iPhone 7 Plus レビュー
ビジネス向けに導入するメリットはあるか?

2016/11/24

はじめに

今年9月に登場し、大きな話題となっているiPhone7 Plus。見た目こそiPhone6 Plus、iPhone6s Plusをそのまま継承し、同じ5.5インチの大型液晶を備える「3代目」ともいえますが、機能面ではiPhone 6 Plusから確実に進化を遂げています。発売開始から品薄状態が続き、個人ユースでは売り上げ面でも人気端末となっているこの機種ですが、はたしてビジネスユースとして企業が導入するメリットはあるのでしょうか?

この記事では、iPhone7 Plusの新機能を分析、さらに実際に使用してみて分かった色々な特徴も紹介しながら、ビジネスとしての導入にどのような価値をもたらすのかを検証していきます。

iPhone 7 Plusの進化が分かる10項目

iPhone 7 Plusとはどのような端末で、何が目新しいのでしょうか? ここではiPhone 7 Plusのスペック・シートから、従来のiPhoneになかった新機能や、iPhone 6s Plusから進化したポイントについて10項目を抜粋して取り上げてみましょう。

1. A10チップ搭載による処理速度アップ

チップとはスマートフォンの動作における重要なパーツで、人間に例えると手足のようなものです。そしてCPUは頭脳といえます。iPhone 7 PlusにはA10 Fusionチップが採用され、従来までのA9プロセッサと比較して約2倍の性能のクアッドコアCPUとなり処理速度がアップしています。

2. 3GBRAM搭載による安定感

スマートフォンの内臓メモリのことをRAMといいます。快適な動作のためにはRAMの容量が重要な要素になりますが、iPhone 7 PlusではRAM容量が3GBで、従来のiPhone 6 Plusに較べて1.5倍となっています。この大容量メモリを活かし、前述した高速プロセッサとの組み合わせで、処理に負荷のかかるアプリも快適に動作するようになりました。

3. カメラの進化(デュアルレンズ・光学手ブレ補正機能)

これが最大の進化といってもいいかもしれません。見た目からして従来とは違い、レンズが2つ搭載されているのです。1つが広角、もう1つが望遠になっているデュアルレンズにより「被写界深度エフェクト」など従来のスマートフォンのカメラの常識を超える機能が提供されます。また12MPのカメラには光学手ブレ補正機能も備わっています。

4. スピーカーの進化

従来の内蔵スピーカーはモノラル仕様で、底面のスピーカーで音を出していました。新しいiPhone 7シリーズは底面スピーカーに加えて通話用のスピーカーも音楽再生用として利用可能になり、横にして持った時はステレオ再生になります。

5. ヘッドフォン端子の廃止

ヘッドフォン端子が廃止され、Lightning端子にイヤホンを直接接続する方式に変更されました。従来のヘッドフォン端子の機器については同梱されているLightning端子変換アダプタを使用しなければなりません。Bluetooth接続の機器であれば影響はありません。

6. 防水・防塵

本体がIP67相当の防水・防塵機能に対応しました。IP67とは、「粉塵の侵入を完全に防ぎ、かつ一定時間水没しても影響がない」ことを意味します。防塵性能は最高6等級なので最もレベルが高く、防水性能では8等級中2番目のレベルになります。

7. ホームボタンの進化(感圧式)

ホームボタンが物理的なボタンではなくなり、押せないボタン(感圧式)になりました。いままでヘッドフォン端子があった場所に、ホームボタンを「押した」と感じさせる振動発生装置 (Taptic Engine)が配置されており、これが押し込んだ感触を疑似的に伝えているのです。

8. Felica搭載(読み取り機にタッチ支払い)

日本限定でFelicaが搭載されました。日本では10月25日からサービス開始となったApple Payにクレジットカードを登録後、Suica等の電子マネー決済が利用可能となります。アプリケーションを開く必要はなく、読み取り機にiPhone 7 Plusを近付けるだけで、支払いが可能です。

9. バッテリーの性能アップ

バッテリーの容量がiPhone 6 Plusの2750mAhから2900mAhへと少しアップしました。公式発表ではiPhone 6 Plusに較べて最大1時間長いバッテリー駆動時間とされています。

10. ストレージ容量アップ

iPhone 7 Plusでは256GBモデルが登場しました。容量のかさばる4K動画などの撮影などを意識し、安心して使える大容量バージョンを用意したのだといえます。

iPadすら上回る、驚異の高性能

このようにスペックもアップし数々の新機能も搭載されたiPhone 7 Plusですが、具体的にどのくらい高性能なのか、iPhone 6 Plusとの比較で検証してみましょう。まず、Antutuというベンチマークアプリを使用して性能を測定しました。計測した項目は以下です。

3D 3Dグラフィックの処理速度
UX ユーザーエクスペリエンス(使い心地)
CPU CPU処理速度
RAM RAMアクセス速度

まず、2年前に発売されたiPhone 6 Plusのスコアは以下のようになりました。

3D 25341
UX 25782
CPU 28099
RAM 7324

続いてiPhone 7 Plusの数値をご覧いただきましょう。

3D 59393
UX 60424
CPU 48320
RAM 12500

全項目において、圧倒的な差があらわれていますね。処理性能に関してはかなりパワーアップしたといってよさそうです。

ちなみに、これがどのくらい凄い数値なのかということを示すために、アップル社が出しているタブレット端末であるiPadシリーズと比較すると、以下のようになります。

  iPhone 7 Plus iPad Pro 9.7インチ iPad Air 2
3D 59393 52950 35029
UX 60424 52798 27423
CPU 48320 49380 33454
RAM 12500 10223 9325

