アクティブラーニングとは ー 大学授業を変革する新たな試み ー
アクティブラーニングとは、授業や課外活動に学生(生徒)が能動的に学べる仕組みを取り入れて、より高い学習効果を狙う学習法です。
これまでの授業は、教員が一方向でレクチャーを実施し、学生はそれを聴講するという方式が主流でしたが、近年、この方式だけでは学習効果はあまり高くないことが指摘されています。例えば、アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)の研究結果では、図のように単にレクチャーを聞くだけでは、学習定着率は5%と非常に低いことがレポートされています。
そこで、より学習定着率の高い、グループ討論や体験学習、学生自身が行うプレゼンテーションなどの学生(生徒)主体となる新たな学習方式の取り込みが模索されつつあります。最近では、アクティブラーニング専用教室を設置する学校も出始め、グループワークなどの「アクティブラーニング」が試行されるようになってきました。
「アクティブラーニング」の試みは昔から行われてきましたが、1991年にAssociation for the Study of Higher Education (ASHE) より「Active Learning – Creating Excitement in the Classroom -」レポートが発行されたことにより、「アクティブラーニング」は広く普及し始めました。本レポートでは、教室内でのアクティブラーニングは、以下のような特徴があると記しています。
- 学生(生徒)を単なる聴講以上のことに参加させる
- 情報提供よりも学生(生徒)のスキル開発により重点をおく
- 学生(生徒)を分析、関連づけ、評価などのより深い思考に巻き込む
- 学生が自分の意見や価値感を学生(生徒)自身で探求する
また、文部科学省中央教育審議会は、「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」「4.求められる学士課程教育の質的転換」の中で、以下のように述べ、大学学士課程教育は「アクティブラーニング」への転換が必要であることを説いています。
『生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った人材は、学生からみて受動的な教育の場では育成することができない。従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長できる場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である。すなわち個々の学生の認知的、倫理的、社会的能力を引き出し、それを鍛えるディスカッションやディベートといった双方向の講義、演習、実験、実習や実技等を中心とした授業への転換によって、学生の主体的な学修を促す質の高い学士課程教育を進めることが求められる。学生は主体的な学修の体験を重ねてこそ、生涯学び続ける力を修得できるのである。』
「アクティブラーニング」については、その重要性は徐々に認知されつつありますが、効果的な実施方式については未だ様々な取り組みが試行されている段階にあり、現段階では「東京工業大学電気電子工学科での多人数教室でのアクティブラーニングの試み」のように、理論よりも実際の経験に基づく現場レポートが重要視されています。
効果的なタブレット活用方法をご紹介
「通常授業でアクティブラーニングを実現!」についての説明はこちら
アクティブラーニングでのタブレット活用 成功事例
- 賢明学院、全高校生のタブレットに授業解説動画を配信し復習を促進
- 夢見る、ロボット教室の継続学習動機付けにクイズ・テストを活用
- 皇學館大学、学生スマートフォンを活用し、知識習得機会を広げる
- 日本リハビリテーション専門学校、学生スマートフォンに授業資料を配信し学習に効果
- 麻布デンタルアカデミー、タブレットを活用し、歯科医師国家試験合格を支援
- 北九州小倉看護専門学校、タブレット・スマートフォンを活用したeラーニングで学習効果アップ
- 九州大学、eラーニングのモバイル利用を広げるHandbook
- 東京工業大学、学生自身のスマートデバイスを活用し、アクティブラーニングを実現
東工大学の教授が語る「東京工業大学電気電子工学科での多人数教室でのアクティブラーニングの試み」
東京工業大学 電気電子工学科千葉明教授が、2014年4月より「Handbook」を利用して大教室でのアクティブラーニングを試行、そのプロセス及び成果をまとめたレポートです。
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