イギリス地方自治体がBYODとYODAH でコスト削減、作業効率も25%向上

2014/03/03

MMD研究所が日本のビジネスパーソンを対象に行った調査(2013年8月)によれば、スマートフォンを業務で利用することが、なんらかの業務効率のアップにつながると答えた人は71.5%でした。また、私用スマートフォンに入れている業務情報に関しては、「社内の連絡先情報」が73.1%、「お客様や取引作情報」が48.8%、「業務スケジュール」が47.4%と上位に挙がりました。

このように、私用スマートフォンが業務で使用されるようになると、セキュリティの問題も出てきます。

同調査によれば、私用スマートフォンを業務上で利用する際のセキュリティ対策については、「会社側で対策の必要性を感じる」が28.1%、「どちらかといえば感じる」が35.5%で、合計63.6%の人が必要性を感じると回答しました。また、「すでに会社側で対策している」は、2.8%にとどまっています。

では、セキュリティを確保した上でBYODを導入するには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。今回はセキュリティリスクの問題を乗り越え、BYOD導入により時間、コストの削減を実現したイギリスの地方地自体の事例を紹介します。

Solihull council saves time and money with BYOD

photo credit: mikecogh via photopin cc

イギリスの自治体での導入例

イギリスの地方自治体では、5団体に1団体が、主に職員からの要望でBYODの導入について検討しているといわれています(ComputerWeekly.comによる)。そんな中の一つ、同国のミッドランズ(イングランド中部)に位置するソリフルカウンシルが、いち早くBYODに取り組み、導入に成功したそうです。その取り組みについて見てみましょう。

ソリフルカウンシルのITチームは、セキュリティを危険にさらすことなく、職員が自分の好きなデバイスからシステムにアクセスすることを可能にするために、BYODとYODAH(Your Own Device at Home-自宅の自分の端末)の両方をサポートすることを目標としました。

しかも、ソリフルカウンシルの場合、住民の個人情報を扱う地方自治体であることから、イギリス政府の情報保証アドバイザー「CESG」によって設定されたセキュリティ条件を満たしている必要がありました。

これらの解決策として、職員の自宅のデスクトップPCやノートブックには、仮想プライベートネットワーク(VPN)を利用。そして、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末には、モバイルデバイス管理システム(MDM)を採用しました。

BYODとYODAHで公共部門のコスト削減

公共部門のコスト削減が求められる今日、YODAHはBYODの導入と同等の効果があげられるとソリフルカウンシルは見ています。

「職員が支給された携帯電話やノートパソコンを返還し、代わりに自分のデバイスを利用し始めたことで、すぐに経費削減の効果が出始めた」。ソリフルカウンシルのIT部門のトップ、スティーブ・ハリデイ氏はそう語っています。

また、BYODがもたらすもう1つのメリットに、生産性の向上があります。ソリフルカウンシルでは、多くの職員が約2時間分(1日の労働時間の約25%)、作業効率を向上させたとのこと。そうしたこともあって、YODAH人気は今後さらに高まるとハリデイ氏は予想しています。

ソーシャルメディアサイトによるサポート

BYODを導入するにあたっての新たな取り組みとして、ITチームは、サポートチームなしで問題を解決できるように、職員が質問や解答を自由に書き込めるソーシャルメディアサイトを立ち上げました。

これは、いわば「Support Your Own」アプローチと言えます(ハリデイ氏)。しかし、比較的スムーズに各人がサポート無しの状態に慣れ、このソーシャルメディアサイトは、思ったほど利用されなかったそうです。それにBYODの場合、デバイスに不具合があれば、職員が自らメーカーに問い合わせて問題を解決するのが通常です。

まとめ

イギリスの地方自治体の例ですが、日本企業にとっても大いに参考になります。

企業にとってBYODは、従業員満足の向上、新たなモバイル労働力の展開、そしてコストの削減といった面から、重要な選択肢となってきています。セキュリティリスクがあるからといって、従業員の私用デバイスの利用を制限するのでなく、企業側でセキュリティを確保できるソリューションを用意することが、BYODを成功させる近道と言えるでしょう。

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