受賞作品には共通するポイントが!?グッドデザイン賞・ベスト100審査報告会レポート

2015/12/10
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2015年度グッドデザイン賞を受賞した製品、サービス、作品が一堂に会する展示イベント「2015年度グッドデザイン賞受賞展」。六本木ミッドタウンにて2015年10月30日から11月4日まで開催された会期内のうち、11月2日(月)に実施されたユニット13審査報告会に参加してきました。

今回、残念ながら弊社のエントリー製品「Handbook」はベスト100とはなりませんでしたが、受賞した各製品、サービスには共通する何かがあるはず!?ということでその理由、ポイントを探ってみました。

共通するポイントは意外なところにありました。

【サービスシステム】
・Jotoしろあり保証制度 || 城東テクノ株式会社
【自動化機構事例ライブラリーサイト】
・Unit Library || 株式会社ミスミ
【マンションのランニングコストの見える化】
・マンション家計簿 || 三菱地所レジデンス株式会社+株式会社メックecoライフ
【全国工務店の相互支援ネットワーク】
・JAHBnet(ジャーブネット) || 株式会社アキュラホーム
【築古ビルの耐震化とリノベーションによるバリューアップ転貸事業】
・『Reビル』|| 三菱地所レジデンス株式会社+株式会社メックecoライフ
【ビジネスモデル】
・播州刃物 || 小野金物卸商業協同組合
【オープンイノベーション活動】
・OLYMPUS OPC Hack & Make Project || オリンパス株式会社

※上記の製品、サービス名をクリックすると各製品、サービスのページへ移動します。

それぞれ張られているリンク先のページをご覧いただくとわかりますが、どの製品、サービスも形が存在しないものばかりで、製品、サービスというよりはむしろプロジェクトというほうがふさわしいかもしれません。たとえば、城東テクノ株式会社の「しろあり保証制度」は自社商品の「キソパッキンシリーズ」に関連したサービスですが、商品と保証、そして長期的運用をセット化しているのが大きな特長です。家の土台を蝕むシロアリによる被害を懸念する施主の不安要素を解消することで、施主とその家族が長きに渡り安心して暮らしていける価値を社会に提供していることが評価につながったとのことです。

続いて今回の講演のうち、2つの事例をご紹介しながら評価の背景を探っていきましょう。

いい家づくりを支援する 匠の心で支援する
~ジャーブネット~

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「全国工務店の相互支援ネットワーク」という名目でグッドデザイン賞ベスト100を受賞した「ジャーブネット」、その運営元の株式会社アキュラホームの講演には代表取締役社長の宮沢俊哉氏が自ら登壇。ステージに作業着姿で登場した宮沢氏はステージ上に設置された木材に対して自ら鉋裁きを披露。2メートル超の木材から削りだされていく鉋屑の薄さに観衆からは大きな喝采が上がりました。

驚きのパフォーマンスの後、宮沢氏はスライドを元にプレゼンを開始。創業当時における日本の住宅業界の低寿命なのに高コスト体質だった状況を変えるべく起業した経緯を説明。その想いはその後の「ジャーブネット」の設立に繋がります。

「ジャーブネット」は設立当初、「アキュラネット」という名称で1998年に発足。発足当時、アキュラホームでは「日本の家づくりを変える」を合言葉に本サービスを通じて日本の住宅業界にあった2つの問題点にアプローチをおこないました。ひとつは住宅販売数のうち建売り住宅が大きなシェアを占めることによる、供給側視点での高い価格の住宅が主だったこと。そしてもうひとつは零細な工務店に対する消費者からの信頼が獲得できていないこと。

ひとつ目の問題点に対してアキュラホームでは自社の有するコストカットのノウハウを提供すること、建材を一括発注することによるコストダウン、工務店同士のノウハウ共有の仕組みづくりをおこなうことで解決を図りました。そしてもうひとつの問題点に対しては本サービス自体への消費者からの信頼を獲得するため、加盟工務店を厳格に選定し、上質なサービス提供のためのバックアップを図ることでサービス自体のブランド向上を狙いました。その結果、12年連続で住宅供給棟数ナンバーワンを達成するなど消費者から信頼を得ることに成功しました。

アキュラホームでは家のつくり手を「匠」と敬意を払って呼び、お客さまに対するときにその「匠の心」を持って接することを大切にしています。このジャーブネットはその精神をベースに大きなタブーとも言える問題に対し仕組みをデザインして解決したこと、そしてこの仕組みの継続・進化が今後もさらなる多くの消費者に対していい家づくりをサポートしていく、という点が評価されての受賞となりました。

「日本の家づくりを変える」

この合言葉を大切に、今後もジャーブネットはいい家づくりをサポートしていくのではないでしょうか。

ソーシャル時代の開発はファンやユーザと共創する
OPC Hack & Make Project

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ユニット13の審査報告会、最後を飾ったのは「OPC Hack & Make Project」。本プロジェクトは既存のカメラ機の開発スキームを根底から見直し、デベロッパーやクリエイター、企業や教育機関、そしてユーザーと『共創』し、新しい時代のビジネスモデルを構築しようとするものです。

開発に際し、マーケティング調査という名目でユーザインタビューをおこなうことは近年、よく見られますが、本プロジェクトではソフトウェアやハードウェアの技術情報など、「開発」や「制作」のための情報を「オープンプラットフォーム化」として一般公開をおこなっています。従来、メーカーとしては生命線、機密情報とすら言えるそういった情報を公開することは大きな企業の場合、社内の調整が難しく頓挫するケースも少なくありません。

しかし、オリンパスは「新しいイノベーション」の可能性を信じ、プロジェクトとして立ち上げるに至りました。海外で人気を博すKickstarterのようなサービス経由での「モノづくり」が拡大する中、今後の開発において「共創」は大きなポイントとなる、そういった確信を持って取り組んだ関係各者の姿勢と合わせ、今回の評価に繋がったのではないでしょうか。

なお、本プロジェクトを経て世に送り出された製品「OLYMPUS AIR A01」も今回のグッドデザイン賞を受賞しています。今後も本プロジェクトは継続的に進行し、新たなユーザ体験の提供を模索しています。今後の持続的な取り組みに注目が集まることでしょう。

まとめ

今回の報告会で講演をおこなった製品、サービスに共通して言えること、それは世間における『課題』の解決を図りつつ、ビジネスとしても成り立たせるような新たな形でのビジネスモデルに取り組んでいる、というところです。いわゆる世間一般的な価値観の「ビジネス」ではなく、社会的意義を持った「新しい時代のビジネス」、その仕組みをデザインし、実際にビジネスとして育て上げたことが高い評価を受けています。

今回の講演に際し、選考委員の方からは「今現在だけでなく、将来的な部分も見据えた上で評価をおこなっている」という発言がありました。

こうした取り組みが評価されていくことでより良い社会づくりが広がっていく、そうしたサイクルを「デザイン」の視点から支援することがグッドデザイン賞にも期待されているのではないでしょうか。

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