Windows 10 Mobileって結局どうなの??特長とビジネスで使えるポイントをおさらいしてみます
iPhoneやAndroid端末と比較するとどうしても影の薄さが否めないWindowsのスマートフォン。しかし、Windows 10のリリースから少々様相が変わりつつあり、12月にはリリースされる、という噂が飛び交うWindows 10 Mobileを契機に2016年にかけて興味深い展開が期待できそうです。そこで今回はWindowsのスマートフォンについて、どんなことができるのか、メリットや特長、そして肝心の端末のことなどについてまとめてみました。
Windows 10 Mobileは過去の失敗を繰り返さない
まずはWindowsのモバイル向けOSを巡る過去を少し振り返ってみます。Windowsのモバイル展開はビジネス向けの「Windows Mobile」とコンシューマ向けの「Windows Phone」の2つが存在し、Windows Mobileはビジネス向けの位置づけで市場に投入されました。しかし、いわゆるスマートフォンとは設計思想、使い勝手が異なったこともあり、AppleやGoogleが急速にシェアを拡大する中、苦戦を強いられることとなりました。そのような状況でMicrosoftがコンシューマ向けとして新たに市場に投入したのがWindows Phoneです。
しかしWindows Phoneはすでに大きく水を開けられていたApple、Googleからユーザを大きく奪い返すほどには至らず、フィンランドなど一部の国では3分の1以上のシェアに達したものの、状況を奪回するには至りませんでした。
その状況に変化が見え始めたのは、Microsoftの新CEOとしてサトヤ・ナデラが就任して以降のことです。ナデラが掲げる「モバイル・ファースト、クラウド・ファースト」、そして「Windows As A Service」をキーフレーズとし、事業を進めていく中でひとつの集大成としてリリースされたのがWindows 10です。
Windows 10のリリースでは、これまでWindows Phoneとして独立した形式をとっていたモバイル用OSがWindows 10のエディション、「Windows 10 Mobile」としてリリースされることとなりました。Windows 10をベースに、モバイル利用を前提としてデバイスの形状や特性を踏まえた仕様変更をおこなっています。後述しますが、到来しつつあるマルチデバイス時代を見据え、端末を問わずシームレスなユーザ体験を目指しており、これまでの在り方と決別する中長期的な戦略の一環としての施策であり、本気で変革に取り組む姿勢が垣間見れます。
参考:「製品」から「サービス」へWindows10はマイクロソフト社の決意の表れ!?
ビジネスが便利になる新機能を備えたWindows 10 Mobile
それでは次にWindows 10は何が特長なのかを見ていきます。
さまざまなアプリでシームレスな利用が可能に
先に挙げたようにWindows 10はOSとして共通しているため、モバイルとPCのクラウド経由での同期をシームレスにおこなうことができます。たとえば、自宅のPCで途中まで閲覧したウェブページを外出後の空いた時間で残り分を閲覧する、というようなことも可能です。ほかにも、これはアプリ側の開発ともセットとなりますが、PCで作業していたワードファイルを外出後はその続きをスマホで編集する、というようなことです。
また、互換性がもたらすメリットとして開発工数も大幅に削減できます。また、「Windows Bridge」の提供でAndoroidやiPhone、ウェブ上で動作しているアプリを簡単にWindows 10へ移植することも可能になるため、現状少ないと言われているはWindowsアプリですが、今後は増加傾向になることが見込まれています。なお、技術的な部分については@ITの以下のページが詳しく書かれていますので参考にしてみてください。
スマートフォンがデスクトップの代わりに
そして新たに実装された「Continuum」、「もうデスクトップPCは不要」という煽り文句で話題になっていたこともありご存知の方も多いかと思います。Microsoftの開発者向けページには以下のように概要が書かれています。
Continuum は、Windows 10 で提供される新しいアダプティブなユーザー エクスペリエンスです。物理的なフォーム ファクターとユーザーの好みに合わせて、アプリと Windows シェルの外観と動作が最適化されます。
シンプルに言えば、「ユーザの利用するデバイス・画面に応じて表示内容が変更される」ということです。Surfaceシリーズのようなタブレット⇔PCというように形状を変更できるものはそれぞれの形状ごとに表示内容を最適化。また、スマートフォンに外部ディスプレイとキーボードを接続した場合にはそのディスプレイサイズや形状に応じて表示内容が最適化されます。詳しく知りたい方はGIGAZINEの下記ページに実際に利用したレポートがあるので参考にしてみてください。
