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東京工業大学、学生自身のスマートデバイスを活用し、アクティブラーニングを実現

参加意欲を高め、講義の満足度を大幅に向上

技術力向上によるグローバルでの競争力強化が求められる昨今、日本の次代を担う研究者・技術者を育成する工業系大学の役割はますます重要性を増している。東京都目黒区にキャンパスを構える東京工業大学は、そうした使命を果たすべく、多面的な教育改革を推進中だ。

そんな中、同校の電気電子工学科は、「Handbook」の活用によって学生参加型学習である「アクティブラーニング」を実現することに成功。学生の理解度向上をはじめとする様々な成果につなげている。

Point

  • テスト・クイズ機能で「小テスト」「宿題」の解答内容や解答時刻を管理
  • 解答が早かった学生に講義で解説してもらう参加型学習を実現
  • 講義内容に対する満足度など、学生の評価も大きく向上

学生はスマートデバイスを使って問題に解答。正解者は登壇して解説役を務める。
板書中心になりがちだった講義が、Handbookにより双方向のやりとりを伴うものとなっている

「アクティブラーニング」の実現に向けスマートデバイスの活用に着目

1881年の開校以来、多くの優れた人材を輩出してきた東京工業大学。「2030年までに世界トップ10に入る理工系総合大学になる」を目標に掲げ、様々な教育改革に取り組んでいる。

その改革の1つが「アクティブラーニング」の導入だ。これは、プレゼンテーションや意見交換などを通じて、学生が能動的に参加する学習形式のこと。同大学は、約50名を収容可能な専用教室の建設も進めるなど、その実現に向けた取り組みを推進している。

同大学の電気電子工学科も、このアクティブラーニングを講義に取り入れる必要性を感じていたという。だが、電気電子工学科の授業は、学生約100名が出席する大規模なもの。大教室での講義は、どうしても『一方通行』になりがちという課題を抱えていた。

その点、アクティブラーニングは課題解決に好適だったが、いかんせん、大学の専用教室は小さすぎて使えない。そこで同大学の千葉 明教授は、別の手段でアクティブラーニングを実現する方法を探し始めた。

「私は、学生が所持するスマートフォンなどを活用することで、参加型学習が実現できないかと考えたのです」と千葉教授は話す。

双方向のコミュニケーションを実現するテスト・クイズ機能を高く評価

千葉教授が、スマートデバイス向けに提供される、講義で活用できそうなアプリケーションとして採用したのが、アステリアのコンテンツ管理システム「Handbook」だ。

「PDFの資料などを配信できるだけでなく、『テスト・クイズ機能』による課題の出題も簡単に行える。これが、アクティブラーニングに活かせそうだと感じました」と千葉教授は述べる。

このテスト・クイズ機能は、管理者とユーザーの双方向のコミュニケーションに役立つHandbookの機能の1つ。ユーザーは、各端末からHandbook上の設問にアクセスして解答。一方のコンテンツ管理者は、各ユーザーの解答内容・日時を確認できるほか、設問ごとに解答期限も設定できる。

「これまでも紙による課題の提出・回収は行ってきました。前週の課題を講義内で回収し、正解した学生に檀上で解説してもらうなど、学生の参加を促す策も講じてきましたが、当日いきなり当てられるのでは、学生も準備ができず、参加意欲を高めるまでに至らなかったのです」(千葉教授)。

その点、この機能を使えば、問題を解いた学生をあらかじめ把握し、次回講義での解説を頼んでおくといったことが可能になる。「学生も準備をして臨めるので、前向きに取り組んでもらえると考えました」と千葉教授は言う。

またHandbookは、すでに多くの大学や専門学校などで導入・活用されていることも後押しになったという。こうして千葉教授はHandbookを採用。講義で活用する準備を開始した。

宿題の出題・解答をHandbookで管理
提出の早い学生を次回の解説者に指名

千葉教授によるHandbookの活用法は、次のようなものだ。

1つが、先に述べたテスト・クイズ機能による「小テスト」の実施である。講義開始時に配信される問題に、学生は自らのデバイスから解答。講義内で解説を行うほか、実施済みの小テストもクラウド上に保管しておき、学生がいつ・どこからでも閲覧し復習できるようにしている。

もう1つが、同じくテスト・クイズ機能を使った「宿題」の出題・回収である。ここで千葉教授は、先のアイデアを具現化した。「宿題は講義終了後に配信。その上で、次回講義までの間に最も早く正解した学生に、講義で解説役を務めてもらうよう事前通知する仕組みとしました」。

その結果、プレゼン用の資料を準備してくるなど、積極的に取り組む学生が増加。「Handbookによる学習意欲増進効果は、確かに出ていると感じます」と千葉教授は満足感を示す。

大学が実施した学生へのアンケートによれば、電気機器学に対する学生の評価は大きく上昇。特に『分かりやすさ』『興味喚起への工夫』といった項目が前年より大きく伸びており、満足度が明らかに高まったことが見て取れる。

「今後は、他の講義でも、同様の取り組みを行っていきたい」と述べる千葉教授。同大学は、学生自身が持つ情報機器、そしてHandbookのコンテンツ管理機能の双方をフル活用することで、独自のアクティブラーニングの実現へと一歩を踏み出した。今回の取り組みは、同じ悩みを持つ他大学の参考になる点も多いだろう。

今後Handbookは、同大学の教育改革の一端を担うツールとして、より重要性を増していくに違いない。

本事例紹介のPDFダウンロードはこちらからどうぞ。

国立大学法人 東京工業大学
大学院理工学研究科
電気電子工学科長
教授 工学博士 IEEEフェロー
千葉 明 氏
(ちば あきら)
国立大学法人 東京工業大学
所在地: 〒152-8550
東京都目黒区大岡山2-12-1
会社概要: 1881年(明治14年)に工業技術教育を使命とする東京職工学校として設立。1929年(昭和4年)に東京工業大学となる。大岡山(東京都目黒区および大田区)、すずかけ台(神奈川県横浜市)、田町(東京都港区)の3カ所のキャンパスでおよそ10,000人の学生および大学院生が学ぶ。
「世界最高の理工系総合大学の実現」を長期目標に掲げ、様々な改革に取り組んでいる。
教職員数 約1,800名
導入時期: 2014年4月
U R L: http://www.titech.ac.jp/
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