製造業でモバイルの利点を最大限に生かすには

2019/11/27

設計・製造の仕事において、モバイルを生かした業務改善や改革は実施することが可能です。とはいえ、なんでもかんでもモバイルにすればよいわけでもありません。設計・製造は専門性が高く細やかな作業が多いため、モバイルが向く作業、向かない作業はあります。また、ネット回線の事情やマシンのスペックの事情も環境により差があります。それらを見極めて、製造業においてモバイルの利点を最大に生かすにはどうしたらいいのでしょうか。

設計業務では、3D CADでの作業そのものより、データ共有で有効

まず、タブレット端末は、設計業務のような細かくて神経質な作業にはあまり向きません。また3D CADを利用する際にはコンピュータ側の処理能力をたくさん使います。タブレット端末のスペックでは、ワークステーション相当の処理は当然行えません。そもそも設計作業を社外ですることは、機密保持面で制限があります。

完全にセキュリティの問題を解消し、かつソフトウェア側の動作も対応していたとしても、設計業務そのものをタブレット端末だけで全て行うことは、実際、かなり厳しいでしょう。「モバイル」端末は、その文字通り携帯性が重視されるため、当然、画面は小さめになります。設計ではやはり大きなディスプレイが一番作業しやすいと考える人が多いです。15インチのノートPCでさえ小さく感じることもあるので、それがタブレット端末やスマートフォンとなったらなおさらです。またCADの入力はマウスやテンキーがないと苦しく感じる人も少なくないのではないかと思います。

設計業務関連でタブレット端末を利用するなら、3Dデータの軽量化フォーマットの仕組みを使う、3DモデルのビューワデータやCAEのポスト(結果)データの表示などの活用が有効でしょう。

デジタルの作業マニュアルでの活用、進捗管理など向く

タブレット端末の利点は、データのやり取りのリアルタイム性や、閲覧の場所の自由度が高いことが挙げられます。

タブレット端末で見られるデジタルの作業マニュアルなら、管理者も作業者も、常にマニュアルが最新版かどうか気にする必要はありません。最近は3Dデータを動画で参照できる仕組みもあるので、2Dの説明図では伝えきれない複雑な工程も表現が可能です。技術者の安全教育用テキストや保守マニュアルでも同様に利用することが可能です。また、現場作業の進捗状況も、作業者のタブレット端末から報告を受けながら管理できます。

デジタル作業マニュアルを有効活用した例として、ホッチキスで有名なマックス株式会社様では、東京本社で作成した作業マニュアルを、中国の工場に毎朝、自動配信し、組立作業の効率化と品質向上を実現しています。

Handbook導入事例:マックス株式会社様

一方、製品設計の現場のようにパソコンを使う仕事の場合はITリテラシーがある程度高い人が多いですが、作業が中心となる製造現場では、ITリテラシーの個人差が大きい場合があります。中には、個人でパソコンを持っておらず、スマホや携帯電話くらいしか扱ったことがない人も少なくないのが実情です。

ITリテラシーがあまり高くない人にとってもタブレット端末の操作は直感的で簡単です。初めての利用で最初は戸惑うことはあっても、パソコンよりは短い時間で操作に慣れることが可能です。

連絡関連にも便利

製造業に限った話ではありませんが、モバイル端末でスケジュールや電子メールが確認できるのは便利です。あらかじめ、機密に関係する情報を絶対に電子メールに添付しない、スケジュールに掲載しない(あるいは、外部からアクセスできないようにする)などセキュリティ面に配慮しておく必要はあります。

「問い合わせに素早く回答する」ことは、スケジュールの進行上は非常にありがたいことで、仕事相手の満足度や信頼感につながる部分でもあります。移動中など、電話に出られないシーンでは、電子メールやSNSのチャット機能などが活躍します。場所や時間、シチュエーションにしばられずコミュニケーションが図れることは、モバイルならではの利点です。

モバイルの便利さを生かした素早い対応と働き方改革

設計・製造の現場は人手不足だといわれます。また、スピード感ある市場の変化に対応するため、設計開発や製造の期間はどんどん短くなってきています。

そのような厳しい要求に対応するため、作業時間やコストを現場の努力と根性で無理やり圧縮するような取り組みは、仕事の品質を落としてしまう要因となる上、携わる人のモチベーションを低下させてしまうものです。

設計・製造現場においては、プロセス全体を効率化するためにモバイルを活用していくことが有効でしょう。問題が早期に洗い出せるデザインレビューの仕組みを取り入れて後工程の手戻りを削減する、情報共有を密にすることで無駄な会議を減らす、といった施策が可能です。そのような取り組みからできた時間をそのまま時間短縮につなげる、あるいは企画や設計の時間にもあてるなどができます。

今回ご紹介した製造業での設計・製造部門でのモバイル活用では、コミュニケーションに関わる部分にタブレットの導入が有効です。3D CADやCAE、PLMにも、クラウドビューワなど早期レビューを支援する仕組みが備わってきているため、そちらとモバイルを上手に組み合わせるのもよいアイディアです。さらにアステリア社の「Handbook」を使えば、資料共有が的確に行えます。たとえば、設計基準書、作業標準書、マニュアル類はもちろん、デザインレビュー用の図面、会議資料、プレゼンテーション資料、試作品の画像や動画など、製造プロセスで必要となる様々なドキュメントを安全に管理・配信することができます。

このように、モバイルは、用途に合わせたアプリを選択して活用の幅を広げることができるのです。設計・製造の最前線でも活用しない手はありません。


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