営業力をITで強化する。セールス・イネーブルメントの取り組みとその効果を徹底検証

2019/06/04

最近「セールス・イネーブルメント(Sales Enablement)」という言葉を耳にすることはありませんか?
世界的にスタンダードとなりつつある営業成果を継続的に出すための取り組みで、その波は日本にも来ると予想されています。今回は「セールス・イネーブルメント」がどのようなものか、どのような現場に効果的なのかを見ていきます。

継続的に営業成果を出す「セールス・イネーブルメント」

セールス・イネーブルメントとは何か

しっかりと営業成果を出す仕組みが確立できていない現場の多くは、「営業担当者同士の情報共有ができていない」「管理者から正しい業務改善提案がなされていない」「顧客への適切なアプローチが不足している」など、業務効率向上を妨げるさまざまな問題を抱えています。

そうした問題に対して、営業支援や管理者の業務効率アップ、社員教育まで一貫して設計・管理することで高い効果を得られることが分かっています。企業内の営業や顧客管理などを一貫して改善する、この一連の取り組みの中で、特に営業担当者のスキル向上、能力アップを通じて営業力を強化する取り組みが「セールス・イネーブルメント」です。営業活動を行ううえで現在起こっている問題解決を図るとともに、持続可能な営業成果を出すための支援を行うのです。

セールス・イネーブルメントはなぜ、世界的に導入されているのか

営業支援ツールの導入や業務改善への取り組みは、これまでも国内のみならず、世界中の企業が行ってきました。それなのになぜ、いま、セールス・イネーブルメントが世界的に注目を集め、必要とされるのでしょうか。

その理由は2つあります。ひとつは、前述したような営業の現場が抱える問題を解決するには、個々の部署やチーム単位で改善を図るのではなく、業務全体を通して一貫した対策が効果的であるという考え方が広がったことです。これにより、SFA (Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)だけでなく、SalesTech分野でも業務を改善するツールやサービスが数多く市場に登場しました。

もうひとつは、SFAや CRMの普及が進んだにもかかわらず、これらでは解決できない営業課題があったことです。その代表的な例が、営業の属人化、そして提案力の強化や営業スキルの標準化です。

現在は、国内での認知度が2割程度といわれているセールス・イネーブルメントですが、すでに取り組みを始め、成果を出している企業も存在します。こうした企業に追従する形で国内企業にも波及していくと予想されます。詳しくは【SalesTech Blog:連載2回目】SalesTech(セールステック)の注目分野「セールス・イネーブルメント」とは?https://handbook.jp/blog/2018/11/28/salestech02/をご参照ください。

セールス・イネーブルメントに取り組もう

どのような分野や業種に適しているのか

セールス・イネーブルメントに取り組むべき企業の代表といえば、BtoB取引を行う企業です。BtoB取引では顧客とのコネクションが非常に重要であり、そのために営業担当者が活躍します。その一方で属人化という課題もあるのが実情です。

通常、営業担当者は顧客となる相手企業のデータを分析しながら、効果的な営業活動を行っていきます。そのため、管理者は多くの顧客のなかからスコアの高い企業へアプローチを行うよう、営業担当者にアドバイスしたり、指揮を取ったりします。ところが、営業スキルの差や能力のばらつきにより、成績に偏りが発生してしまいます。

このスキルや能力の差を埋め、チームとしての営業力を上げる取り組みがセールス・イネーブルメントであり、分野や業種を問わず、BtoB取引で営業力向上や能力の平均化に課題を持つ企業であれば、セールス・イネーブルメントに取り組む余地があるといえます。

セールス・イネーブルメントに取り組むとき、どんなことに注意したらいいのか

セールス・イネーブルメントは、営業企画・営業支援部門と営業部門が協力して成立する、組織的な取り組みです。最初の一歩は、現場と管理者の両方からヒアリングを行い、問題点を洗い出した上で、ゴールを定めて共有し、推進体制を構築することです。

どれほど素晴らしい取り組みでも、実際に関わる営業担当者や営業企画・営業支援の担当者が納得していなければ不満も生まれ、根付かせることは難しいでしょう。また、複数部門をまたがる活動になるため、部門間で円滑にコミュニケーションを進め、結果の分析や次のアクションの指示を的確に行う必要があります。

そのためには、セールス・イネーブルメントを推進し、部門間の調整や指示を行うリーダーの選出が必要です。さらに、経営やそれに近いトップ・マネジメントの支援や理解を得られれば、自社に合ったセールス・イネーブルメントの取り組みを強力に、そして迅速に推進できるでしょう。

どのようなときに取り組むと効果的なのか

営業の効率アップの施策に行き詰まっている

長年、培ってきた社内の営業ノウハウはあるけれど、一部の営業マンだけが優秀で、他が追随できないために、全体としての営業の効率改善や業績アップにつながらないと困っていませんか? セールス・イネーブルメントでは、優秀な営業マンのノウハウを分析し、コンテンツやトレーニングに落とし込み、チーム全体に定着させることで、営業力改善に貢献するアプローチです。

すでにSFAやCRMなどを利用しているが、思ったように効果が出ていない

CRMやSFAといった営業ツールは、正しく運用すれば、案件や商談、顧客の見える化に貢献し、的確にパイプラインを管理できるようになります。とはいえ、提案力向上や営業スキルの定着にはなかなか効果が出づらいという意見も多いのが事実です。セールス・イネーブルメントでは、誰もが利用しやすいようにセールスコンテンツを整備し、トレーニングを実施することで、こうした課題を解決します。

今後の社員育成などを視野に入れたフェーズに移行したい

セールス・イネーブルメントの取り組みやツールの導入によって成果が得られたとしても、それが一時的であるならば効果は限定的です。継続的にセールス・イネーブルメントを通じて効率よく社員育成にも役立てることで、企業の成長に貢献していくことができるのです。

まとめ

こ日本ではまだ新しい取り組みであるセールス・イネーブルメントは、SFAやCRMに比べて事例もまだ少なく、「自社でうまく運用できるだろうか。本当に効果があるのだろうか。」といった不安もあるかもしれません。そこで導入前にセールス・イネーブルメントに取り組んだ先進事例を研究し、自社での適用方法や体制を考慮した上で、セールス・イネーブルメントの取り組みを助けるツールの評価を行うことも有効です。特に、自社の営業のスタイルや文化に合致するかどうか、現場からの反応はどうかを見極め、目標と改善点を定めた上で、自社における営業業務の改善に取り組むことが大切です。

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