小・中・高でもICTやタブレットが普及、そこでの課題とは?
ICT(情報通信技術)については、まるで空気や水のように、存在するのがごく当たり前のものとなってきています。そうした状況を反映するかのように、日本の教育現場でも、ICTの導入が進んできています。
また、ICT教育の効果についての最近の総務省の調査などでは、小学生から大学生の基礎科目の学力向上や学習態度改善などにおいて、ICT化の高低による有意な差が見てとれることが明らかになってきています。
それでは、実際にICTは教育現場でどのような形で利用されているのでしょうか。
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導入が進む教育現場へのICT
文部科学省「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によれば、平成25年3月現在、全国約2万1千校の小学校に導入されているクラス用コンピュータ台数は約16万台。そのうち約2万台がタブレット端末です。コンピュータが減少に転じているのに対して、タブレット端末は前年比26%増となっています。1校に1台という計算になります。
同じ調査によれば、全国約1万校の中学校に導入されているクラス用コンピュータは約7万3000台、うちタブレットは約6600台です。中学になると、1校当たりのタブレット数はやや減ります。
同様に、高等学校では全国約3700校にクラス用コンピュータが約5万9000台、うちタブレットが約7000台です。前年からの伸び率は40%にもなります。1校当たりでみると、1校に2台近くとなります。
また、デジタル教科書の整備率も上昇傾向にあって、平成24年3月現在、小・中・高で22.6%だったのが、平成25年3月では32.5%となっています。
校内CIO設置は3分の1にとどまる
しかしその一方で、ICT統括責任者である校内CIOの設置状況は、平成25年3月現在、小・中学校で31%程度、高校で約33%。つまり3分の1程度にとどまっている、という結果が出ています(文部科学省の同調査)。
ちなみに校内CIOとは、同調査で「学校のICT化について、総括的な責任を持ち、ビジョンを構築し実行するため、学校におかれた責任者」と定義されています。
また、セキュリティに対しては、「セキュリティポリシー」の策定という形で、対策をとっている学校が大多数です。同調査によれば、小・中・高のインターネット接続のある学校のうちの89%が、「学校情報セキュリティポリシー」を策定しています。
教育サイドのリテラシー向上も課題
では、教える側の先生についてはどうでしょうか。同調査には、「教員のICT活用指導力」という項目があります。「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」については、小・中・校の合計で79.7%。一方、「授業中にICTを活用して指導する能力」については67.5%にとどまっています。
先生たちは、職員室ではパソコンなどを使えていても、教室の中まではICTを充分にもちこめていない、ということが見えてきます。
小・中・高の教育現場において、ICTの利用は過渡期にあります。タブレットなど新しいデバイスがどんどん入ってきている一方で、CIOの設置などの運用面、そして先生たちの「使いこなし」については課題が大きいといえます。
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