【SalesTech Blog:連載1回目】国内で注目を集めるSalesTech
〜ITR社主催 IT Trend 2018 の講演レポートから〜

2018/11/15

はじめに

労働人口の減少により、働き手の確保が難しくなっている今、企業の喫緊の課題は経営の効率化です。安定した収益を上げるためにも、営業担当者の確保は重要な課題になっていますが、人材も枯渇している現在、なかなか優秀な営業担当者を雇用することも難しいのが現状です。そんな中、営業現場にITなどのテクノロジを適用し、営業に関わる業務の効率化や、営業生産性の向上を目指し、営業活動支援する仕組み、「SalesTech」が急速に注目を集めつつあります。

今回のブログでは、2018年10月4日に開催されたITR社主催「IT Trend 2018 〜ポスト2020を見据えた持続的成長のシナリオ〜」にてITRシニア・アナリストの三浦竜樹氏が講演された「海外で台頭するSalesTechの実像」の講演内容を基に、営業現場の現在の課題とSalesTechの2つの定義をご紹介します。

広義のSalesTech

ITR社では、広義でのSalesTechを、「営業活動をテクノロジの力で効率化し、成果を最大化するための新たな手法、活動、技術」と定義しています(図1)。ITR社の調査結果を見ると、SalesTechの認知度はまだ24%、詳しい内容まで知っていると答えた人は全体の6%でした。さらに、注目すべきは、全部門の中で、SalesTech適用の中核となる営業部門での認知度は、他の部門に比較して最も低いという結果が出ています。

図1 広義のSalesTechと認知度

図1 広義のSalesTechと認知度
出典:ITR「ITR White Paper:営業課題の解決に向けたSalesTechの考察 ~注目が集まるセールス・イネーブルメント・ツール~」(2018年10月)

SalesTechは、これから成長が期待される分野といえますが、その実態を知る人はまだ少ないのが実情です。

企業が直面している営業の課題

「営業部門でのIT活用」と聞いて、まず思い浮かぶのは、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)ではないでしょうか。実際、SFAやCRMの導入と活用はこの数年で急速に進みました。パイプライン管理、案件や顧客情報の見える化、ダッシュボードでの売上や進捗管理がシステム上で行えるようになって、業務の効率化や管理工数の削減を実感されている方も多いと思います。

ITR三浦氏は講演で、ITR社が行った調査結果を基に、「SFAやCRMは、案件や顧客の管理、顧客対応の見える化や効率化、営業報告の簡素化といった点では、一定の効果は得られている一方で、営業スキルの標準化、提案力の強化といった、営業担当者の能力やスキルの向上という点では、効果がほとんど得られておらず、依然として課題が残っている」と述べました。(図2)

図2 SFA導入時の期待と導入後の効果

図2 SFA導入時の期待と導入後の効果
出典:ITR「ITR White Paper:営業課題の解決に向けたSalesTechの考察 ~注目が集まるセールス・イネーブルメント・ツール~」(2018年10月)

実際、営業マネージャーにインタビューすると、「営業担当者間で商談の進め方や能力に差がある」、「提案内容や資料、トークが人によってバラバラ」、「営業担当者の育成に時間がかかる」といった意見をお聞きします。つまり、営業部門では、営業スキルの標準化と教育が求められているのが現状です。この領域がSalesTechを推進し、営業力を強化するための次の着眼点だと言えます。

狭義のSalesTech

冒頭で広義のSalesTechの定義について紹介しましたが、SFAやCRM、MA(Marketing Automation)、BI(Business Intelligence)やLMS(Learning Management System)などはすでに普及しているプラットフォームのため、ITRは、狭義のSalesTechを「スマートデバイスやAIの適用などにより、営業活動の特定領域を従来よりもさらに効率化・強化するシステム/サービス(MAや、SFA/CRM、BI、LMSなどすでに普及しているプラットフォームは基本的に除く)」と定義しています。(図3)

図3 狭義のSalesTechとその範囲

図3 狭義のSalesTechとその範囲
出典:ITR「ITR White Paper:営業課題の解決に向けたSalesTechの考察 ~注目が集まるセールス・イネーブルメント・ツール~」(2018年10月)

SalesTechは、見込み客の発掘から、顧客へのアプローチ、契約、そして、顧客のロイヤル化までの営業のステップの中で、さまざまな機能・ツールが要求されていることがこの図からわかります。

特に、営業現場の課題として残る提案力強化や営業スキルの標準化にSalesTechを活用するためには、既存のSFAやCRMを使った商談現場や見込み客の見える化・管理・分析を進め、データに基づくアプローチを確立し、それ以外のSalesTechツールを上手に活用することが求められます。そのためには、営業担当者ばかりでなく、SalesTechを推進する営業企画・営業支援チームのメンバーの教育や意識改革も必要となります。また、ツールの選定やデータ分析など豊富な経験をもつIT部門も、SalesTechを推進するプロジェクトチームに的確なアドバイスを行い、連携することが求められています。

おわりに

狭義のSalesTechでは、SFAやCRMを除外して定義されていること、以外に営業の生産性や効率の向上に活用されるツールの領域がここまで多様であることに驚きました。国内で利用できるSalesTechのソリューションは、海外に比較するとまだ多くないのが現状ですが、これから参入・導入がすすめば、これらのツールを用いて営業効率化に成功する事例が生まれて来ることでしょう。

今回のレポートでは、SalesTechの定義を中心に解説しましたが、それぞれのカテゴリの内容やツールの詳細は、ITR社が発行するホワイトペーパーで詳細に解説されています。ITR社のWebで無料で公開されていますので、ご興味を持たれた方はぜひダウンロードしてご覧ください。

ITR「ITR White Paper:営業課題の解決に向けたSalesTechの考察 ~注目が集まるセールス・イネーブルメント・ツール~」

次回は、SalesTechの中でも最注目の分野、セールス・イネーブルメントについてご紹介します。

商談現場の属人化を解消し、営業生産性を改善する「セールス・イネーブルメント」とは?

商談現場の属人化を解消し、営業生産性を改善する
「セールス・イネーブルメント」とは?

営業の業務効率化を実現するSalesTech。その中で、営業現場の生産性を改善し、営業スキルを平準化するセールス・イネーブルメントに注目が集まっています。

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