Galaxy Fold使用体験記
折り畳み液晶の革新的スマホはビジネス用途にどこまで使えるのか?

2020/02/26

はじめに

有機ELディスプレイの進化により、極薄の液晶が登場、紙のように折ったり巻いたりできるようになっており、その技術を用いた「液晶面を折りたためるスマホ=Foldable(フォーダブル)スマホ」が最新トレンドになっています。皮切りとなったのが昨年SamsungよりリリースされたGalaxy Foldで、日本では現在唯一手に入るFoldable(フォーダブル)スマホです。

とにかく液晶面が折り曲げられるという部分と、約24万円という価格が話題を集めていますが、実際に使い心地はどうなのでしょうか、また、高価格に見合った機能を持つ端末なのでしょうか?本記事では、ビジネスユースとしての使用に焦点をあてながら、この画期的なスマホを検証していきます!

タブレット活用

1.Galaxy Foldのスペック検証

大きさ、重さ

Galaxy Foldは他のAndroidやiPhoneのスマホとは大きく異なり、独特の形状をしています。閉じた状態では、筐体は縦長で分厚く、「持つ」というより「握る」という感覚でした。閉じた状態をiPhone 6と比較してみると、以下のようになります。

左:Galaxy Fold 右:iPhone 6

左:Galaxy Fold 右:iPhone 6

Galaxy Foldの方がだいぶ縦長なのが分かります。また、この端末は内側に折り畳めるメインディスプレイの他に、閉じた状態で使えるカバーディスプレイが付いています。カバーディスプレイの画面サイズはiPhone 6とほぼ同じで4.6インチとなっています。

続いて、開いた状態をiPad miniと比較してみました。

左:Galaxy Fold 右:iPad mini 4

左:Galaxy Fold 右:iPad mini 4

Galaxy Foldを開いたときのメインディスプレイの液晶サイズは7.3インチ。一般的な大型スマホ(6インチ台)を超えた画面サイズで、さすがに迫力があります。しかし、iPad mini 4(7.9インチ)と比べると、やや小型です。iPadの中で一番小型なiPad miniより小さいものの、Androidの小型タブレットに匹敵する大きさです。

重さですが、Galaxy Foldは263gあります。と言われてもピンとこないかもしれませんが、これはかなりの重さです。他のモバイル端末と比較した下記の表をみていくと、例えば、iPhone XS maxといった大型スマホは勿論のこと、ほぼ同じサイズの7インチタブレットよりも重い数値です。重量的にはスマホというよりもタブレットの重さだといえます。

機種名 分類 重さ 画面サイズ
Apple iPad mini タブレット 308g 7.9インチ
NEC Lavie Tab E TE507 タブレット 260g 7インチ
Huawei Media Pad T3 7 タブレット 250g 7インチ
Samsung Galaxy Fold スマホ/タブレット 263g 7.3インチ
Apple iPhone XS max スマホ 208g 6.5インチ
Samsung Galaxy S10 スマホ 157g 6.1インチ

表:タブレット、スマホの各機種とGalaxy Foldの比較

性能

前代未聞の大型スマホであるGalaxy Foldですが、その性能もかなり驚くべきものでした。

◆CPU

Qualcomm Snapdragon 855

→処理速度の要となるCPUですが、現行最強といえるCPUを搭載しており、後述のベンチマークもハイスコアを出しています。3D処理でももたつかない、といった点で着目されているCPUですが、ビジネス用途ではオーバースペックな感じが否めません。

◆メモリ

12GB搭載

→皆さんの職場のパソコンのメモリと比べてみてください。12GBもメモリを積んでいるというケースはかなり稀ではないでしょうか。Androidでは4GBあれば基本操作がもたつくことはないと言われており、現行機種でもハイスペック端末は6GB搭載が多い中で、まさかの12GB搭載です。

◆内蔵ストレージ

512GB搭載

→これも並みのノートパソコンを超える容量を積んでいます。ストレージ不足の心配は無用でしょう。なお、microSDスロットは未搭載となっています。

◆ベンチマーク計測

これらGalaxy Foldの素晴らしいスペックを裏付けるべく、ベンチマークスコアを確認しておきましょう。ガジェットレビューサイトのガルマックスによると、Antutu Ver8ベンチマークでは44万台を出しています。

Android端末の中でもかなりの上位に位置し、アップル社のハイスペックCPUであるApple A12 Bionicを搭載しているiPad mini 5やiPad Air 3、iPhone XRとほぼ同ラインのハイスコアとなっています。企業に導入されていると思われる標準的なAndroidやiPhoneのモデルは勿論, パソコンよりもハイスペックといえるでしょう。

◆その他

その他の特徴として、指紋センサーが本体の側面についていること、また閉じた状態、広げた状態それぞれで双方向の撮影ができるようにカメラのレンズが6つも付いていることがあげられます。OSはAndroid 9が搭載されており、開いた状態で両手それぞれの指によるキータイプがしやすいように、ソフトキーボードが左右に広がって表示される工夫がされています。

2.Galaxy Foldは仕事に使いやすいのか?

