隙間時間にタブレット・スマホで学習、eラーニングの新しいカタチ「マイクロラーニング」とは

2018/08/01

景気の上向きが続く現在、企業の人手不足が深刻になっています。日本商工会議所が2017年7月に取りまとめた調査によると、全体の6割以上の企業が「人手不足である」と回答しており、特に飲食・サービス業や運輸、建設業で人手不足が顕著だということです。そうした現状が継続する現場では「従業員1人あたりの労働負荷」「サービスレベルの低下」「技能・ノウハウ伝承の途絶」など様々な懸念が起きかねません。

またサービス業の現場ではレジ打ちや品出し以外にも覚えるべき業務が今や数十種類、というコンビニエンスストアの店員が代表的なように、多角化や高品質化を目指した新しいサービスやシステムが次々導入され、従業員が覚えるべき技術や作業は増え続けるばかりです。

人手不足でスキルのある人材採用も困難な今、従業員に知識をつけてもらう「研修」「学習」の重要性は非常に増しています。しかし、人手不足の状況では「ゆっくり研修を受ける暇もない」「研修を行う人材さえ不足している」という事態が生まれます。教育コストがかさむ一方で効果が出ず、どの企業も悩みの種になっているのが現状ではないでしょうか。

そんななか新しい教育概念として、マイクロラーニングという手法が登場しました。その名の通り、マイクロ=「短い・小さい」教材を使った学習手法ですが、スマートで新しい教育スタイルとして話題です。もしかしたらこの方法が、企業の教育に変革をもたらし人手不足時代の救世主になるかもしれません。

マイクロラーニングとは?

まず、マイクロラーニングの定義から振り返っていきましょう。マイクロラーニングとは簡単に言うと、「小さく区切られた教材を用いて、短時間で学習する研修方法のこと」であり、現在はEラーニングの分野で既存のEラーニング手法との差別化を図る意味合いで用いられています。

つまり、何か特定の手法や教材があるわけではなく、「短い教材コンテンツ」「短い学習時間」という「小ささ」の側面から捉えた新しい手法であると定義されています。

次に特徴とされるのがモバイルデバイスの活用です。マイクロラーニングでは各教材が短いため、じっくり腰を落ち着けて学習するスタイルでなく、移動時間や休憩時間など、ちょっとした隙間の時間を利用して手軽に学習するというスタイルで提供されることが一般的です。そのためスマートフォンやタブレットでの受講が適しており、マイクロラーニング専用のシステムでは各種タブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイスに対応している事が一般的です。

さらにもう一つ特徴としてあげられるのが、学習者本人が繰り返し学習することにより知識定着を深められるという特徴があります。脳科学的に、一気にたくさんの知識を詰め込むより少しずつ繰り返し復習する方が効果的で、知識が定着しやすいとされています。

一般に人間は学んだことを時間の経過に伴って、記憶したことを忘れていく性質があります。どの程度覚えていてどの程度忘れるかという事をグラフで示した「忘却曲線」という実験では、20分後には58%まで覚えていたことが1時間後には44%まで低下、その後は下落率が緩くなり最終的に1ヶ月後までに21%まで落ちる事がわかりました。

グラフ

同時に、ある程度覚えているうちに繰り返し学習させる事で忘却曲線を回復させられることも良く知られており、先の忘却曲線を踏まえた実験では24時間後に10分復習をすると記憶率は100%に戻り、その後の復習は1週間後に5分程度する事で学習したことを思い出せることが確認できたそうです。

参考)Curve of Forgetting

まとめると、「モバイルデバイスなどを活用し」、「短い教材コンテンツ」を「繰り返し学習させる」ことで業務知識の定着を図る事がマイクロラーニングである、といえそうです。

