【SalesTech Blog:連載2回目】
SalesTech(セールステック)の注目分野「セールス・イネーブルメント」とは?
はじめに
前回のブログでは、SalesTech(セールステック)の定義についてご紹介しました。第2回目となる今回は、SalesTechの中でも注目が急速に集まっている「セールス・イネーブルメント」についてご紹介します。
前回のブログでは、営業現場にSFA/CRMを導入することで、案件や商談情報の可視化による営業力向上の効果が得られた一方で、提案力の強化や営業スキルの標準化が依然として課題として残っていること、そしてそれが次の営業現場改善に向けた着眼点であることを紹介しました。実際、営業マネージャーを対象としたインタビューでも、「営業担当者間で商談の進め方や能力に差がある」、「提案内容や資料、トークが人によってバラバラ」、「営業担当者の育成に時間がかかる」といった声をお聞きします。こうした課題に対するソリューションが、セールス・イネーブルメントです。
セールス・イネーブルメントとは?
セールス・イネーブルメントは、「継続的に営業成果を出すための取り組みや、それを実現するツール」のことで、営業の活性化を実現します。また、そうした取り組みを行う部署やプロジェクトの名称として使われることもあります。ITR社では、セールス・イネーブルメント・ツールを「セールスコンテンツを中核に据えた業務を効率化・高度化することで、営業力を強化するためのシステム」と定義(※)しており、「コンテンツの作成・更新、保管・管理」「コンテンツの共有」「教育/トレーニングでの活用」「コンテンツの活用状況の可視化」などの機能を有するものとしています。
※出典:ITR White Paper:営業課題の解決に向けたSalesTechの考察 ~注目が集まるセールス・イネーブルメント・ツール~(2018年10月)現場の営業活動を支えるセールス・イネーブルメントの要素は2つあり、営業担当者の「武器」とも言える「セールスコンテンツの拡充」と営業担当者のスキルや能力を上げる「トレーニング」です。(図1)
図1 セールス・イネーブルメントとは?
セールス・イネーブルメントを進めていく上では、セールスコンテンツを拡充する上で必要となるコンテンツの管理・配信・分析と、現場の営業担当者を対象としたトレーニングの実施、この2つが必須とされます。これに加えて、より詳細なデータ分析を可能にする営業情報連携、現場で利用するコンテンツや次のアクションのリコメンドなどを行う営業支援などが有効な機能として挙げられます。(図2)セールス・イネーブルメント・ツールには、セールス・イネーブルメントの活動を支援するこうした機能が搭載されており、上手に活用することで、取り組みをより円滑に進めることができるでしょう。
図2 セールス・イネーブルメント・ツールの主な機能
セールス・イネーブルメントの取り組みとその効果
セールス・イネーブルメント・ツールを用いると、セールスコンテンツの活用状況を定量的に把握することができるようになります。また、営業担当者へのトレーニングを通じて、製品や競合製品の理解度や、営業スキルが可視化されます。これらの結果を営業成果への貢献度とあわせて分析することで、優秀な営業担当者のノウハウを共有化し、日々の営業活動に適用していきます。
図3 セールス・イネーブルメントの取り組みステップ
セールス・イネーブルメントでは、営業ノウハウを反映したセールスコンテンツを作成・配信することで拡充し、そして、営業担当者のスキル定着を促すトレーニングをマイクロラーニングなどの手法も活用して実施します。これにより、若手や新人の営業担当者の育成を加速させ、営業力の底上げに貢献します。また、この取り組みを継続的に繰り返していくことで、さらに営業活動の質を向上させ、売上の拡大につながっていきます
図4 営業力の底上げを実現するセールス・イネーブルメント
とはいえ、現場でセールス・イネーブルメントの適用が進んでも、営業の現場から、アナログで処理する部分や人が介するシーンがなくなるわけではありません。努力・根性などの人間らしさとそのよいところを残しつつ、テクノロジーの力を賢く用いて、継続的に営業を活性化していくことが大切です。
急速に注目が集まるセールス・イネーブルメント
現状、国内でのセールス・イネーブルメントの認知度は約2割と低い水準にとどまっていますが、Googleのトレンド傾向を見てみると、2017年からの1年で、検索件数が急増しています。(図5)
図5 注目を集めるセールス・イネーブルメント
また、VB Profiles.comによると、SalesTech領域の米国におけるベンチャー企業の資金調達額を見てみると、セールス・イネーブルメントは46億ドル(約5000億円)の調達額で、営業データの可視化の37億ドル、電子署名・契約管理の23億ドルよりも大きな金額となっています。(※)これらの点から見ても、セールス・イネーブルメントはSalesTechの数あるソリューションの中でも、世界的に注目が集まっている分野だと言えるでしょう。
※VB Profiles.comに掲載された2018年11月時点の情報に基づき、当社にて算出。おわりに
営業活性化への取り組み、セールス・イネーブルメント。日本での認知度はまだ2割程度と低く、まだ目新しいといってよい状況ですが、世界的に期待と注目が集まるソリューションです。日本でも取り組みをはじめる企業が出てきており、ほどなく、営業活性化に成功した事例も多く発表されることでしょう。
今回は、セールス・イネーブルメントの概要を簡単にご紹介しましたが、本サイトで無料でダウンロードできるホワイトペーパー「商談現場の属人化を解消し、営業生産性を改善する『セールス・イネーブルメント』とは?」では、より詳しくセールス・イネーブルメントを解説しています。国内のセールス・イネーブルメントの取り組み事例や、効果的な活用のためのポイントもご紹介していますので、ぜひご一読ください。
次回、第3回では、セールス・イネーブルメントを実践する上でのアプローチ方法として、PDCAとは異なる手法、OODAループについてご紹介します。
セールステックHandbook活用事例
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- 【 富士電機機器制御 】営業現場の属人化を解消し、サービス品質向上を実現
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- 【 東海東京証券 】顧客の信頼を高め、成約率を上げる営業支援を展開
- 【 サン・クロレラ販売 】タブレット活用で全国拠点の営業スタッフの「営業力」を強化
- 「営業活性化の鍵セールス・イネーブルメント」についての説明はこちら
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