さて、Galaxy Foldがビジネス利用にどの程度適しているかという検証のため、約1週間、以下のようなアプリをインストールして持ち歩きながら使用してみました。

アプリ 用途
Chatwork 社内連絡用チャットツール
G Suite Chromeでネット閲覧、メール、共有ストレージ、Googleマップ
Office 365 Excel,Word,Powerpointなど
One Drive 作業中のオフィス文書格納用クラウド
Handbook コンテンツ閲覧、クイズ、アンケート
Twitter 主に情報収集に利用

まず気付いたのが、他の今までのスマホとは持った感じが違い、まるで「金属の棒」のようだということです。ポケットへの納まりは他のスマホよりスムーズですが、ずっしりした重量感があります。

閉じた状態での利用は、液晶の横幅が狭いために、ガラケーのような懐かしい感じでした。縦に細長いサイズで、ネット閲覧や資料のチェック等には不便です。通話やチャット、ポップアップの確認といった用途が適しています。

そのため、仕事するうえでの各種作業は、ほとんど開いた状態で使用することになります。7.3インチタブレットに変身することで視認性が非常に大きくなり、地図やネットの閲覧は勿論、Handbookで資料をじっくり確認したり、メールを作成したりする作業が非常にスムーズに行えました。

スプレッドシート、Excelも表示面積が大きいと、他のスマホでの操作しにくさに比べて、だいぶ快適でした。動画や写真も迫力が違うので、同僚やお客さんに一時的に画面を見せるのにも、スマホよりもインパクトがあって好印象です。

また、少し畳んだ状態で使うのも意外と便利です。電車の中などで立って持つ時も、多少折り曲がっていた方が文庫本感覚で安定しますし、横にすれば机に自重で立てられます。見づらいと思いきや、実際はそうでもありません。

意外と見やすい半開きの状態

意外と見やすい半開きの状態

3.「パソコンで仕事している感覚」の画面3分割がすごい!

Galaxy Fold最大の便利機能といえるのが、画面を分割して複数のアプリを同時に表示できる「マルチウィンドウ」です。Android 7で登場した機能なので既存のAndroid端末でもお馴染みなのですが、Galaxy Foldのマルチウィンドウは何と画面を3分割し、3つのアプリまで起動できてしまいます。

これによる効率アップは計り知れません。Handbookの資料をメインに表示させつつ、小さな画面でGoogle MapとTwitterをチェックする等、画面の切替え不要で複数のアプリを操作できるので、パソコン並みの作業効率になります。一週間ほとんどの時間で3画面表示して利用していましたが、処理が重くなったり画面が固まったりすることなく常にスムーズに動きました。iPadでもSplit Viewという画面分割がありますが、2画面が最大です。画面の大きさと高性能の処理能力を活かした、Galaxy Foldならではの魅力といえるでしょう。

マルチウィンドウでHandbookとGoogle Map、チャットワークを同時に起動した例

マルチウィンドウでHandbookとGoogle Map、チャットワークを同時に起動した例

また、もし外出先や出張先にHDMI端子で接続できるディスプレイがあれば、Samsungシリーズ特有の「DEXモード」を使用して、よりパソコンのように操作することも可能です。

閉じた状態でのディスプレイ、カバーディスプレイは横幅が小さく動画や画像には不向きですが、Twitterやチャットツール、メール、簡単なWebブラウズなどテキストだけのスクロールならば充分です。また、設定で各アプリごとにメインディスプレイと連動できるのも便利です。連動するようにしておくと、開いた状態の時使用していたアプリが、閉じてもそのままカバーディスプレイに引き継がれて表示されます。(非対応アプリをのぞく)

このように、豊富な画面表示の種類を活かして多様なシーンで使い分け可能なところも、大きな魅力です。

  • ・混んだ電車の中:畳んだまま使用 カバーディスプレイ
  • ・座った状態:開いて使用 メインディスプレイ
  • ・モニターがある場所:大画面にDEXモードで映して使用

結論としては、Galaxy Foldはスマホの良さとタブレットの良さを併せ持ち、マルチウィンドウによって仕事が捗るなど、ビジネスに大活躍する端末だといえます。

4.Galaxy Foldの欠点は?

そんなGalaxy Foldにあえて物申すとすれば、まず月並みかもしれませんが「重さ」と「値段」になるでしょうか。

タブレット級の重さなので、ポケットに入れた時もずっしりとした重みを感じるほか、特に通話は腕が疲れます。時々他のスマホを持つと、余りの軽さに感動を覚えるほどです。不思議なことに、開いて持った時にはタブレットという先入観からか、それほど重さを感じません。

値段ですが、決して価格に見合っていないというわけではありません。これほど高性能、高機能な端末なので高くなって当然なのですが、しかしビジネス使用という視点でみると、不要な機能もあります。たとえばビジネス使用の場合、自撮り等の必要性が余りないので、幾つもの高性能カメラは不要ではないでしょうか。また、指紋認証センサーが側面についていますが、手に持たないと認識が困難で使いにくいです。顔認証がついているので指紋センサーも不要だと思います。このあたりの機能を削って、価格を安くしてもらえればベターです。

あとは、防水、防塵に非対応というのもデメリットです。IP何等級というのではなく、「濡らしてはいけない」レベルの耐性なので、水没などの事故が怖いところです。工事現場など、屋外の環境が良くない場所での使用も憚られるでしょう。

まとめ

Galaxy Foldは、スマホとタブレットの2in1という革新的な概念で、今までになかったタブレット活用とスマホの機能性活用のハイブリッドを実現した端末でした。Handbookでのコンテンツ閲覧のような資料をじっくり読む作業の途中で、上司からのチャットに応対しつつ、道順も調べる、といったマルチウィンドウの活用など、ビジネスでの使用にも新たな効率性を生み出し、出張中や移動中の生産性をより高めてくれます。価格がもう少し安ければ、ビジネスシーンで普及することも充分想定されるので、機能を絞って価格を抑えたLite版の発売が待たれるところです。

2020年2月28日に発売開始となる、新機種「Galaxy Z Flip」の登場により、Foldable(フォーダブル)スマホがされますます注目されることでしょう。

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