タブレットを持って学校に行こう!モバイルラーニングで学校もBYOD時代へ!?
テクノロジーの普及により、パソコンやネットワークを利用して知識習得が可能なeラーニングという新しい学習スタイルがすっかり定着しました。
さらに、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器を活用し、いつでもどこでも好きなときにできる「モバイルラーニング」の人気が高まってきています。企業内教育や学校教育の場で、よりインタラクティブな学習効果が得られることから導入が進められていますが、デバイスにかかる費用を考えると、導入に慎重なところも多いでしょう。そうしたなか、BYODは、デバイスの費用を抑えてタブレットを導入できる魅力的な方法といえるのではないでしょうか。
今回は、イギリスの教育機関におけるBYODの導入状況や、課題をご紹介します。
教育の場でのタブレットの導入状況
イギリスの小学校、中等学校(11~16歳または18歳までの生徒が通う。16歳まで義務教育)では、教育現場でのタブレット導入においてBYOD(Bring Your Own Device)でのタブレット利用を検討しています。
その一環として、イギリスの教育を目的とした機器の開発および販売など、教育市場関連の事業者が設立した団体BESA(British Education Suppliers Association – 英国教育機器協会)が、学校関係者にBYODへの取り組みについて調査を行いました。
結果を見ると、全体の16%は、「どちらかというと学校がタブレットを支給するよりも生徒が自分の端末を持ち込むほうが望ましい」といった“消極的賛成”の回答をしています。しかし、大半の学校は、世間の流れがBYODへの移行を強く後押ししていることへは積極的な理解を示しました。
全体としてみると、BYODへの流れには逆らえないであろうと考えていることが伺えます。調査に参加したある学校の担当者は、「もしBYOD計画が施行されたなら、裕福でない家の子供には金銭的なサポートを行うつもりである」と述べています。
大枠としては、BYODに前向きな学校が多いなか、それでもまだ一定数の学校は、BYODによって発生する金銭的なサポートや、デバイスの違いで起こる膨大なメンテナンスや対応をふまえると、学校側でタブレットを購入してそれらをメンテナンスするほうが望ましいと考えているようです(中等学校の19%がBYODに否定的な回答)。
タブレット導入の足かせは価格?
BYOD導入に積極的な学校は、どんな点にメリットを感じているのでしょうか。
学校側にとって、BYODの一番の魅力は、タブレット導入にかかる経費を抑えられることです。
大半の学校が導入希望デバイスにiPadを挙げており、iPad miniでも269ポンド(4万6千円)はかかることから、学校側で導入する場合は、その予算を確保するための期間が必要となります。
なお、BESA調査は、大半の学校が200ポンド(約3万5千円)前後のタブレットなら学校で購入してもいいといった、実際の相場とは乖離した予算で考えていることも明らかにしました。
少数派ですが、Windows8を希望している学校もあります。その場合でも、英国での最安値の価格帯のWindowsタブレットVinoTab Smart 10inchが312ポンド(約5万4千円)であることから、こちらも学校側の導入希望価格と市場価格に大きな開きがあることがわかります。
BESAによると、現状では学校側としてはタブレットのOSとして、iOSを希望していますが、今後多くの学校がAndroidに移行していくであろう、と予測しています。これは、学校側が挙げている200ポンドという予算に起因するところが大きいでしょう。
まとめ
今回見てきたように、学校がタブレット購入のための十分な予算を持たない状況において、BYODは、コストを抑えるためには有効な選択といえます。学校側の少ない予算で、低スペックのデバイスを導入するより、個人が所有する高性能デバイスのほうが、生産性や満足度は高まる可能性があります。
しかし、管理の煩雑さや、持ち込まれるタブレットの性能の格差を考慮すると、CYOD(Choose Your Own Device)へのシフトといった可能性も考えられます。いずれにせよ、教育の場でのタブレットの活躍は、ますます拡大することが予想されます。
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