参考:スマホをWindows 10・PCのように操作できる「Continuum」を実際に使ってみるとこんな感じ(GIGAZINE)
音声アシスタント「Cortana」を便利に使える
「Cortana」をご存知でない方のために概要を説明すると、iPhone、iPad上での「Siri」、Android上での「Google Now」他の音声アシスタントアプリと同じような「パーソナルアシスタント」です。Windows 10の目玉機能として組み込まれているものの、現時点では日本語版の正式リリースはされておらず、「Windows 10 Insider Preview」でのみ利用することができる状況です。
Cortanaは新ブラウザMicrosoft Edgeと連携し、Cortanaが常駐してブラウザ経由の通信履歴を参考にユーザの行動と関連性の高いコンテンツを表示します。たとえば、ユーザがレストランのウェブサイトを閲覧している時に、Cortanaがユーザの現在地からそのレストランへの行き方や詳細情報、あるいは予約ページまで表示してくれる、といった具合です。そしてそれらの行動履歴をCortanaは記録し、予測精度を上げていきます。
他にも、まるで秘書のようにスケジュールの管理やリマインドなどをしてくれる機能もあるため、モバイルで利用することでより利便性高く活用していけるものと思われます。
Cortanaについては以下のページが詳細をレポートしています。参考にしてみてはいかがでしょうか。。 参考:Cortana(コルタナ)を使ってWindows 10を音声で操作する(できるネット)
Windows 10 Mobileの利用でビジネスはここまで便利になる
先の章ではWindows 10 Mobileの特長を説明しました。これらの新機能でビジネスがどのように便利になるかを見ていきましょう。
デスク上はディスプレイとキーボードのみとなる
Windows 10 Mobileの目玉機能であるContinuum、この機能を活用することでデスク上のPCはもはや不要なものになっていきます。スマートフォンもしくはタブレットなど常時携帯しているモバイルデバイスに、オフィスで仕事をする場合はディスプレイとキーボードを接続して業務を遂行していくようになるでしょう。すなわち、ストレージとクラウドへの接続機能を有するデバイスを持ち運び、表示のためのディスプレイやキーボードなどは備え付けのものを利用する、というイメージです。
このような状況が普及することによりテレワークなども進んでいくことが見込まれます。
ただし、ディスプレイをコントロールするGPUやメモリなどに依存する部分もあるため、急速に置き換わる、ということはなさそうです。モバイルデバイスのスペック向上などを踏まえながら企業でも徐々に切り替えていくのではないでしょうか。
一人ひとりのビジネスパーソンにアシスタントが付く
先に挙げたCortanaが進化していくことでビジネスパーソンの強力なアシスタントになっていくと見込まれます。たとえばスケジュール管理や訪問先への経路、その交通機関の予約なども代替してくれるようになるのではないでしょうか。他にも、得意先との接待で過去の履歴などを踏まえながら候補の箇所を複数リストアップしてくれる、選択したものを予約してくれる、というところまで対応するのも近い日に実現するのではないでしょうか。
また、メール作成や議事録作成などもテキストマイニングの精度向上に伴い、実務に活用できるレベルになっていくことが期待されています。シンプルな作業はCortanaに任せ、ビジネスパーソンが創造する作業にフォーカスできるようなシーンもそう遠くない未来のように思われます。
これらの他にも新しいブラウザMicrosoft Edgeを経由してウェブアプリケーションを最新の状態でフル活用できることや、慣れると使いやすいという定評があるタイルUIなどのような利便性向上も期待できます。また、企業のセキュリティポリシーや搭載機種に左右されるところはありますが、セキュリティについては大きな改善が図られそうです。
Apple iPhoneのTouchIDに相当する「Windows Hello」、「Microsoft Passport」などを活用することにより、セキュアかつ利便性高くデバイスを利用することが可能になるため、これまでのセキュリティ対策のような不便さから解消されることも期待できるでしょう。
まとめ
現時点でリリース日が確定していないなど、未だに紆余曲折をしている感を受けるWindows 10 Mobileですが、Continuum機能をはじめユーザに新たな体験をもたらすことは間違いありません。既に参入を発表しているメーカーでは既に想定金額をだしているところもありますが、比較的リーズナブルな価格設定になっており、規模の大きくない企業でも格安SIMと合わせて一括で導入することなども考えられます。
そうした展開はこれまでAndoroid、iOSの2強状態となっていたモバイル市場に大きな変化をもたらす可能性も少なくありません。メーカーの動向などを含め今後に注目が集まります。
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