スマートデバイスの活用、定着のポイントは「コンテンツ」と「現場目線の運用」〜「モバイルを最大限活用!今知らないと乗り遅れるワークスタイル改革最前線」レポート〜

2017/12/12
「モバイルを最大限活用!今知らないと乗り遅れるワークスタイル改革最前線」レポート

「AI」「IoT」「ドローン」「働き方改革」……。日々、テクノロジーの世界では最新技術・キーワードばかりもてはやされる傾向にあるが、先進企業の取り組み事例などの情報を見ても、いざ自社の組織にその仕組みをとりいれるべきポイントや課題となると、参考にするには組織風土や先進技術に対する姿勢などの前提が異なるため、なかなか取り組み始めることができないということはないだろうか。

今や78%の企業が導入している(日経コミュニケーション「企業ネット/ICT利活用実態調査2016」より)というタブレット端末。2017年12月7日、株式会社マイナビ「マイナビニュース」主催によるイベント「モバイルを最大限活用!今知らないと乗り遅れるワークスタイル改革最前線」では、フランスベッド、日本ミシュランタイヤのタブレット導入・運用の責任者による講演から、流行りのキーワードに振り回されない、地に足の着いた「活用」「定着」の裏話をじっくり聞く機会となった。

端末を配布しただけでは活用されない「1年目成果なし」からの巻き返し

フランスベッド株式会社

「5年前にもトップダウンでタブレットを導入したんですが、全く成果を上げることができませんでした」とタブレット導入の失敗について語ったのはフランスベッド管理部の尾島氏だ。同社では2012年に一度、タブレットによるワークスタイル変革に取り組んでいる。当時の導入がうまくいかなかった点について尾島氏によると「ITに強そうなチームから導入というスタイルをとったのですが、運用については現場まかせで特にフォローアップができていませんでした」と語る。



フランスベッド株式会社はフランスベッドホールディングス株式会社を親会社に持つ、家庭用・医療用ベッドを取り扱うベッドメーカーだ。主に顧客に介護・医療用途のベッドを販売するメディカルサービス事業と、家具店や百貨店向けに家庭用ベッドを販売するインテリア健康事業の2つの事業を中心に成長を続けている。自社のことを「決してテクノロジーに強い会社でも、新しい会社でもない」と紹介した尾島氏。

同社の販売する製品の性質上、口頭では良さを伝えづらい高機能ベッドの機能紹介や、顧客先の訪問後の業務処理改善による生産性向上にタブレット導入は大きく期待されていたが、初年度の導入のつまづきから導入計画を引き直すところからスタートした。

同社ではタブレット導入による目的をあらかじめ定め、プロジェクト計画書をもとに用途と利用アプリを明確化させて組織横断のプロジェクトとして再スタートを切った。

プロジェクト計画をもとに用途を限定させ、トレーニングなど定着に向けた活動をつづけながら管理ツールよる利用状況の確認と利用者アンケートなどによる定期的な利用実態の把握と改善を積み上げ、導入後2年かけてようやく定着にむかったという。

フランスベッド株式会社

同社では現在タブレットを「販売カタログ」「外出先から基幹システムへのアクセス」「eラーニング」「FaceTimeによるリモート研修」「チャットツールによる情報共有」「倉庫の視察」など様々な用途で活用している。特にHandbook内のカタログから豊富なカラーパターンや電動リクライニングなどビジュアルで訴求力の高い商品紹介が見せられることにより、スタッフからの評判も良く、現在は営業スタッフのほぼすべてが利用しており、必須の情報インフラといえる状態だという。

販売店網をタブレットで情報武装、継続した情報更新が成功を生む

日本ミシュランタイヤ株式会社

次いで、自社の営業が使って業務改善という形ではなく、流通網全体にタブレットを使った営業スタイルを普及させ営業力強化に取り組んだ取り組みの紹介として、日本ミシュランタイヤ株式会社でディストリビューションプログラムマネージャーを務める夏目氏から講演があった。

日本ミシュランタイヤのトラック/バスタイヤ事業部は、エンドユーザーに直接タイヤ製品を販売するのではなく、地域の整備やメンテナンスを請け負うタイヤ販売店と提携し、国内での販路を広げている。夏目氏によると日本市場はEU全体と匹敵する規模の大きなマーケットであり、かつ強力な競合企業も数多く存在する「非常に難しいマーケット」だという。同社では営業スタッフを「アカウントマネージャー」と呼称し、担当エリアと販売店のマネジメントを任せる体制をしき、効率的なテリトリーマネジメントと販売店と連携した新規顧客の開拓に努めている。高度な専門知識を持たない販売店の新人スタッフでも、効率良く営業活動を行うためのツールとして同社が着目したのがタブレットだ。

日本ミシュランタイヤ株式会社

同社では販売店・パートナーディーラーに「動画」「カタログ」「見積りツール」などHandbookによる情報武装をおこなったタブレットを配布し、販売店の売り上げに直結するサポート体制を敷いた。現在では同社のセールススタッフもタブレットとHandbookを使ったセールス活動を行っており、継続的なコンテンツの更新体制を実施することによりほぼ100%のパートナーディーラーがHandbook入りタブレットを活用しているという。 そんな同社がHandbookを活用した「三つ星の営業ツール」として以下を紹介した。

1.HTMLコンテンツ

走行距離や車種から最適なタイヤやコストを算出する「コストシュミレーションツール」や、トラックのタイプや積載重量から推奨の空気圧を計算する「推奨空気圧計算ツール」、「タイヤセレクター」など高度な専門知識が無くても最適な提案が可能になるHTMLコンテンツ

2.サイネージ機能

パートナーディーラーのインタビューやモータースポーツビデオをイベント会場、販売店の店頭などで放映するコンテンツ

3.360°コンテンツ

販売店の店頭を360°カメラで撮影し、それを紹介コンテンツとして作成し新規販売店の獲得や新規ユーザーの獲得につなげている

夏目氏は同社のタブレットの導入プロジェクトだけでなく、継続したコンテンツ製作も担いプロジェクトをけん引し続けている。同氏によると、「管理者が飽きずに現場目線で情報更新を継続することが活用のポイント」と語り講演を締めくくった。

導入事例:日本ミシュランタイヤ、取扱店向けの営業支援ツールをHandbookで提供

活用の最前線を支える「Handbook5」の新機能と現場目線のタブレット活用とは

インフォテリア株式会社 黒柳氏"
インフォテリア株式会社 柳谷氏"

またセミナーでは、Handbookの最新バージョン「Handbook5」の紹介も行われ、「自動再生モード」「SplitView(iOS)対応」「カンファレンス機能」などの最新機能の紹介をインフォテリア株式会社の黒柳氏が講演したことに加え、同社柳谷氏からは「1,200件導入実績から紐解くモバイル活用成功例」と題して「営業現場」「店舗・店頭」「製造業」「オフィス」など様々な現場でタブレットの活用を推進するHandbookの導入事例の紹介が行われた。

尾島氏・夏目氏の講演や数多くの成功事例に共通しており、最も強く印象に残ったのは「完璧を目指さない」ことと、「決めた範囲で粘り強く運用を回していく」という点だ。

「アレもコレも」と手を出さないで、役割・目的を決めつつその範囲内でコツコツと粘り強く運用していく姿は華やかな最新テクノロジーの活用とは異なり一見地味に見えることもあるが、現場目線を忘れず着実に生産性を高めていく姿こそ、多くの企業にとって自社に取り入れることのできる発見があったのではないだろうか。

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