BYODのメリット、デメリット
従業員が個人の端末を業務で使用するBYOD(Bring Your Own Device)は生産性の向上に大きく貢献する可能性があるとして、注目を集めています。
IT Leadersの調査(2013年2月)でも、BYODを許可している企業および導入を検討している企業の半数以上が、その理由として従業員の業務効率やモチベーションを上げることができると答えています。
しかし、その一方でBYODは機器の紛失時に情報漏えいの起きる可能性があるなどのリスクをはらんでいます。上記の調査でもBYODを禁止している企業の多くはその理由としてセキュリティリスクへの対策が取れないためであると回答しています。
私たちインフォテリアではホワイトペーパー「BYODの成功を支えるMCMとは何か? ~ MCM(モバイルコンテンツ管理)の有効性と成功するBYOD 実現の3つのポイント」を発行するなどBYODについても積極的に取り組んできました。
今回はそのBYODの全体的なメリットとデメリットについて整理してみましょう。
どのようなメリットがあるのか?
BYODを活用することの一番のメリットは、業務を効率よく進めるうえで役に立つという点にあるでしょう。業務時間や社内にいる時間に限らず、柔軟にメールを利用することや資料にアクセスすることができれば、時間の無駄は大きく削られるはずです。同時に使い慣れた自分の端末を業務に利用できるということも大きなメリットでしょう。
企業にとってもBYODには大きなメリットがあります。業務用の端末を従業員ひとりひとりに用意することに比べ、機器導入のコストや通信料といった経費を大幅に抑えることができるためです。先述のアンケートによれば、現在BYODを導入している企業のおよそ65%は通話料や通信料を従業員個人が100%負担しているという結果が出ています。
こういったコスト面でのメリットに加えて、業務の効率化を図ることができるというのは企業にとって大きな魅力であるはずです。
問題点とその解決策
こういったメリットがある一方で、端末の紛失や盗難に対するリスクを抱えていることもまた、BYODの特徴であるといえるでしょう。アンケートでも、BYODを禁止している企業は、その最大の理由としてセキュリティに対する問題点を挙げています。
BYODにおける具体的なセキュリティリスクとして、データの漏えいがあります。業務に使用している個人の端末を紛失した場合、そこから情報が流出してしまう可能性があります。
そのための対策として、紛失や盗難に気づいた時にすぐ、遠隔操作で端末を使用できないようにロックしたり、端末を初期化できるように設定したりしておくこがまず必要でしょう。これらの対策はBYODを許可している企業の多くがすでに導入しているものの、なにも対策を取らないまま、BYODを実施している企業も少なくないのが現実です。
また、画面ロックの強制やパスワードポリシーの設定をしているものの、アプリケーションの使用制限やクラウドサービスの利用制限まで設けている企業は少ないようです。これは規制を厳しくし過ぎると従業員にとって使いづらいものになってしまうという配慮に加え、社内システム整備が追いついていないこと、そしてシステム整備対するコストの問題もあるようです。
BYODの今後
BYODの活用を広め、安全に運用するためには、企業側と従業員双方の正しい理解と知識が欠かせません。BYODにはどのようなリスクがあり、それを防ぐためにどのような対策をとることができるのかを双方がきちんと把握するとともに、利用の際には申請や許可の手続きを設けることや、盗難時の報告や初期化を義務付けるといった仕組み作りも必要でしょう。
MCMを活用した取り組みについては是非、冒頭でも紹介したホワイトペーパー「BYODの成功を支えるMCMとは何か?」もお読みください。
安全に活用できる環境を整えれば、BYODは大きな可能性をもっています。まずはそのための正しい認識と対策を広めることが、今後のBYOD活用には必要なのではないでしょうか。
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BYODの成功を支えるMCMとは何か?
BYODのデバイスには従来のデバイス管理等による管理手法が適用しにくいため、利用者が管理者の許可なくデバイスを業務で利用する「シャドーIT」を生み出しています。こうした現状に対して、デバイスではなくコンテンツの管理に集中するMCM(モバイルコンテンツ管理)という領域が有効であることが注目されています。本資料では、MCMの有効性と実際の活用事例をご説明し、BYOD 成功のポイントをご紹介します。
賢いツール選びが重要!BYODを成功に導く3つのポイント
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