BYODからCYOD(Choose Your Own Device)へ、そこでの注意点とは?
シャドーITという言葉をご存知でしょうか?これは、会社の承認なく、業務に利用されているIT機器やサービスを意味します。
欧米諸国に比べ、日本ではBYOD導入に慎重な姿勢をみせています。しかし、企業が社員からのBYOD導入への要望に二の足を踏んでいると、シャドーITが横行し、いつの間にか企業は情報漏洩などの危機にさらされている可能性があります。
そこで、現れたのがCYOD(Choose Your Own Device)です。CYODとは、会社が認定した個人デバイスの業務利用を認めることです。IDC Japanの調査では、2014年にBYODからCYODへのシフトが加速すると予想しています。
BYODより安全性と利便性を兼ねたCYODへ
日本情報システム・ユーザー協会が行った、「企業IT動向調査2013」によると、スマートフォンを導入している企業は28%、タブレットを導入している企業が27%という結果でした。そして、BYODを「全従業員に対して認めている」企業は3.7%「一部の部署・従業員に対して認めている」企業が12.3%。現在は認めていないが「一部解禁することを検討中」の企業が20%でした。
BYOD導入企業の比率は、「検討中」の企業と合わせても30数%といった数字に対し、「将来も認めない」という回答が45.1%を占め、BYODの導入に対し慎重であることが顕著にあらわれています。
しかし、IDC Japanの「2013年国内BYOD利用実態調査」では、国内BYOD/シャドーITユーザー数は、2011年の192万人に対し、2016年には約6.6倍の1,265万人に拡大すると予想されています。BYODへの流れは止められず。企業が対応しなければシャドーITが増える一方になると言えるでしょう。
もはや認めざる得ないところまできているBYODですが、それにともなうIT部門の対応作業量は、はかりしれないものがあります。そのソリューションとして現れたのが、CYODです。従業員が個人的に持つ、数限りないデバイスに対応するのではなく、企業が業務に利用することを認定したデバイスを認めることによって機種を絞り込め、セキュリティ対策に伴うテストや管理作業を削減できます。
自由度の高いBYOD、制御可能なCYOD
企業が認可した機種の中から実際に使用するデバイスを従業員に選ばせるというのは、企業にとってはコントロールしやすくなるということです。しかし、CYOD戦略は従業員から選択の自由を奪うことになり、従業員がBYODほどの満足を感じない可能性があります。
そこで重要になってくるのが、正しいデバイス選びです。これによってBYODにより近い満足感を従業員に与えることができます。常に最新のデバイスを認定することは、企業にとっては負担が大きくなりますが、従業員の間でどのような機種が好まれているかなど、トレンドをキャッチしていく必要があります。
CYODで成功するためにはMAM、MCMが不可欠
BYODは、その自由度の高さから全ての企業で受け入れられるとは考えにくく、よりコントロールしやすいCYODの方が受け入れやすいのではないでしょうか。ただし、CYOD導入時の従業員の満足度を継続するためには、常に従業員の要望に敏感である必要があります。
アプリケーションについても、IT部門では、従業員がどのような未認可のアプリケーションの使用を希望しているかといったトレンドに耳を傾け、そしてBYOA(Bring Your Own Application:社内ネットワーク外にあるアプリケーションなどを業務に持ち込むこと)についても検討することが大切です。
また、CYODにおいても、セキュリティ対策は重要です。BYODのセキュリティ対策として利用されている管理ツールなどの導入を検討するなど対策が必要です。
デバイス紛失などによる情報漏洩を防ぐためにはMDM(モバイルデバイス管理)の導入が有効とされてきました。MDMは、リモートでデバイス内部に記録されているデータを消去する機能があり、デバイス紛失にともなう情報漏洩を防ぐことができます。しかし、これは同時に従業員の個人データを削除することにもなります。
そこで登場したのが、MAM(モバイルアプリケーション管理)やMCM(モバイルコンテンツ管理)です。これらを活用することで、コンテンツを私用と業務用で区分けして管理することができます。
まとめ
BYODからCYODへシフトする際は、従業員の要望を考慮しつつ、適切なセキュリティ対策を行うことが重要です。このことにより、企業にとっては、セキュリティの担保とコスト削減の両立が可能となります。また、BYODと同様に、従業員の生産性の向上も見込めます。今後、CYODは、会社全体のパフォーマンスを上げる大きなキーワードになるでしょう。
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