紙のデメリットから考察する、デジタルのメリット

2019/08/19

デジタル化やペーパーレス化の利点は当然ながらいろいろあるものです。かといって、「世の中から一切の紙をなくす必要がある」とはさすがに思えませんよね。今回はまず、紙(アナログ)であることの利点に立ち戻ってみたいと思います。

人の感覚を使った楽しさや効果

紙の表面のざらつきあるいは滑らかさ、そこに筆記用具を走らせたときの感触、びりびりと破る感覚、紙自身のにおいなど、紙には人の五感を使って楽しむ要素があると思います。現時点のデジタル技術では、五感を伴った体験を再現しようとしたら、現実と比較して非常に限られたものになります。

また楽しむことだけではなく、五感の感触が人の作業性にも関連していることがあります。手描きの作業により、空間認識力を刺激する、記憶を定着しやすくする効果などもあります。

紙の利点

手元にある喜び

個人差はありそうですが、デジタルの中にあるデータよりも、実物の方が所有する喜びが大きいと思う人も少なくないと思います。これも五感に関係しているところですね。

書籍はカバーのデザインなど装丁、使用している紙の素材、本文中のフォントなどで楽しむものでもあります。美しい装丁の書籍を書棚にずらりと並べる喜びもあります。デジタル資料やWebページ向けにもフォントの種類はたくさんありますが、(画像データ以外では)受信先のシステム環境に配慮して、ゴシックやメイリオなどシステムに標準的に備わっている字体を選ぶことが多いです。

キャラクターフィギュアであれば、画面の中にキャラクターのサムネイルが一覧されているより、目の前のケースにずらりと並んでいる方が「おおっ」と思うのではないでしょうか。そもそも、画面の中にいるアニメの2次元キャラクターを現実化したい人が多いので、フィギュアが人気なわけですから……。

特別な知識と電気がいらないこと

紙の使い方は小さな子どもでも分かります。また電気も電波もいりません。紙と鉛筆さえあれば、さまざまな表現ができます。電気が一切ない環境では、紙を使うしかありません。一方で、パソコンやモバイルデバイスは、電気や通信環境があることが前提になります。

立体を表現できる

やはり五感に関係するところですが、折り曲げたり、組み立てたりなど、紙は立体的な表現が可能です。立体的という面では、デジタル技術としてはVRやARがありますが、専用のHMDやソフトウェアが必要であり、かつ現状の技術では、やはり五感を完璧にはカバーできません。

紙の欠点

次に、紙の不便なところ、不得意なことについて考えてみます。

とにかくかさばる

紙の情報量は、決められたサイズの紙の中に収める文字と絵によってきます。情報量が大きくなればなるほど、紙の枚数が増えることになり、物理的にかさばってきます。増えれば増えるほど、重くもなりますし、廃棄が大変になります。例えば書類であれば、まめに選別して廃棄していればいいのかもしれませんが、「目先の業務をやらねば」と、そういう作業はつい後回しになるものです。デジタルデータならば、大量の情報をコンパクトに収納することができます。

印刷費用が掛かる

印刷の枚数が増えれば増えるほど、紙やインクなどランニングコストが掛かります。1枚1枚のコストはとても安いかもしれませんが、100枚、1000枚と積み重なっていくと、結構なコストになってきます。さらに製本するとなると、コストはもっとかかりますし、作業時間もかかります。

情報が探しづらい

「あの情報はどこにあったかな?」と、書籍や資料の資料を探すときは、手元に概要を書いたメモでもない限りは、頭の中の記憶を使って探すことになります。1ページの中の1行や単語レベルとなると、読んだ当時の付箋紙が貼ってあったとしても、なかなか掘り当てるのは難しくなります。デジタルデータの場合は、単語や文章などの検索は容易です。

傷む、劣化する

紙は長い間保存していくと、傷んできます。印字が薄くなったり、紙が変色したりしてきます。保存する環境によっては、破けたり、ぬれてしまったり、汚れてしまったりもします。

印刷物の差し替えが面倒

会議で配布する書類の内容に不備があった時や、内容にアップデートがある時は、一度印刷したものは、修正したデータで印刷して差し替えなくてはなりません。差し替え前の書類も中に機密情報が含まれていたら、すぐシュレッダーにかけて廃棄しなければなりません。また、配布書類にうっかり古いページが混じっていないかも確認しなければなりません。

デジタルデータであれば、古いバージョンを上書きしたり、モバイルコンテンツマネジメントシステムを使って版管理を行えば、いつでも誰でも最新の情報にアクセスする仕組みを簡単に実現できます。

小さい字が見えづらい

小さい文字で印刷してしまうと、病や老化で視力が落ちてきた人にとっては読むのがつらくなります。かといって、大きなサイズの字ばかりで印刷してしまうと、紙面を消費するわりに情報量は少なくなり、書類の枚数が増えてしまいます。さまざまな人の視力の差に応じた配慮がしづらいです。モバイルデバイスでの閲覧ならば、ピンチインピンチアウトの操作で拡大縮小も簡単にでき、フォントサイズを変更などすれば、その人に合わせた形での表示が可能です。

情報漏えいのリスク

監視の行き届いていないところで紙を無断でコピーして配布されてしまう、誰かに勝手に手渡されてしまうなどのリスクがあります。どこかに捨てる、忘れるなどして、見知らぬ誰かの手に渡ってしまうこともあり得ます。デジタルデータのセキュリティについては、機密情報を社外に出さないためのデバイスコントロールや、データの暗号化、ファイルの失効機能などを搭載した製品が多数存在し、情報漏えいのリスクを減らし、データ活用の安全性を担保することができます。

遠隔地の人、複数の人への配布

紙の資料や書籍は、遠隔地にいる人には、自分が移動してハンドキャリーで届けるか、郵送するくらいしかありません。また、拡散力は、単純に紙の枚数や、ばらまく手段の力(流通)が大きく左右してしまいます。デジタルならば、共有や送付も電子的に行うことができるので、一瞬で行うことが可能です。

紙とデジタル、両方の利点を生かしたい

紙は、「五感を生かしたい場面」に有効です。特に、芸術分野や手作業では、紙である利点が生かせる部分が多いといえます。パソコンやモバイルデバイスを必要としないので、誰でも手軽に参照できるのは大きなメリットです。また、電気や電波の届きにくい地域や災害時での活用も考えられます。

デジタルでの資料配布は、紙だと難しい版の管理、資料の差し替え、有効期間の設定などが簡単にできるメリットがあります。管理が簡単になれば、作業効率も上がるので、残業の削減、働き方改革にもつなげることができます。もちろん、印刷や保管のためのコストも削減できます。

双方のメリットを活かすシーンとして、たとえば、お客様先に営業に行く場合を考えてみましょう。営業担当者が持参したパソコンでプレゼンテーションを行い、後日、お客様が参照するための紙のカタログをお渡しするケースがあります。プレゼンデータがデジタルであれば、アニメーションや動画などを使ってわかりやすく説明ができます。一方で、後でお客様が参照するカタログが紙ならば、PCなどを必要とせず、気軽に見ていただけるメリットがあります。このように、シーンに合わせた形で紙(アナログ)の良さを生かしながらデジタルを上手に活用すれば相乗効果が得られるでしょう。

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