なんとiPadの標準的なモデルであるiPad Air 2を凌駕し、さらにiPadの中でも一番の高性能モデルであるiPad Proと比べても4項目でスコアが上回っているのです。A10チップと3GB RAMがどれほどの威力を発揮しているのかということが分かります。

続いて、実際に1ヵ月間使用してみての評価になりますが、やはりアプリの起動や動作は体感レベルでも速くなったのが実感できました。

また、カメラ機能のパワーアップも感動を覚えました。デュアルカメラでの撮影は、まるでデジタル一眼レフのようです。動画録画時にも光学2倍ズームに切り替えられるため、少し離れたところからも被写体を大きく録画することができ、光学ズームのため、画質が荒れないのも素晴らしい点です。iPhone 6 PlusとiPhone 7 Plusで夜景を撮り比べましたが、iPhone 7 Plusの方がずいぶん明るく撮影できました。

さらに、IP67相当の高い防水・防塵機能も持っていて効果を実感したメリットの1つです。雨が降っていて合羽を着ているときでも、安心して使用できるようになったのです。

ビジネス向けに導入するメリット

以上iPhone 7 Plusの進化と性能の凄さを紹介していきましたが、それではこの最新端末を企業がビジネス向けに導入・配布するメリットや価値はどこにあるのでしょうか。

iPhone 7 Plusの多くの特長のなかから、特にビジネス向けに使える機能をピックアップすると、以下の3点になると思います。

1. IP67相当の高い防水・防塵機能

粉じんの多い倉庫内での業務や、屋外、冷蔵設備内といった水滴がつきやすい場所での作業にも使用が耐えられます。土木・建築作業や検品作業において便利です。

2. 処理速度、処理性能の向上

コンパクトなボディでiPadを凌ぐほどの性能を持つiPhone 7 Plusは、忙しい移動時間内でも迅速に仕事をするのに、とても役立つでしょう。動画や音楽を再生しつつ、負荷がかかるアプリを利用し、さらにメールを受信しても動作は快適そのもので、本体が高温になったりすることもありませんでした。

3. Felica対応

特にSuicaが使用できることにより、業務で首都圏を細かく移動する際には便利です。簡単に履歴を出力できるので、小口経費精算に活用できるでしょう。

これらの機能を特に活かせる業種、職種は何でしょうか。まず、防水・防塵機能としては、屋外、野外で使用する機会が多い土木、建築、製造業界の作業員や、水産、農業の分野でメリットがあるでしょう。また、都市部を公共交通機関で頻繁に移動する営業職にとってFelica対応は役に立つと思われます。さらに、処理性能向上による高速動作は、もちろんすべてのビジネスパーソンにとってメリットになりますし、上記には記載しませんでしたがデュアルカメラによる高解像度での写真や動画撮影も、デザイン、広告業界など美しくこだわった画像処理を必要とする職種にとっては使える機能といえます。

あえてマイナスポイントをあげてみると……

さて、今まではiPhone 7 Plusの利点ばかり紹介してきましたが、新機能はすべてがメリットになるわけではありません。特に従来からの仕様が大きく変わったことによって、注意が必要な点やマイナスになるかもしれないポイントをいくつかあげておきましょう。

まずは、ホームボタンが感圧式になったことにより、手袋を付けた指先では反応しなくなりました。電気を通す皮膚などにしか反応しなくなったことが原因です。同じく、スクリーンショットも撮影しにくくなりました。iOSではスクリーンショットがホームボタンと電源ボタンの同時押しで撮影できますが、ホームボタンが物理ボタンではなくなったことにより押している時間にタイムラグが発生します。

続いて、防水・防塵機能といっても、本格的に水中や海中で使用するのには向かないということです。防水等級の定義によるとiPhone 7 Plusは「30分間水に浸けても影響がない」というレベルであり、うっかり水中に落としてすぐに拾い上げる分には耐えられるでしょうが、ずっと水中で使ったりすることは不可能です。「水濡れによる損傷は補償の対象にならない」とアップルも公式に明言していますので、注意が必要です。

最後に、これは機能面ではありませんが、本体価格の高さです。アップルストアでの2016年11月現在の本体価格は一番安い32GBモデルでも85,800円、256GBだと107,800円となります。企業の導入担当者にとっては頭が痛くなる価格ではないでしょうか。

まとめ

機能面、性能面で様々な進化を遂げたiPhone 7 Plus。デュアルカメラだけでなく、A10チップ搭載による処理速度向上、Felica対応、防水・防塵対応など、ビジネス向けにメリットがある新機能も搭載されました。

企業でのまとまった導入という点でみると高いコストがネックになるかもしれませんが、ご紹介した新機能や、向上されたスペックがエンドユーザーのビジネスにおける生産性アップにつながれば、充分検討の余地はあるといえるでしょう。

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