九州大学

eラーニングのモバイル利用を広げるHandbook

大学教育の情報化と教材開発を支援

Webを利用した学習支援システムを必修化する九州大学は、スマートデバイスによるeラーニングシステムの活用を進める計画だが、その運用には一定のスキルが必要なため教職員への負担が大きく、また学生側もネットワークにつながらない環境下での利用ができないという不満を抱えていた。だが、インフォテリアのHandbook活用によってオフラインでの運用も可能になるとともに、OSに囚われない柔軟な拡張性や初心者でも無理なく使い始められる容易なUIによって、スマートデバイスでの教材コンテンツ活用を大きく前進させようとしている。

Point

  • 各種スマートデバイスへの対応により持ち込み端末での利用を柔軟に実現
  • 教員や学生が迷わず操作できる洗練されたUIでスマートデバイス向け教材開発に最適
  • オフライン環境下でもeラーニングの利用が可能になり学生の学習効率が向上

井上氏が講義を受け持つライブラリーサイエンス専攻では学生が自身のiPadにHandbookを展開し、講義資料の閲覧や授業時間中のディスカッション、レポートの提出など、eラーニングを活用した教育の情報化と実践のテストケースを試みている。

Web学習支援システムの利用を必修化学習行動解析や情報処理演習にも活用

  九州大学では、長年に渡りITによる教育の情報化と実践を組織的に行っており、教育工学の見地から学習を支援するための研究と開発を行ってきた。具体的には、教材作成のための支援環境やログ情報の分析に基づく知的利用支援環境の構築、eラーニングに必要なコンピュータ機器や施設の知的運用管理、アクティブラーニング(教員と学生との双方向で能動的な学習形態)のための学習空間に関する研究などである。
  特に、Webを利用したeラーニングの学習支援システムは全キャンパスで展開されており、授業資料の配付、オンラインテストの実施、レポートの提出、授業時間中のディスカッションなどに利用されている。全学教育科目の情報処理演習でも利用されており、1年生が全員履修するなど、全学の教育基盤になっている。

教材の提供側と利用側から見たeラーニングの限界と課題

  しかし、その運用にはいくつかの課題があった。「当大学のeラーニングシステムは機能が豊富な半面、操作が複雑で、教職員の誰もが簡単にコンテンツを作って配信したいという運用面では少々不適切だったのです」と語るのは、情報統括本部 教育支援事業室 室長で准教授の井上仁氏だ。学内におけるeラーニング研究の第一人者であり図書館情報学を専門とする井上氏は、eラーニングシステムはソースも専用の形式で作られているため、使いこなすには一定のトレーニングが必要で、ツールを使って教育に専念したい教員の大きなストレスになっていたと話す。一方で、利用する側である学生からは、いつでも・ どこでも学習できることがeラーニングのメリットであるはずが、PC専用のために通学中の混雑した電車やバスの中では利用が難しく、ネットワークがつながらない環境下では学習コンテンツを閲覧できないなどの不満もあったという。「eラーニングによる学習支援を行うには、スキルの少ない教員でも簡単に教材コンテンツを配信でき、ネットワークにつながらない環境下でも活用できる仕組みが必要だと痛感しました」(井上氏)
  九州大学では、全キャンパスに無線LANを敷設するとともに、入学に際してPCもしくはスマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスの所持を推奨するようにしており、アクティブラーニングを実践するためのインタラクティブな学習環境の開発が急がれていた。

教材開発に最適なHandbookを採用、オフライン利用やOS非依存も高評価

  そこで井上氏が注目したのはインフォテリアの「Handbook」だった。教員や学生の誰もが迷わず操作でき、直感的で美しいユーザーインターフェースもスマートデバイス向けの教材を開発するには最適であるとともに、出力されるソースがXML形式で整っていて他のシステムでの再利用も可能なことなどがeラーニングシステムを補完するツールとして認められた。
  そうした判断の下、九州大学ではオンプレミス版を学内に導入し、2011年9月にはHandbookを普及するための講習会が、井上氏指導のもと各キャンパス5拠点で開催。そこでの受講者へのアンケートもHandbookの機能を利用して実施されたという。
  Handbookによる導入効果は主に次の2点である。1つは、オフラインでもeラーニングが活用でき、学生の学習効率が向上すること。自宅や通学中の地下鉄などネットワークがつながりにくい場所や、大学病院など無線LANを利用できない環境下でも、Handbook上の学習コンテンツをスマートデバイスにダウンロードしておけばいつでも気軽に学習が可能になった。
  2つ目はeラーニングを利用する間口の拡大。
  HandbookはiPhone/iPadのiOSのみならず、Android OSにも対応し、PCでの閲覧も可能であるなど多くのモバイル端末で利用できるため、教職員や学生が自らの端末で柔軟に利用できるようになった。

教材用ツールとして高い完成度学生によるコンテンツ作りにも期待

  教材の作成支援や教育方法の提案を行う九州大学付属図書館敷設教材開発センター(ICER)の協力教員でもある井上氏は、インストラクショナルデザイン(教育環境と教育効果を最適化する方法論の設計)に基づく高度な教材開発も、Handbookで積極的に実践していくつもりだという。「スマートデバイスが個人的な趣味のツールではなく、高等教育の現場でも効果的な教育ツールになり得ることへの理解を広めたいと考えているのです」。そう語る井上氏は、教材用ツールとしてのHandbookは、「ほぼ満点を付けてもいいほど完成度が高く、これより優れたツールは存在しないでしょう」と評価する。
  今後も講習会を開催して学内でのHandbookの認知度を向上させるとともに、紙では実現できないようなHandbookならではの使い方が広まるよう教材開発のモデルケースを示していくという。それにより、学内でのスマートデバイスの利用がさらに活性化するのではないかという同氏は、「教職員のみならず学生自身も自由にコンテンツを作り、有意義な学生生活を送るための手段としてHandbookを役立てていきたい」と語った。

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