現在のビジネススピードの高速化、働き方の多様化などの潮流もあり、いまやマイクロラーニングは「Eラーニングの最新進化形」として話題になっています。飲食・サービス業や施工・製造・メンテナンスなどの現場では、発生しがちな業務の間の空き時間や移動時間や休憩時間などちょっとした隙間の時間を利用して手軽に学習することができるため、現在人材採用・教育などで課題を抱える多くの企業でも導入が進んでいます。

マイクロラーニングを牽引するキーパーソンがパネルディスカッションに登壇

ラーニングイノベーション2018

そんな注目を集めるマイクロラーニングの今がわかるイベントが、2018年7月4日から6日にかけて行われた日本経済新聞社、日経BP社主催「ラーニングイノベーション2018」で行われました。

ラーニングイノベーション2018

基調講演として行われた特別講演「新しいラーニングの手法が、学びと研修のカタチを変える〜マイクロラーニングの現状と未来への展望〜」では、マイクロラーニングをテーマに具体的な実践例をユーザー、ベンダーのそれぞれの立場からディスカッションするという形でマイクロラーニングコンソシアムの代表理事を務める川口氏をモデレータに、パネラーとしてUMUテクノロジージャパン 松田氏、松屋フーズ富澤氏などに並び、インフォテリアからネットサービス本部副部長の黒柳が登壇いたしました。

モデレータである川口氏からは、「海外でのマイクロラーニングの普及率は2016年の時点で40%前後、1年以内の導入検討企業が40%以上」と紹介され、海外での調査でも「業務に必要な情報に仕事中にアクセスできる」「仕事をしながらスキルや知識が向上」など、「業務の中で必要な時に学ぶ」という事が中心になりつつある、と紹介され、マイクロラーニングはまさに導入・活用期にあると紹介されました。

Handbookで活用が進むマイクロラーニング

インフォテリアの黒柳からは、汎用的なコンテンツ管理システムであるHandbookで、なぜマイクロラーニングシステムとしての活用が進んでいるのか、という点についてタブレットを中心にしたコンテンツ管理、配信、反響などを分析する仕組みをiPadリリース前から提供していた、という点とリリース当初、大学などをターゲットに用意していたクイズ機能を活用することで現場のユーザー様から生まれたもの、として説明しました。

さらにHandbookでのマイクロラーニング活用について「マニュアル用途で活用していたユーザー様が配布したコンテンツを現場がもっと活用したい、という声から自然と生まれたもの」「一方的な学びを押し付けるのではなく現場の業務サイクルに組み込む事で定着と成果が出ている」とし、ユーザーが自発的な取り組みとしてマイクロラーニングの実践を始めつつある具体例として東海交通機械様、銀座メガネコンタクト様の事例を紹介しました。

ラーニングイノベーション2018

マイクロラーニング事例

ラーニングイノベーション2018

その後、UMUテクノロジージャパン 松田氏からはマイクロラーニングにSNSやゲーミフィケーションの仕組みを取り入れ海外で大手企業を中心に導入が進むマイクロラーニングプラットフォーム「UMU」の紹介や、松屋フーズ富澤氏などから実際の現場での導入や定着に向けた実践的な取り組みの紹介など、各社からマイクロラーニングを導入・活用するためのトピックが紹介されました。

[ホワイトペーパー]マイクロラーニングで現場のスキルアップそのメリットと課題

Handbookブログではこれまでご紹介した「マイクロラーニング」についてのより詳しい情報や実際にHandbookで活用する際のポイント、詳細な活用例などをまとめたホワイトペーパー「マイクロラーニングで現場のスキルアップそのメリットと課題」をご提供しています。

マイクロラーニングで現場のスキルアップそのメリットと課題

マイクロラーニングで現場のスキルアップそのメリットと課題

店舗や現場スタッフのスキルアップを図るため、いろいろな教育法を試した見たが、コストほどの効果が見られない。そんなお悩みに新教育スタイル「マイクロラーニング」を検討してみてはいかがでしょうか。

マイクロラーニングの概要から、スマートフォン・タブレットを使った小さなコンテンツによる短時間の教育の実際を事例を交えてご紹介します。

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