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【SalesTechコラム】第3回 総ざらい!!セールス・イネーブルメント・ツール導入アプローチ

前回は、セールス・イネーブルメント・ツールの目的や機能、導入アプローチの全体像(図1)についてお話しました。
今回は、導入アプローチで示した各プロセスを詳細に見ていきましょう。

セールス・イネーブルメント・ツールの導入アプローチ

図1 セールス・イネーブルメント・ツールの導入アプローチ

① 現状整理

1. 現存するコンテンツの棚卸と整理

セールス・イネーブルメント・ツールでは顧客コミュニケーション用のセールスコンテンツと学習用のトレーニングコンテンツ(以降、双方を指して「コンテンツ」と記述)を取り扱いますが、努めて管理をしていない限り、様々な資料が乱立し、過不足や要不要の判断が困難な状況に陥っているでしょう。

まずは営業用資料、研修プログラム・資料など、現存する営業に関するコンテンツの棚卸と整理を行いましょう。コンテンツを集め、その用途と含まれている情報を整理していきます。この過程で様々な問題が浮き彫りになり、今後、どのようなことをすべきかが、見えてくるはずです。どのように整理するかは図2を参考にしてみてください。

現存コンテンツの整理例

図2 現存コンテンツの整理例

2. ベストプラクティス人材の抽出

次は、成果をあげている模範とするべき人材、つまりベストプラクティス人材の抽出です。成果があがる顧客コミュニケーションを標準化するには、彼らに学ぶことが効果的かつ近道です。

ここでは、過去数ヶ月分の営業成績と顧客満足度のデータを用いて営業担当者の分布図を作成し、営業担当者の相対的パフォーマンスを可視化しましょう(図3)。この中から、営業成績と顧客満足度が共に高水準でバランスが取れている人材を、全体の20%程度を目安に抽出します。彼らこそが学ぶべきベストプラクティス人材です。

なお、他者を大きく引き離す並外れたスタープレイヤーが存在することがありますが、彼らは除外しておくのが良いでしょう。彼らのパフォーマンスは、表情、所作、声のトーン、言葉の選び方、間の取り方など、テクニックと呼べる範囲を超越した才能に依るところが大きく、分析や模倣が困難もしくは「標準化」していくサンプルとしては必ずしも適していないからです。

ベストプラクティス人材の抽出

図3 ベストプラクティス人材の抽出

② PDCA/DCPA

ここからはPDCAの各プロセスについて順にお話していきます。
なお、DCPAのアプローチを取る場合でも、各プロセスの実施内容は大きく異なりません。

Plan:揃えるべきコンテンツの設計

【成功の秘訣の抽出】

ベストプラクティス人材がどういうタイミングでどういうコンテンツを用いてどういうコミュニケーションを顧客と交わしているのかをヒアリングし、彼らの成功の秘訣を整理・可視化していきます。

ヒアリングに先立ち、顧客がどのような心理的変遷を経て、どのように行動して成約に至るかの流れと、必要なコンテンツとコミュニケーションの仕方を、事前に仮説としてデザインしておきましょう。この際、①現状把握で整理した既存のコンテンツ一覧が役に立ちます。この仮説を持っておくことで、ヒアリングを効果的・効率的に進めることが可能になります。

ヒアリングを踏まえて仮説をブラッシュアップしたら、コンテンツの作成や改修に着手します。

顧客とのコミュニケーションの流れのデザインにあたっては、マーケティングにおけるカスタマージャーニー、AISCEASなどの消費者行動モデル、心理療法におけるラポール形成などのフレームワークを活用し、自社の状況に鑑みて仮説を組み立てると良いでしょう(図4)。

顧客とのコミュニケーションの流れの例

図4 顧客とのコミュニケーションの流れの例

Do:コンテンツの展開・活用

【営業担当者への説明・教育】

コンテンツが準備できたら、営業担当者に対し、セールス・イネーブルメント・ツール導入の目的、ツールの利用方法、コンテンツの活用方法などを説明します。

多忙な営業のためには、説明会を複数回開催し、実際にツールを活用してロールプレイを行うような実感に重きを置いた形式が良いでしょう。この説明会では、Planで作成した顧客とのコミュニケーションの流れと必要なコンテンツが大いに活用できます。

