も少なくありませんでした。
営業支援システムは、なぜ不発に終わったのか?
第一次SFAブームの波に、日本はなぜ乗り切れなかったのか? 一つ目の理由は高額だったことがあげられます。この時代の営業支援システムは主要ベンダーの外資系企業が、日本の大企業をターゲットに製品を販売。そのため、価格は億単位という非常に高額なものがほとんどでした。当時、グループウェアとして浸透していた「ロータスノーツ」上で動くアドオン製品はリーズナブルな価格設定だったものの、ノーツを導入できたのは、ある程度の会社規模とITリテラシーを持つ企業に限られていたという時代でした。
二つめの理由は、PC入力はセールスパーソンにとって大きな負担だったこと。情報をPCにインプットするため、どんなに遅くなっても会社に戻らなくてはならず、活発な移動が必須のセールスパーソンのモチベーションを下げる結果に。しかも、旧営業支援システムは文字入力項目が多く、キーボードによる入力作業にストレスを感じる声が増えていったのです。
三つめとしてあげられるのは、アメリカと日本での営業形態の違い。アメリカ型の営業スタイルは歩合制となっているため、個の能力で顧客をつかんでいくことが求められています。各セールスパーソンの動きを可視化し、営業スキルの底上げを図るというコンセプトはアメリカの経営者層のハートをつかみ、現実的にも成功をおさめました。しかし、日本型の営業は単に物を売るだけではなく、上司や顧客との継続的なコミュニケーション、良好な関係の構築も大事なミッション。営業プロセス自体十分に定義されていないという企業も多く、こうした日米間の営業スタイルの違いが、営業支援システムからの乖離をもたらしました。
新時代の営業支援システムに期待
以上のような障壁から浸透しなかった営業支援システムですが、進化を重ねた今、第三次ブームの時期を迎えています。導入における“壁”だった「高額」という点は、クラウド型システムの登場により解消されました。クラウド型はハードウェアを必要としないため、オンプレミス型に比べて低コストでスピーディに導入・運用できるメリットがあります。
PCでの入力作業に関しても、タブレットを使うことでクリアできます。現在の営業支援システムは直観的なユーザーインターフェイスを備えており、モバイルで「いつでもどこでも使える」ことがウリになっています。スキマ時間を利用して商品情報や顧客情報をこまめにチェックできるほか、タブレットを持っていれば出先から業務報告ができ、マネージャーや経営者にとってもリアルタイムで進捗を理解し、素早い経営判断につなげることが可能です。
そして、勘どころや根性論などに頼る旧態依然とした営業形態から脱却することが営業支援システム導入を成功に導くための最大のポイント。ナレッジやノウハウを属人化させるのではなく、ITを利用して理論的に解析し、組織全体の営業活動に活かしていく姿勢が必要です。
反省点を抱えながらも、進化を遂げて“第三の波”に乗っている営業支援システム。タブレット時代の今だからこそ営業支援システムを見直し、営業のパラダイムシフトを起しましょう!