セールス・イネーブルメントに限らず、戦略や施策を組織に展開するには伝達経路も重要です。例えば、会社や所属事業部といった上位組織に対する帰属意識が高ければトップダウンが効果的ですが、所属する部・課・チームに対する帰属意識が高い場合はミドルマネジメントの巻き込みが鍵になります。こうした観点から留意するべき組織や対象者には、別途個別に説明し協力を求めるアプローチも重要です。従業員の帰属意識を精緻に把握・分析するには、従業員アンケートが考えられます(図5)が、どこまでやるかは見込める効果と、手間・費用・時間を考慮して検討すると良いでしょう。

帰属意識分析の例

図5 帰属意識分析の例

出典:デロイトトーマツコンサルティング「「As One」プログラム体系と分析事例」

<Check:コンテンツの分析><Action:コンテンツの改善>

セールス・イネーブルメント・ツールの活用が開始されたら、コンテンツの利用状況を分析します。最初は従来のコンテンツや仮説に基づき作成したコンテンツですから、分析と改善を重ねなければ、成果につながらない可能性が高いものです。

セールス・イネーブルメント・ツールは、どのコンテンツが誰によってどの顧客に対して使われたのかを明らかにし、分析から改善まで効果的・効率的に進めていくことを可能にします。また、SFAと連携することで、商談のステップアップやクロージングへの寄与度を明らかにすることができるでしょう。

分析の観点は、ベストプラクティス人材とそれ以外の人材別に、各コンテンツの活用度や、コンテンツとパフォーマンス間の相関を見ていくことが基本になります(図6)。

分析の観点

図6 分析の観点

I. コンテンツの活用度

  • ・ベストプラクティス人材とそれ以外の人材では、活用コンテンツがどのように異なっているか

II. コンテンツとパフォーマンスの相関

  • ・トレーニングコンテンツの活用は、セールスコンテンツの活用につながっているか
  • ・トレーニングコンテンツやセールスコンテンツの活用は、フェーズの進展や営業成績・顧客満足度の向上につながっているか

適宜、商材別、案件金額別、顧客業種別、新規・既存顧客別などの切り口を追加・変更しながら分析を深め、顕著な差異があぶりだされたら、ベストプラクティス人材と共に考察を行います。その結果を踏まえ、仮説を修正し、コンテンツを改善し、活用し、また分析する、このサイクルを定期的に回し続けていきましょう。

全体を通して

導入アプローチの各プロセスを順に見てきましたが、セールス・イネーブルメントの推進においては、組織として責任と権限を明確にし、この活動に十分な支持と支援を与えていかなければなりません。

営業担当者にとっては、これまでのやり方の否定や行動の監視とも受け取れる活動ですから、否定的で非協力的な者が出てくることがあるでしょう。また、成果が出るまでに多少の時間がかかるため、懐疑的な意見が増えてくることも考えられます。単なる感情的な抵抗によって活動が阻まれないよう、組織としてこの活動を支えることが非常に重要です。

セールス・イネーブルメントのさらなる進化

最後に、セールス・イネーブルメントをさらに発展させていく観点をお伝えし、本コラムの結びとしたいと思います。

これまでコンテンツを中心にお話してきましたが、セールス・イネーブルメント・ツールと他のソリューションを連携させることで、セールス・イネーブルメントをさらなる高次元へと発展させることが可能です。

SFAとの連携は欠かせないものですが、その他にも、顧客との会話がどのような単語や言い回しによってなされたのかをテキストマイニングによって可視化するソリューションや、会話の音声から話者の感情を可視化するソリューションなどと組み合わせることが考えられます。このような多様なソリューションとの連携により、営業活動を分析する説明変数を拡大し、機械学習のソリューションによって分析することで最も成果が上がる営業モデルを確立することが可能になるのです。前述のスタープレイヤーの分析も可能になるでしょう。

デジタルソリューションの導入においてはスモールスタート・クイックウィンが重要なので、最初からこのようなステージを目指す必要はありませんが、将来構想として描いておくことは決して無駄なことではありません。

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